16世紀の茶人「古田織部」は、千利休の「人と違うことをせよ」という教えを忠実に実行し、大胆で自由な気風で、美の新しい価値観を茶の世界に作りました。当時から”ひょうげもの”とも呼ばれた、この焼き物に代表される濃い緑と黒のデザインは、いまもモダンです。
古くは16世紀の『宗湛日記(そうたんにっき)』に「セト茶碗ヒツミ候也。ヘウケ(ゲ)モノ也」と称賛されたように、織部の「ひょうげもの」という異名も今ではよく知られるようになりました。
司馬遼太郎は「古田織部はおそらく世界の造形芸術史のなかで、こんにちでいう前衛精神をもった最初の人物ではないかと思う」と評しています。