常盤の松 — 新しい年に寄せて

明治神宮で展示されていた 松の盆栽 の一部。ジンシャリ(神舎利)と呼ばれる白く露出した幹と、丁寧に整えられた松葉が対比的に写っている。

年頭のご挨拶

新しい年を迎えました。
皆さまにとって、穏やかで健やかな一年となりますよう、お祈り申し上げます。
本年も、香りとともに、静かに考える時間を大切にしていきたいと思います。

松について

松は冬でも葉を落とさない常緑樹で、「常盤(ときわ)」の象徴とされてきました。
変わらぬ姿は、何もしなくてよいという意味ではなく、
長い時間をかけた手入れと忍耐の積み重ねによって保たれています。

盆栽の松には、とりわけその時間が凝縮されています。
小さな鉢の中に、風雪に耐えてきた大木の記憶が宿る。
それを前にすると、自分が小さくなり、木の下に立って見上げているような感覚になります。

写真について

この写真は、15年前に撮影した明治神宮の松の盆栽展示の一部です。
幹の白く露出した部分は「ジンシャリ」と呼ばれる技法で、
枯れた部分をあえて残し、樹が生き抜いてきた時間を表しています。

「ジン(神)シャリ(舎利)」という言葉が示す通り、
それは単なる装飾ではなく、
失われたものを抱えたまま、なお生きている姿の象徴でもあります。

お正月に松が尊ばれるのは、ただ縁起が良いからではなく、
こうした時間の重なりを、静かに受け止める存在だからかもしれません。

送信中です

×