浴衣を身にまとうと、なぜか女性はより女性らしく、男性はより男性らしく見える——そんな印象を受けることはありませんか?
今回は、浴衣の持つ魅力と、それにぴったり寄り添う香り、浴衣や香りとの心地よい関係について、思うところを綴ってみたいと思います。
コンテンツ
- 「浴衣が引き立てる、女性らしさ・男性らしさ」
- 「浴衣に込められた美意識」
- 「パルファンサトリの香りの美意識」
- 「浴衣に合わせたい香り」
- 「蒸し暑い夏こそ、あえて“逆”を楽しむの香りの着こなし」
- 「浴衣で楽しむ“なりたい自分”」
- 「自分の思いと直感の関係」
- 「浴衣と直感で“新しい自分”に出会う」
「浴衣が引き立てる、女性らしさ・男性らしさ」
浴衣は着るだけで、「女性らしさ」「男性らしさ」がグッと際立つ気がします。それには、いくつかの理由があるように思います。
- 所作が自然と変化する
浴衣を着ると、裾が狭く歩幅が小さくなるため、動きはゆったりとし、袖も長いため所作が丁寧になります。
女性はしとやかで可憐な印象に、男性は落ち着いた大人っぽい印象になります。
- 髪型や小物で演出が加わる
女性はアップスタイルに例えば花飾りを取り合わせたり、男性は渋めの帯や扇子などを選んだり、浴衣の装いでは、普段より「性別らしさ」を意識したスタイルになりやすく、それが印象を際立たせます。
- フォルムに宿る美意識
浴衣は、長い歴史の中、日本文化に育まれた美意識によって洗練されてきました。
女性であれば、露出が少ない中で見える「うなじ」や「袖口から覗く腕」などのさりげない色気、男性であれば「広く見える肩幅」や「腰骨に締める帯」などの直的なシルエットによる力強さや頼もしさが、自然と引き立ちます。
- 個性より性差が際立つ構造
洋服は体型に合わせて様々な選択肢があるので、多様なフォルムで個性を表現します。
一方、浴衣は誰が着ても比較的似た形になります。そのため、性別による美しさがより強調されやすいのだと思います。

「浴衣に込められた美意識」
浴衣を着ると、自然に、女性はしとやかでさりげない色気が、男性は力強く頼もしい印象が際立つ、というわけです。
これは、浴衣や着物の装いには、近代以前の感性が色濃く反映されているからで、洋装の美意識との違いが明確になるのは興味深いですね。
何を美しいと考えてきた文化に育まれた装いなのかで、見せ方、魅せ方が違うということです。
「パルファンサトリの香りの美意識」
ここで、私はパルファンサトリの香りについても似たものを感じるのです。
香水といえば西洋の文化がルーツですが、パルファンサトリの香りは、日本の伝統文化に慣れ親しみつつ、現代に育った大沢さとりが、その美意識に基づいて作っています。
その背景があるからこそ、パルファンサトリの香りは、西洋のそれとは魅せ方が違い、したがって、浴衣という装いに、まさにふさわしいと思うのです。
「浴衣に合わせたい香り」
さて、前段が長くなりましたが、ここからが本題の香りです。
さりげない美しさや色気、自然な頼もしさを感じさせてくれるパルファンサトリのコレクション。中でも、浴衣の風合いに、是非、合わせてもらいたい香りがあります。
それが、シルクイリスとイリスオムです。いずれもドライでさらりとした質感が心地よく、湿度の高い夏の日にも快適に香ります。
この二つの香りは共通のハートノートを持ちながらも・・・
シルクイリス:さらりと軽やか。女性の浴衣姿にそっと光を添える香り。
イリスオム:キリッとドライ。男性の浴衣姿に凛とした知性を加える香り。
※ それぞれの香りのもつ雰囲気や特徴を、カラーイメージから読み解いた以下の記事もあります。ご興味がありましたら以下をご参照ください。
もちろん、この時期、オールラウンドにジェンダーレスで使えるマザーロード66やコケシミズやスイレンは、浴衣姿にもマッチします。
ですが、シルクイリスとイリスオムは、いずれも引き算の美学を体現したようなところがあり、現代的な感覚で言えば、とても知的で洗練されていて、浴衣ならではの味わいがあるように思うのです。

