香水に用いられるバラの天然香料には、代表的な二つの品種があります。
ひとつは、ブルガリアを主産地とする「ダマスク・ローズ」。蒸留酒を思わせるような、力強く華やかな香りが特徴です。
もうひとつは、かつて南フランス・グラースを中心に栽培された「ローズ・ド・メ(Rose de Mai/5月のバラ)」。センティフォリアという学名の由来にもなった、花びらの重なりが豊かなピンクのバラです。
ダマスク・ローズ・エッセンスがトップノートに鮮烈な印象を残すのに対し、ローズ・ド・メのアブソリュートは、花の蕊(しべ)に宿る蜜のような甘さが、やわらかく穏やかに続きます。