生のライチ の季節に思い出すこと

ネムの香水のトップノートを決めるきっかけとなった 生のライチ

生のライチ

スーパーに 生のライチ が並ぶ季節になると、私は毎年一度は買うようにしています。

今では夏になると見かけるようになりましたが、二十年ほど前は、生のライチはまだ珍しい果物でした。

当時、知人がお土産に持ってきてくれたライチを初めて食べ、その香りに驚きました。みずみずしく、ほんのりとローズを思わせるような、透明感のある甘さ。

「これは合歓の香りの入口になるかもしれない。」
そう思ったことを、今でもよく覚えています。

もちろん、香水「ネム」に使われているのはライチそのものではありません。
ライチから香料を抽出しているわけではなく、いくつもの香料を組み合わせて、その印象を表現しています。

それでも、毎年ライチを口にすると、
「やっぱりこの印象だった。」
そんな答え合わせをしているような気持ちになります。

自然の香りは、その年の気候や熟し具合によって少しずつ表情が違います。
それでも、自分が二十年前に感じた印象と大きく違わないことに、少し安心します。

調香師にとって、自然は一度見たら終わりではありません。
季節が巡るたびに、もう一度確かめ、記憶を少しずつ更新していくものなのです。

ほお紅の刷毛のような繊細な合歓の花

香水「ネム」がどのように生まれ、なぜトップノートにライチを選んだのかについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

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