「蒸し暑い夏こそ、あえて“逆”を楽しむ」
夏の暑さがピークに達する日には、あえての「逆」の着こなしもおすすめです。蒸し暑い日には、何もかもあっさりとしている方がちょうどいい、と思うことはありませんか?
ですので、敢えて、女性はイリスオムをまとって女らしい色気を引いてキリッと、男性はシルクイリスをまとって男らしい色気を引いて、優しくマイルドに、引き算の着こなしもおすすめしたいと思っています。
女性にイリスオム:女性らしい色気をキリッと粋な印象に。
男性にシルクイリス:男性らしい力強さをマイルドで涼しげな印象に。
男性はより男性らしく、女性はより女性らしく見える、浴衣という装いがもたらす「性別らしさ」を、あえて引き算してみることで新しい自分に出会えるかもしれません。

「浴衣で楽しむ“なりたい自分”」
余談ですが、浴衣を着ると「男女ともに」大人っぽく見える、と感じている人も多いのではないでしょうか?
浴衣を着ると・・・
- 動きが丁寧になる
- 浴衣自体、落ち着いた色や柄、形が多い
- 日常の延長にある洋服とは違う非日常感
これらが合わさって、「ちょっと背伸びした大人っぽさ」が自然とにじみ出るわけです。
もちろん、そんな大人っぽさがにじみ出るいわゆる和風の浴衣ではなく、ポップで洋風テイストの浴衣も魅力的です。そんな浴衣を選んだ場合は、少し子どもっぽく見えたり、あるいは、意外性のある印象になったりするでしょう。
それぞれに個性があり、これは、良い悪いではなく魅せたい方向性の違いを選ぶものだと思います。どれを選ぶかは「なりたい自分」次第。
「自分の思いと直感の関係」
「なりたい自分」といえば、以前、こんな話を聞いたことがあります。
「こんな自分になりたいな」「こんな自分も素敵かも?」―― そんなふうに自分について思い描く(妄想する)ことで、人は理想の自分に近づいていくのだ、と。
人の脳には、直感の回路と理詰めの回路があり、この2つは同時には働かないとのこと。たとえば、理詰めで考えているときに直感に従おうとしても、自信が持てず、結果的にその直感を無視してしまうことはよくあるそうです。
一方で、実は、人間の脳は、五感(視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚)などを通して、顕在意識よりもはるかに多くの情報を潜在意識で受け取っているとのこと。
黒川伊保子さんの著書『運がいいと言われる人の脳科学』(新潮文庫)によると、「運がいい」と言われる人は、この潜在意識の回路が活性化しており、直感が鋭く、チャンスを逃さず行動できるのだそう。
目指すイメージが脳内に明確にあることで、潜在意識がその目標に関係のある情報(人・機会・ヒント・気づきなど)を自然とピックアップしてくれる状態になるというのです。
つまり、妄想は、直感という形で、潜在意識からのヒントをもらう、未来づくりの手段。こうして、潜在意識が導く直感を活かすことができれば、私たちはより自然に、なりたい自分に近づいたり、チャンスを掴みやすくなるのです。
「浴衣と直感で“新しい自分”に出会う」
妄想は、未来に向かうだけではありません。
実はそれが、自分でも気づかなかった一面を見つけるヒントにもなります。
なぜかというと、妄想とは、現実の制限や常識から一度離れて、「こうなれたらいいな」「こうだったら楽しいな」と自由に自分を描く行為。
そこには普段抑えている感情や願望、隠している一面が自然と表れることがあります。
たとえば、「大胆な色の浴衣を着て、都会を歩いてみたい」と妄想したとします。これは単なる空想に見えて、実は「もっと自由に装いたい」「注目される自分もいいかもしれない」といった深層の願望や価値観が潜んでいることもあるわけです。
浴衣はすでに非日常の入り口。現実の枠から少し離れた発想ができるチャンス。
和装が持つ美意識に触れたこの機会に、「なりたい自分」を思い浮かべて、着てみたい浴衣、纏いたい香りを色々とイメージしてみる。
そんな妄想で潜在意識が働き、新しいテイストの自分に出会えるかもしれません。
よろしければ以下のブログ記事もご覧ください。
シルクイリスのできるまで。 Silk Iris
パルファンサトリの「イリスオム」が「FRAGRANTICA(フレグランチカ)」に掲載!
ニックネーム:T.T
プロフィール:香水ソムリエ。パルファンサトリ フレグランススクールにてインストラクターをさせていただいていました。現在はアトリエで接客を担当しております。

