PARFUM SATORI 2025 年を振り返って──時間を確認した一年

グラースの香料植物園に立つ糸杉と、初夏の曇り空の風景

PARFUM SATORI 2025 。今年はパルファンサトリにとって、香りがさまざまな場を越えて動いた一年だった。

国内では百貨店やイベントを通じて多くの方と香りを共有し、海外では、久しぶりに現地に足を運び、あらためて時間の積み重なりを確認する機会を得た。

5年ぶりの渡欧

コロナ以降、台湾や韓国などアジアには足を運んでいたが、ヨーロッパを訪れるのは、2019年の秋以来、実に5年ぶりだった。

グラースの香料植物園やパリ、そしてオランダでのイベントなど、懐かしい顔ぶれと再会し、「また無事に会えたね」と言葉を交わし合えたことは、それだけで、この5年という時間の長さを実感させる出来事だった。

同時に、この間にPARFUM SATORIが確実に変わり、成長してきたことも、現地での会話や反応を通して、はっきりと感じることができた。

日本の香水をめぐる変化

ここ数年、「Japanese fragrance」や「日本の美意識」といった言葉を、香水に限らず、さまざまな展示会や広告、イベントの中で目にする機会が増えてきた。

2000年頃は、ニッチフレグランスという概念そのものが、まだ一般的ではなかった時代である。「Japanese fragrance」という言葉が、一つのカテゴリーとして語られるようになったのは、この3年から5年ほどの間ではないだろうか。

新しい日本のニッチブランドが次々と生まれ、それらが点ではなく、流れとして捉えられるようになった。それと時を同じくして、「日本の美意識」という言葉も、一つの文脈として共有され始めているように感じる。

それはナショナリズムというよりも、生まれ育ってきた文化や感覚を、特別に主張することなく、自然に受け継いでいこうとする姿勢に近いのかもしれない。

インバウンドの現場で感じること

ショップに立っていて、ここ3年ほどで、はっきりと感じている変化がある。

特定の国や地域に偏ることなく、ヨーロッパ、アジア、中東、オーストラリア、カナダなど、実に幅広い地域からお客様を迎えるようになった。

私たちは、来店された際に「どちらから来日されたのか」を伺うようにしているが、一日の中でこれほど多様な地域の名前を耳にすることは、以前にはあまりなかったことだ。

香水や商品以前に、日本という文化や美意識そのものに関心を寄せて来日されている方が増えていることを、現場で実感している。

時間の中で育まれてきた感覚

近年、持続可能性やエコ、リサイクルといった言葉が、世界共通の価値として語られるようになっている。

一方で日本では、それらが理念として掲げられる以前から、使い切ること、手入れをして長く使うこと、季節の移ろいに合わせて循環させることが、生活の中で自然に行われてきた側面がある。

そうした感覚が、今あらためて「日本の美意識」として、海外から関心を持たれているのかもしれない。

そして、また次の一年へ

2025年は、外へ出て、時間と変化を確認する一年だった。

来年も、特別なことを目指すつもりはない。ただ、日本という文化の中で育まれてきた感覚を、香りというかたちで、誠実に届けていく。その積み重ねを、静かに続けていきたい。


関連映像

送信中です

×