L-ムスコンは天然ジャコウのキー成分で、光学異性体の天然型のムスク香料です。
L-ムスコンの香りは、香水に、エレガントで温かみのあるパウダリーなムスキーノートを与え、プッシュアップし、トップからの拡散性を高めます。
ムスク（麝香）とは
ムスク（麝香）とは、もともとは麝香鹿という小型の雄鹿から採取された天然香料で、漢方薬でも使用されてきました。麝香鹿は、へその下に雌を引き寄せるための香りの香嚢を持ち、その香りは1km四方まで届くと言われています。心臓病などの治療に用いられ、半世紀ほど前に2万頭が捕獲され絶滅の危機に瀕し、ワシントン条約で保護されています。そのため、今、一般に香りとして使用されているのは合成ムスクです。
天然界に存在する芳香分子から、純合成のものまで、ムスク様（よう）と呼ばれる香料には多くの種類があります。
ムスクの香調
ムスクの香りは、ごく薄く希釈されると、天然麝香の生の香りとは異なり、優しい香りになります。それは人の肌を思わせる懐かしさも感じられるでしょう。また洗剤にも多く使用され、洗い立てのシーツやタオルを思い起こさせます。そのため、清潔感のある白いイメージやパウダリーで温かみのある香りの印象です。一方で、透明感のあるフルーティやフローラルなどと組み合わせると、美しいラストを演出します。
逆にムスクにはフェロモン的な、ムっとくる、少し獣っぽいイメージを持つ人もいます。香水中でのムスクの量や組合せ、使用方法によって、異なる印象を与えます。
香水の中の働き
ノビヤカ-NOBIYAKA-のキーマテリアル
L-ムスコンをノビヤカの最後の仕上げに加えると、すでにのびやかな香りがさらに一段階膨らみます。ジューシーなトップノートには、ビワがポンポンと弾けるようなイメージが加わりました。
さらに、ミドルからラストまでの香りには、複数のムスクが使用されています。これらは後ろからほのかに漂い、イリスバターと共に、サラサラとした控えめな光沢感をもたらしました。