和名:ツノマタゴケ(角叉苔) 学名:Evernia prunastri
オークモス香料は、「OAK MOSS」という名称から、過去「樫(かし)の木につく苔」と訳されてきました。しかし、実際には「楢(なら)の木につく地衣類(ツノマタゴケ)」を指します。
オークモスの香調
オークモスアブソリュードは濃い緑色で、湿った土の暖かい匂いが特徴です。加えて、渋く、泥くさく、海藻のようなソルティーな味わいがあります。
また、モスは香水の「シプレータイプ」や「フゼアタイプ」に欠かせない香料素材です。処方の中に少量使うだけでも、香調が劇的に変化します。それは触媒のような役割を果たし、ドラマチックな効果を与えます。さらに、天然香料を多く使ったクラシックなタイプに合わせると、重厚感やビロードのような深みをもたらします。
合成モス(メチルアトラレート/ Methylatrarete)
メチルアトラレートは天然のモスに比べて泥臭さがありません。水蒸気の集まりのような白いもやもやした印象で、軽く、ややダスティ・ソルティな香りです。一見、強烈ではありませんが、トップから香りに特徴を与え、遠くまでよく届き、残香もあるパワフルな香りです。香調を前面に出しても、隠し味として微量でも優れた効果を発揮します。
最近の香水のトレンド
近年の香水のトレンドでは、透明感のある香水が好まれます。そのため、天然オークモスを使用した複雑な香りは濁りとして感じられ、敬遠される傾向にあります。さらに、天然のオークモスは、含有するエベルニル酸がアレルゲンになると使用制限・禁止されたため、使用される機会がほとんどなくなりました。
香水の中の働き
モスノートを配合すると、単純な足し算ではなく、別の次元の数式のような効果をもたらします。それは、ドライアイスの煙のように、香りが下から静かに広がるイメージです。
メチルアトラレート (Methylatrarete)を使っている香水はコケシミズ-KOKE SHIMIZU-。
香水の中の働きとしては、霧になって舞う白い水しぶきやひんやりした空気を表現しています。