ジャスミンアブソリュートの香りと特性【Jasmine Absolute】

漢名:ソケイ(素馨) 学名:Jasminum grandiflorum 

薔薇が花の女王であれば、ジャスミンは香りの王といえるでしょう。香料界ではバラ、スズラン、ジャスミンの3大フローラルの一つとされています。さらに、リラとスミレを加えて5大フローラルと呼ばれることもあります。

ソケイ(素馨)の名前

ジャスミンの漢名「素馨(そけい)」は、中国の傾国の美女の名前から由来します。

「傾国の美女」とは、「寵姫があまりに美しくて為政者がまつりごとをおろそかにしてしまい、国が滅びてしまう」との故事から来ています。この名前からは、美しい人が目を伏せて、うつむき加減のうなじから漂う香りが想起されませんか?

ジャスミンアブソリュードの香調

ジャスミンの白く可憐な生。花の香りは香料そのものよりもすっきりと清純です。しかしながら香料として抽出されると、フローラルな中にミルキーな甘さとゴムのような香りやアニマリックも感じられるでしょう。香りは非常にパワフルで、甘く濃厚、重厚でセンシュアル。その抽出物は黒っぽく粘りがあります。

中国茶にも使われるマツリカ(茉莉花)

他の種類の香料用ジャスミンもあります。

茉莉花(マツリカ)またはサンバック・ジャスミン(Jasminum sambac)は、ジャスミンティーのフレーバーとして昔から使用されてきました。サンバックジャスミンは、インドールとグリーンアニマルの香りが強いのが特徴で、フレグランスにも使われます。

その他の観賞用ジャスミン

ハゴロモジャスミン(Jasminum polyanthum)は、市街地で5月頃に見かけることができます。つぼみは赤く、開花すると白い花びらの縁に淡い桃色の覆輪が現れます。とてもに愛らしく姿だけでなく、繁殖力が旺盛で多くの花を咲かせます。そのため、近くを歩くと周囲に香りが漂うのに気がつくでしょう。香料用としては使用されませんが、観賞用として人気があります。

ジャスミンの採油法

アンフルラージュ

アンフルラージュは、古典的な採油方法です。花弁を脂肪に浸出させて香りを抽出します。この方法は特に繊細な花に適しており、ジャスミンの香りを最大限に吸収します。シャーレと呼ばれるガラス板にラードやヘッドなど脂肪を塗り、その上に花弁を敷き詰め、数日間放置します。脂肪が香りを吸収した後、アルコールで溶解し、香料を取り出します。

CO2抽出

CO2抽出法は、比較的新しい技術で、低温で高圧の二酸化炭素を使用して香りを抽出します。これにより、熱に弱い香り成分が劣化せずに高品質なエッセンスが得られます。CO2抽出は環境に優しく、残留溶剤がないため、純度の高い香料が得られます。

溶剤抽出

溶剤抽出法は、ヘキサンやエタノールなどの溶剤を使用して香りを抽出する方法です。ジャスミンの花弁を溶剤に浸し、香り成分を溶かし出します。その後、溶剤を蒸発させて香料を得ます。多くの場合、最終製品はアブソリュートとして知られる濃縮物になります。

最近の香水のトレンド

近年の香水のトレンドでは、軽めでトランスペアレント(透明)な香水が好まれます。そのため、天然ジャスミンを多用した香りは重く暗いと感じられることも。多くは代わりにジャスミン系のケミカル合成が使われます。

それでも、天然香料には力があります。ジャスミンアブソリュードを、必要な量を過不足なく加えることで、厚みとバランスを整えることができますし、最近のニッチフレグランスからは、これらの花の天然香料を贅沢に使用したクラッシックな香水も販売されています。

香水の中の働き

ジャスミンアブソリュートは天然香料であり、他の花と合わせることでフローラルリッチな華やかさを出します。ジャスミンのキー成分であるインドールは、白い花のボリューム感を引き立てます。グリーンタイプの香りでは、がさつきを抑え、滑らかさを加える効果があります。

一例として、ティーノートに合わせて使用されることがあり、香水の華やかさを強調します。また、ジャスミンアブソリュートは、マグノリアの肉厚な花びらやミルキーな白、ボリュームのある大きな花を表現する際にも使用されます。

ジャスミンアブソリュードを使用しているパルファンサトリの香水

ハナヒラク -HANAHIRAKU-
コンシロ -KON SHIRO-
ヒョウゲ HYOUGE-

HANAHIRAKU

KON SHIRO