眠る前の香り| Bed Fragrance (ベッドフレグランス)という楽しみ 

ウィリアム・モリスの寝具に囲まれたベッドで、眠る前に本を読む時間

Bed Fragrance 。

台風が近づいて、雨風が強くなる夜があります。
窓の外の音が気になって、少し不安になるような夜。

そんなとき私は、ベッドの中で音楽を小さく流し、本を開きます。

そして、ベッドに入る前に、IRIS HOMMEをひと吹きします。

ふわふわと香る柔らかな香りに包まれて、心地よい音楽を聴いていると、いつのまにか少し安心していることがあります。

同じイリスの香水でも、夏は、Silk IrisよりもIRIS HOMMEを選ぶことが多くなります。

Silk Irisは、イリスのパウダリーな質感がぎゅっと詰まった香り。
IRIS HOMMEは、シトラスが軽く、どこかレモンのブールドネージュのような香りがします。

今日のおやつに、それを食べていて、ふと気づきました。
レモンの明るさと、粉砂糖のようなやわらかさ。

その軽さが、夏の夜にIRIS HOMMEを選びたくなる理由なのかもしれません。

秋冬になると、やはりSilk Irisの柔らかな温もりが恋しくなる。

香りは、季節によっても、心の状態によっても、少しずつ選び方が変わるものなのだと思います。

粉砂糖をまとったレモン風味のブールドネージュ

ベッドフレグランスという楽しみ

海外では、寝室で香りを楽しむことを「ベッドフレグランス」と呼ぶことがあります。

シーツや枕に軽く香りをまとわせたり、胸元に少量つけたり。
眠る時間を、少し心地よいものにするための楽しみ方です。

もちろん、香水は肌につけることを前提に作られていますので、シーツなどの布製品に使う場合は、目立たない場所で試すなど、素材への影響にご注意してください。

大切なのは、「眠るための香り」というよりも、「気持ちよく眠りにつくための時間」をつくることなのだと思います。

思わず深呼吸したくなる香り

ラベンダーは、リラックスを連想させる香りとして広く知られています。

でも、安心できる香りは、人それぞれ。
私が大切にしているのは、

好きな香りに触れたとき、人は思わず深呼吸してしまう。

ということです。

香りを吸い込もうと意識するのではなく、自然と呼吸がゆっくり深くなる。
その変化だけでも、気持ちは少し落ち着いていきます。

香りの役割は、眠らせることではなく、呼吸を整え、心をほどいてくれることなのかもしれません。

bed fragrance にふさわしい、やさしく咲くネム(合歓)の花のイメージ

私が眠る前に選ぶ香り

季節によって、選ぶ香りも少し変わります。

蒸し暑い夏の夜は、軽やかで透明感のあるIRIS HOMME

空気が冷たくなる秋から冬には、やわらかな温もりを感じるSilk Iris

そして、心が少し疲れている日や、優しい気持ちで眠りたい夜には、ネムを手に取ることがあります。

どれも眠るために作った香水ではありません。

けれど、長く香りと向き合ってきた調香師として、自分自身が自然と選ぶ香りになりました。

「私のお気に入り」があればいい

ベッドフレグランスに、決まりごとはありません。

一人で眠るかぎり、セオリーはない。

「わたしのお気に入り」があれば、それで十分です。

香水は、人に印象を残すためだけのものではありません。

一日の終わりに、自分のためだけに香りをまとう。

そんな静かな時間も、香りの楽しみ方のひとつだと思っています。

あなたが思わず深呼吸したくなる香りが、その日の正解なのかもしれません。


発信:PARFUM SATORI
創業者・調香師 大沢さとり


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