[香水の知識] ラストノート(LAST NOTE):香水の匂い立ち その4

匂いのラストノート

香水の香りは時間とともに変化していきます。この変化の過程は、トップノート(最初に感じる香り)、ミドルノート(香りの中心)、そしてラストノート(最終的に残る香り)と分類されます。

ラストノートは、ミドルノートが落ち着いた後に残る香りであり、持続性が高いのが特徴です。「残香(ざんこう)」や「残り香(のこりが)」とも呼ばれ、香水の全体的な印象を決定づける要素の一つです。。

ラストノートを構成する香料

ラストノートは、蒸発の遅い(沸点の高い)芳香分子を持つ香料によって形成されます。主に以下のようなノートが含まれます。

①アニマルノート

アニマルノートには、ムスク、アンバー、シベット、カストリウムなど、かつて動物由来であった香料が含まれます。現在では、倫理的・環境的な理由から、多くが合成香料に置き換えられています。

②ウッディノート

ウッディノートは、サンダルウッド(白檀)やシダーウッド(杉)など、木の香りを主体としたノートです。特にラストノートに使われるものは、揮発が遅く、持続性のある成分が多いのが特徴です。

③モスノート

モスノートは、苔のような深みのある香りを持つノートです。代表的なものとして、オークモス(地衣類・ツノマタゴケ)やトリーモスが挙げられます。また、合成香料のメチルアトラレートもモスノートを形成する成分の一つです。

オークモスの香料原体(パルファンサトリ資料)
オークモスの香料原体です。(パルファンサトリ資料)

④バルサムノート

バルサムノートには、ファーバルサム、ペルーバルサム、トルーバルサムなど、樹脂由来の甘く濃厚な香りが含まれます。これらは香水の奥行きを増し、持続性を高める役割を果たします。。

ラストノートの役割と香水の構成

香水は第一印象(トップノート)が重視されがちですが、時間とともに変化する香りのバランスが全体の完成度を決定します。

市場においては、消費者が店頭で試した際の第一印象が購入の決め手となることが多く、トップノートに力を入れた香水が多く見られます。そのため、大量生産されるブランド香水の多くはトップノートのインパクトを重視し、ミドルノートやラストノートの精緻な設計に時間やコストをかけない傾向があります。

しかしながら、香水の真価はミドルノートからラストノートにかけての香りの移り変わりにあります。持続する香りが心地よく、長く付き合えるものであるかどうかが、香水の完成度を左右する重要な要素となるのです。

By Satori

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