シルクイリス:絹のような優雅さを纏う香りの物語

シルクイリスの誕生


シルクイリスは、パルファンサトリが誇る2つのイリスを主題にした香水のうち、最初に誕生した作品です。この香水は、長い間、調香師大沢の心に宿っていたミューズをイメージして創作されました。調香師が高校時代に見た古い白黒の映画雑誌に登場したフランスの女優、その横顔には気品が漂い、シンプルながらもエレガントな美しさがありました。

その女優のシンプルな装い—シルクのシャツとパールネックレスの控えめな輝き—は、調香師の心に深く刻まれ、「大人になった時にはこのような女性になりたい」という憧れが、この香水の誕生へとつながったのです。

シルクイリスの香水のイメージはパールの光沢感

香りのコンセプト


シルクイリスは、月の光が肌に降りて、内側から白い輝きを放つようなイメージで処方されました。日本は古来から「絹の国」として知られており、シルクの滑らかな肌触りや、半透明の障子越しに差し込む柔らかな光、あるいは間接照明のような控えめで上品な美しさがこの香水の背後にあります。強く遠くまで届くというよりは、繊細でいつまでも肌を包み込むような香りです。

イリスの香りの特徴


イリスは、バラやジャスミンのような華やかさはなく、控えめでありながら持続力のある香りです。イリスのパウダリーなニュアンスや上品な輝きを活かした香水を作ることは、多くの調香師の夢のひとつです。

また、フランスのミューズを元にしていながらも、日本的な「表に現れるのを恥じる美しさ」という美的感覚を表現したいという思いが強くなり、シルクイリスはその両者を融合させた香水となりました。

シルクイリスの香りの構成


シルクイリスは3つの要素で構成されています。

まず、イリスコア・ベースは、削りたての木材と白いスミレの中間に位置する、清潔感のあるパウダリーな香りです。次に、シトラスベースと白桃の繊細なフルーティノートが、優しく全体を包み込みます。特に、ジャスミンとヴェロートゥンが白桃の瑞々しさと軽やかな渋みを表現しています。

ラストノートは、動物的な強さを避け、植物由来のセンシュアルなアニマルノートを採用。香りが肌に静かに残り、心地よい余韻を楽しめるよう仕上げました。

シルクイリスの香りは、絹の柔らかい手触りと光沢感です

シルクのような香りのテクスチャー


この香りは、装飾やディテールにこだわるというより、テクスチャーとカットの美しさを重視した香りです。シンプルな白いシャツであっても、素材や仕立てが異なるとその輝きやシルエットは変わります。シルクイリスは、そういった繊細な違いを理解できる方にふさわしい、上品さを持った香水です。

香りの使い方とシチュエーション


シルクイリスは、自分自身が心地よく過ごしたいとき、強い香りを避けるべき場所での使用に適しています。たとえば、上品に装いたい特別なディナーや、静かな夜に自分だけのリラックスタイムを過ごしたいときにぴったりの香りです。この香りは周囲に主張するのではなく、そっと寄り添いながら、つける人の内なる美しさを引き立てます。

ユニセックスな香り


シルクイリスはもともと女性のために作られましたが、近年では男性からの支持も増えています。かつてはユニセックスやシェアフレグランスと呼ばれていたこのジャンルも、今ではジェンダーレスという概念に進化し、香りの選択肢に対する垣根が低くなっています。

この香りは、男性的・女性的という枠にとらわれず、使う人の個性を引き立てる香水として、現代の香り文化に調和しています。

このように、シルクイリスはただの香りではなく、心の中に存在する美的理想と、日本的な美意識が織り交ぜられた作品です。ぜひ、香りをまとうことで、その世界観を感じ取ってみてください。

シルクイリスの評価

「シルクイリス」は、世界的に名高い香水評論家ルカ・テュリンが執筆した「香水ガイドⅢ」で、4つ星の評価を受けています。匂いの帝王とも呼ばれる彼からの高い評価は、この香水の品質と魅力を象徴しています。

香水「シルクイリス-SILK IRIS-」のページ→シルクイリス 

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