夏に旅立ちたくなる香り、MOTHER ROAD

夏の海と青空、旅立ちを思わせる MOTHER ROAD の香りの情景

この記事は2026/04/29に書かれている。

つい先日。と言っても2週間ほど前、最高気温が 40℃以上の日の名称が気象庁から発表された。というニュースを偶然にも、夕食、惰性のままにしていたテレビジョン。夕方のニュース番組から聞いた。
最近はアナウンサーも感情豊かだな、と思う。
淡々と滔々と。それはまた誰か、頭の切れる内勤の。小気味良い音素の区切りが形を持ち、決められた秒数へと統べられ、きっかりと当てこまれる。
そんな文面をきっちり読みあげはするが、どこか聞こえてくる、心情、感情、私情。情操。
それは漏れなく、湧き出る叙情。
懐古主義の類でないことを祈りたいが、まあどの世界にも変化はあろうか。

本題に戻ろう。
そもそも、40℃以上だからといって、それをどんな呼称にしたとして、私は別にどうでも良い。暑いものは暑いし、嫌なものは嫌。
日本は既に亜熱帯気候である。何も過言ではない。

夏の時候。
一度陽の元に身を置けば、その節々から汗が吹き出し、思考も理性も溶けていく。
求めるがまま、右往左往に逃避行。
どうでもいいし、なんでもいい。もう、どうなってもいい。
輻射熱とのサンドウィッチの末、上下左右、四方八方から熱にうなされ、次第に蹂躙。
そんな戦法は如何にも邪道。
皆皆揃って、この列島からいそいそ退散したくなる。
なんてことを、立夏に差し掛かる心地よい晴れの日にぼんやり考えている。
平和ボケしているなー、と自分でも思う。失敬。

さて、この記事を書くにあたり、前述の「最高気温が 40℃以上の日に対する名称」というものをファクトチェックも兼ねて調べてみた。

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近年、夏に顕著な高温を記録する年が頻発しており、40℃を超える気温が毎年のように観測される状況を受け、最高気温が 40℃以上の日について新たに名称を定めるべく、2 月 27 日(金)から 3 月 29 日(日)にかけて気象庁ホームペー ジにおいてアンケートを実施しました。非常に多くの方から回答をいただき、感謝申し上げます。

・・・・

「その他」のご意見として、以下のような名称案も寄せられました。 「汗日暑日暑」、「灼熱日」、「激アツ日」、「危険猛暑日」、「自宅待機日」 「極猛暑日」、「サウナ日」、「鬼暑日」、「沸騰日」、「熱盛日」など

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c.f. 気象庁「最高気温40℃以上の日の名称」に関する発表ページhttps://www.jma.go.jp/jma/press/2604/17a/20260417_40degree_name.pdf

腑に落ちた。かのアナウンサーも実はこの情報、「その他」に寄せられた、ハガキ職人ばりの大喜利を事前にインプットしていたのだろう。言葉に色が乗るのも無理はない。

個人的にも、センスある名称ばかりで、ふふっと微笑。
どの名前もわかる、わかると大礼賛。

確かにそうだ。笑いに昇華するしかない。最近の、夏は。
甘酸っぱいドラマが起こるような「夏」なんて年に数回。片手で数え切れるくらい。
それはもはや絵空事。

夕暮れの海と入道雲、記憶を呼び起こす MOTHER ROAD の香りの風景

ただ、それでも、何故か期待してしまう。
あんな夏やこんな夏。

それはいつかのあの日を思い出すから。
それとも、何かで観た瞬間が頭をよぎるから。
誰しも夏に想いを馳せる。
切なく、焦がれ、淡くとも。
時間は過去を溶かしながら、心が安らぐ形へと次第に姿を変えていく。

遥か時。その記憶は香りに託される。
そう、それはたんまりの涼気を含みながら。
何かに心寄せたい時、心の奥をそっと灯したい時。
たおやかな一条の調べが繋ぐ、豊穣の源。

温もりの淵源はいつでも淡く朧で不確かで。
正体は窺い知れない。
ただその存在だけは、蓋し感じる。

それは自由な旅のよう。
当てもなく彷徨いながら、追憶の風に吹かれる。
行く先々に真白なキャンバスが宛がわれ、右に左に筆を進める。
いつでも帰って来る場所は「そこ」にある。

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ほのかな湿度は人肌を思わせる。
それは具に見つめれば橙色の無数の煌めき。
母の腕に包まれたような深い安堵。

アンバリー、ムスキー、そして一面に敷き詰められた苔たち。

だからこそ飛び立てる、未踏の明日へ。
荒涼の地へも、豊潤な土地へも。
至って精悍な顔つきで。

ハーバル、シトラシー、そして浮ついた心を引き締めるブラックペッパー。

出会い、間も無く一体に。

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夏になると、人は旅立ちたくなる。
どこか遠くへ。何かを求めて。
何はなくとも、別にいいのだ。
緩やかな笑みを浮かべながら、未だ見ぬ自分へ。

それはマザーロードの内なる調べ。
あなたに今も、寄り添い続ける。


発信:PARFUM SATORI
ニックネーム:Ryan
プロフィール:アトリエやポップアップにて接客をしておりました。現在は言葉の仕事をしております。


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