Bed Fragrance 。
台風が近づいて、雨風が強くなる夜があります。
窓の外の音が気になって、少し不安になるような夜。
そんなとき私は、ベッドの中で音楽を小さく流し、本を開きます。
そして、ベッドに入る前に、IRIS HOMMEをひと吹きします。
ふわふわと香る柔らかな香りに包まれて、心地よい音楽を聴いていると、いつのまにか少し安心していることがあります。
同じイリスの香水でも、夏は、Silk IrisよりもIRIS HOMMEを選ぶことが多くなります。
Silk Irisは、イリスのパウダリーな質感がぎゅっと詰まった香り。
IRIS HOMMEは、シトラスが軽く、どこかレモンのブールドネージュのような香りがします。
今日のおやつに、それを食べていて、ふと気づきました。
レモンの明るさと、粉砂糖のようなやわらかさ。
その軽さが、夏の夜にIRIS HOMMEを選びたくなる理由なのかもしれません。
秋冬になると、やはりSilk Irisの柔らかな温もりが恋しくなる。
香りは、季節によっても、心の状態によっても、少しずつ選び方が変わるものなのだと思います。

ベッドフレグランスという楽しみ
海外では、寝室で香りを楽しむことを「ベッドフレグランス」と呼ぶことがあります。
シーツや枕に軽く香りをまとわせたり、胸元に少量つけたり。
眠る時間を、少し心地よいものにするための楽しみ方です。
もちろん、香水は肌につけることを前提に作られていますので、シーツなどの布製品に使う場合は、目立たない場所で試すなど、素材への影響にご注意してください。
大切なのは、「眠るための香り」というよりも、「気持ちよく眠りにつくための時間」をつくることなのだと思います。
思わず深呼吸したくなる香り
ラベンダーは、リラックスを連想させる香りとして広く知られています。
でも、安心できる香りは、人それぞれ。
私が大切にしているのは、
好きな香りに触れたとき、人は思わず深呼吸してしまう。
ということです。
香りを吸い込もうと意識するのではなく、自然と呼吸がゆっくり深くなる。
その変化だけでも、気持ちは少し落ち着いていきます。
香りの役割は、眠らせることではなく、呼吸を整え、心をほどいてくれることなのかもしれません。

私が眠る前に選ぶ香り
季節によって、選ぶ香りも少し変わります。
蒸し暑い夏の夜は、軽やかで透明感のあるIRIS HOMME。
空気が冷たくなる秋から冬には、やわらかな温もりを感じるSilk Iris。
そして、心が少し疲れている日や、優しい気持ちで眠りたい夜には、ネムを手に取ることがあります。
どれも眠るために作った香水ではありません。
けれど、長く香りと向き合ってきた調香師として、自分自身が自然と選ぶ香りになりました。
「私のお気に入り」があればいい
ベッドフレグランスに、決まりごとはありません。
一人で眠るかぎり、セオリーはない。
「わたしのお気に入り」があれば、それで十分です。
香水は、人に印象を残すためだけのものではありません。
一日の終わりに、自分のためだけに香りをまとう。
そんな静かな時間も、香りの楽しみ方のひとつだと思っています。
あなたが思わず深呼吸したくなる香りが、その日の正解なのかもしれません。
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この記事に登場した香り
- IRIS HOMME|作品紹介
https://parfum-satori.com/?pid=24444862 - ネム|やさしく寄り添う香り
https://parfum-satori.com/?pid=16537218

