IRIS HOMME (イリスオム)を、PARFUM SATORIの香りでマッピングすると、
ちょうど中央に置かれています。
甘すぎず、重すぎず。
軽すぎず、乾きすぎない。
いわば、ブランドの中の“中央値”。
強く主張する香りではありません。
けれど、どこか整っている。
だからこそ、言葉にしにくい香りでもあります。
IRIS HOMMEは、
イリスを軸に、清潔感と静かな深みを持つメンズ香水です。
(※ イリスという素材については、こちらの記事でも触れています。
→イリス(IRIS) の香料:エレガントでパウダリーな香料の魅力)
IRIS HOMMEはなぜレビューが少ないのか
中央にある香水は言語化しづらい
強い香りは感想が生まれやすい。
「華やか」「セクシー」「印象的」――
そうした言葉は書きやすいものです。
けれど、中央にある香りは違います。
突出しない。
押しつけない。
だからこそ、説明が難しい。
IRIS HOMMEは「体験」ではなく「空気」
香りは、強いほど「体験」になります。
けれどIRIS HOMMEは、体験というより「空気」に近い。
気づけば整っていて、気づけば自分の距離に戻っている。
そういう香りは、
感想より先に、習慣になっていくのかもしれません。
タクシーの中で起きたこと
密室でのひと言
発売当初、撮影を担当してくれたカメラマンが
IRIS HOMMEを纏ってタクシーに乗ったときのこと。
支払いのために手を伸ばしたとき、運転手さんがふとこう言ったそうです。
「お客さん、ものすごくいい香りがしますね。」
近距離で評価されるIRIS HOMME
これは、恋愛の話ではありません。
密室で、日々お客様の香りに向き合っている運転手さんから、
自然に出たひと言だったことが印象的でした。
IRIS HOMMEは、
近距離で、静かに評価される香りなのだと思います。
なぜ海外でIRIS HOMMEが選ばれるのか
ヨーロッパ的な奥行き
売上を見ると、
IRIS HOMMEは国内よりも海外からの来店客の購入率が高い傾向があります。
特にヨーロッパ系のお客様に選ばれることが多い。
理由を断定することはできませんが、
IRIS HOMMEには、ひとことで言い切れない香りの重なりがあります。
直線的でわかりやすい香りというより、
ゆるやかな層を持つ構成。
その“奥行き”や“複雑さ”が、
自然に受け入れられているのかもしれません。
トニックやフゼアではない男性香水
いわゆる強いトニック調や典型的なフゼアの「男らしさ」とは少し違い、
IRIS HOMMEは、強さや圧を誇張しない設計に寄っています。
だからこそ、近い距離や日常の場面でも香りが過剰になりにくい。
洗練と中庸
日本食は、見た目はシンプルでも、
実際には非常に手が込んでいます。
派手ではない。
けれど、削ぎ落とした先に残る設計がある。
IRIS HOMMEもまた、 強く主張するのではなく、
重なりの中で整っていく香りです。
それは、 控えめというよりも「洗練」に近い。
中庸の美学。
強く前に出ないことを美しいとする感覚は、
どこか日本的でもあります。
広告から消えても、生活から消えない
IRIS HOMME(イリスオム)は2010年に発売しました。
パルファンサトリがライトアップショッピングクラブの通販誌で取り上げていただいたのは、2009年のMOTHER ROADが初めてでした。
そして翌2010年、IRIS HOMMEは発売と同時に、同誌で掲載されました。
発掘してくださった方も、
誌面で紹介してくださった方も、
いまは鬼籍に入られましたが、
そのご縁は今も続いています。
誌面からはやがて姿を消しました。
それでも、
今もショールームで静かに手に取ることができます。
そして――
2014年から、
毎年欠かさずIRIS HOMMEを選び続けている方がいます。
大きな言葉はありません。
レビューもありません。
けれど、10年以上。
それは、
香りが生活の一部になっているということなのだと思います。

ベンチマークとしてのIRIS HOMME
パルファンサトリの“中央値”
IRIS HOMMEは、
最初の1本に選ばれることは多くありません。
もっと個性的な香りに目が向くこともあります。
けれど、最後まで残る1本になることがある。
中央にある香りは、
目立たない代わりに、長く寄り添う。
最初の1本ではなく、最後まで残る1本
香りを選ぶとき、人はしばしば
「自分がなりたい姿」に引かれます。
だから最初の一本は、わかりやすい個性に手が伸びやすい。
けれど生活が続くほど、
香りには“毎日つけられる強さ”が必要になります。
IRIS HOMMEは、
その現実に耐える強さを、
あえて静かに持っている香りです。
※ IRIS HOMMEの詳細はこちら(商品ページ)
発信:PARFUM SATORI
創業者・調香師 大沢さとり

