PARFUM SATORI コレクション|香りの設計 ― 時間と空間の中で生きる香り ―

金と墨が交わる筆の軌跡。香りが空気と交わり、形を描く「 香りの設計 」を象徴する。

香りの設計 ― 時間と空間の中で生きる香り ―

BASIC(ベーシックコレクション)で確立された“ 香りの設計 ”は、
香りがどのように立ち上がり、空気の中でどのように変化し、やがてどのように静かに消えていくかという、時間と空間を結ぶ導線でもある。

香りは線でも、平面でもなく、立体として存在している。
目には見えなくても、香料分子の点描は、三次元の空間の中で形を描き、時間とともに変化していく。

その変化が滑らかに流れるとき、香りは和音がつらなり、旋律となる。
ときに、その輪郭がふと消えると、香りは行き場を失い、雪崩れるように落ちる。
そこに、わずかな不調和の影が生まれる。

香りの設計 とは、立体の中で香りが息づくための構築であり、香料を積み上げる技術ではなく、香りを生かす空間をつくること。

BASIC(ベーシックコレクション)はその「香りの形」を描き出し、
PREMIUM(プレミアムコレクション)はボディの質感と滑らかさを高め、
EX(パルファンエクストレ)は香りが消えていく過程――
すなわち余韻と静けさの領域を深化させている。

補記

「 香りの設計 」とは、香りを時間軸と空間軸の中でどのように展開させるかという調香上の考え方。香料の組成だけでなく、香りが空気と交わりながら立体的に変化する“動き”を設計することを指す。

無数の粒子が光の中で漂う。香料分子が立体の中を流れ、香りの動きを形にする様子

― BASIC/PREMIUM/EX ―

香りの深度と空気の表現、その三つの階層

BASIC 構想と直感(Idea)
PREMIUM 質感と成熟(Depth)
EX 余韻と沈黙(Silence)

EXは上位ではなく、香りの“到達点”。
発想(BASIC)から熟成(PREMIUM)を経て、空気と共鳴する静寂(EX/エクストレ)へと至る、ひとつの香りの道です。

── ここから、三つのコレクションが紡ぐ香りの世界へ。

BASIC COLLECTION― 香りの設計 の原点

発想と感覚の出発点

日常に寄り添いながらも、それぞれが独立した物語を持つ、ブランド初期のコレクション。香料の個性を明快に描き出し、「香りのアイデア」を最も純粋な形で提示する層です。
構築的でありながら、シンプルで明快な輪郭。
のちのPremiumやEXの原点となる香りの設計がここにあります。

収録作ヨルノウメ/コケシミズ/MR66/スイレン/ネム/ヒョウゲ/ムラサキノウエ/ソネット/コンシロ

香調の印象:明快・構築的・軽やか・直感

PARFUM SATORI BASIC COLLECTION 紹介はこちら

PREMIUM COLLECTION

素材の深みと空気の質感

BASICで示した構造をもとに、香料の質と空気感をさらに磨いたコレクション。天然素材を中心に「光と影の間に香る質感」を追求し、透明感と厚みを両立させることで、香りの成熟を表現しています。香りの輪郭が柔らかくなり、静けさの中に奥行きを感じさせるシリーズです。

収録作:シルクイリス/イリスオム/ワビスケ/ミズナラ/サトリ/ノビヤカ/サクラ

香調の印象滑らか・質感・成熟

PARFUM SATORI PREMIUM COLLECTION 紹介はこちら

光の中に浮かぶPARFUM SATORI BOTANのボトル。香りの存在が空気と共鳴する瞬間を捉える。

EX COLLECTION(PARFUM EX)

空気と光の余韻を極める

EXは濃度の強化ではなく、「香りの存在のさせ方」を再設計したコレクションです。揮発曲線・香料構成・空気との共鳴を繊細に調整し、湿度を含む日本の風土で最も美しく響く香りを目指しました。強く香るのではなく、光とともに静かに消えていく――沈黙に近い香り。香りが“余韻として残る”ことを目的としています。

収録作牡丹(BOTAN)/ハナヒラク(HANA HIRAKU)/サトリ(SATORI)/薔薇(SOUBI)/ワサンボン(WASANBON)

香調の印象余韻・静寂・内省

PARFUM EX シリーズ紹介はこちら

闇の中で微光を帯びるPARFUM SATORI BOTANのボトル。香りが沈黙のうちに余韻を残す。

モノローグ
― 香りと哲学 、 香りの設計 の思想―

過去、香水はガラスと出会い、ファッションと結びつき、芸術と交わることで革新を遂げてきた。では、「香水と哲学」はどうであろう。

日本には「哲学者が少ない」と言われることがある。 それは、日本に思索がなかったからではなく、思索を“行い”として生きてきたからではないだろうか。

西洋では思想が言葉の体系として積み上げられたのに対し、日本では「道」として、書・茶・香・花・武といった実践のかたちで継がれてきた。

言葉ではなく、間で語ること。理論ではなく、気配で伝えること。そのあり方が、香りに最も近い。

香りは、言葉になる前の哲学である。目に見えないまま、存在と時間を問う。空気の中で形を変えながら、沈黙のうちに世界を映し出す。

もし日本的な哲学があるとすれば、それは香りのように――語らずして在るということかもしれない。

発信:PARFUM SATORI(パルファンサトリ)/ 創業者・調香師 大沢さとり


参考文献・関連リンク

一部画像素材:Unsplash

岩波新書編集部「日本思想史——日本思想をどう捉えるか」

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