解放感のある香り「ノビヤカ-NOBIYAKA-」メイキングストーリー

枇杷と梅酒が香るパルファンサトリの香水ノビヤカ

のびやかに

「ノビヤカ」の意味は『振る舞いなどに束縛がなく、あるがままで、ゆったりしているさま』
:小学館 類語例解辞典 より

香りのインスピレーションをビジュアル化するために製作へ至る道、浮かんだ香料やイメージをスケッチしていく。この絵は最終段階のラストスケッチです。

絵の中央にあるのはサフランの火山。球根は割れ、芽はぐんぐんと伸び、花、蕊、そしてシュンシュンと葉が天へ伸びていく。

天上に広がる雲海はムスコンの香り。そこを琵琶(ビワ)を持った枇杷天女(びわてんにょ)がフワフワと飛び回る。明るくて、開放感があって、心がのびやかに弾むような香りをスケッチしました。

パルファンサトリの香水ノビヤカのイメージスケッチ

コロナ渦により、閉塞感のある世界が3年は続いた。
徐々に社会が回り始めたころ、皆の開放感を後押しするようなワンプッシュが出来たら。
香水によって、タイトルが先に決まることがあれば、香料からイメージが湧いて、タイトルが最後になることもある。「のびやか」は、願いのイメージが先にタイトルとして浮かんだ作品。
皆様の気持ちが〜のびやか〜になりますように。


香調とイメージ

タイトルから連想した香調はこんなキーワード。
「アクアティックフローラルフルーティ」
「オゾンマリンフルーティ」
「ウォータリーオゾンフルーティ」
「シアーフローラル」


イメージは

「クリーンだけどシンプルでありきたりではない。肌の上で広がり、微妙なニュアンスが感じられる香り」
これが最初のラフデザインでした。

デザインについて

アクアティックなイメージを持つロータス(ハス)の習作を始めた直後、国産の「AKAITOサフラン®」香料を紹介されました。食の世界で最も高価なスパイスである「サフラン」。香りは面白いと思ったものの、使い方には悩みます。
サフランの主産地は中東です。このスパイスをテーマにした他ブランドの多くの香水は、ダークでヘビーなオリエンタルなものが多いのです。
そこで逆に「国産の最上級のサフランなら、繊細な和食に合わせたら特徴を活かせるのでは」「同様に香水も、透明感のある新鮮なイメージに仕立てるのが相応しいのでは」と考えました。


ロータスのクリーンなベースは、他の香りの特徴を活かす、和食でいえばお出汁のような存在。
トップのフルーティはフィグ(いちぢく)の香りを最初に思い浮かべました。作っているうちにフィグの青臭さであるステモン(香料)は苦くなり、ミルキーなラクトン(香料)は白く濁ってしまう。そこで、もう少しクセのない、日本の果実である枇杷(ビワ)に変更しました。
枇杷は、花も果実もアニス系の香りを持つので目標に一致しており、特にアニス系カントキサール(香料)は、枇杷の実を食べたときに感じる香り・・・。

香料の種類を追加していくと、処方(香りの設計図)の本数は多くなりがちです。
過不足なく仕上げたい。
透明感を保つため、邪魔な素材は外し、足したり引いたり戻したりを何度となく繰り返します。そのプロセスの中で、ぼんやりとした香りのイメージが輪郭を作っていく。
ラストまで、フローラルとムスクが透明なまま続くように。サンダルウッドは隠し味のように。
仕上げにもう少し香りにフックが欲しい、、、。調香オルガン台の香料ボトルをあれこれ確認するうちに、DAVANA(ダバナ)に行き当たりました。『そういえば黒糖梅酒のような香りがあった・・』私たちの大好きな梅の香り。
枇杷、サフラン、梅酒。充分な広がりと心地よさがあります。
もうひといき。と最後にL-ムスコンを微量加えたところ、トップの香りがポンポンと弾けてきました。
みずみずしさ、解放感、のびやか、そしてはずむ心。
目の前のスケッチが色と映像となって動き出したのでした

のびやか -Nobiyaka – PARFUM SATORI