”捉え直す”という捉え方 オリエンタリズムを引きながら 先日グランドツアーを題材とした映画を鑑賞した。 (※グランドツアー:”近世英国の習慣として、貴族や裕福なジェントリ層の子弟の多くが、外国語を学び、一流の芸術や古代遺跡などの異文化に触れて教養を高め、洗練したマナーを身につ…
和菓子 に見る芸術──日本の四季と香りが奏でる美のかたち 暑かった夏も終わり、すっかり秋らしい季節になりました。 芸術の秋に食欲の秋、秋は人の感性を静かに呼び覚ます時季でもあります。 身近な存在にあって、芸術と食欲の両方を満たしてくれるものは何だろうと考えた時、私が真っ先に思い…
This is の正体— パルファンサトリ の香りの語彙をめぐって — 日本人の感性に寄り添う香りを探求し続けてきたパルファンサトリ。アトリエで生まれる香りと、その背景にある美意識を「This is」の言葉から読み解きます。
『複雑な“香りの強さ”との付き合い方』-そして、香りが心に残る仕組みをめぐる小さな試み- 後編 「香りはシーンを特別にする“隠し味”」 香りを足したり引いたりとかきましたが、そもそも香りがある時とない時とで、何が違うのでしょう。 個人的な感覚から言えば、香りや匂いがある時の記憶は、良くも悪くも、その時の感情がより鮮…
『複雑な“香りの強さ”との付き合い方』-そして、香りが心に残る仕組みをめぐる小さな試み- 前編 香りの強さは気温・体温・濃度・つけ方などで大きく変わり、人によって感じ方も異なります。強さは体験を通じて適量を学ぶことが大切。香りは「ふと漂う瞬間」が心地よく、記憶や感情と結びつきやすいため、プルースト効果のように人生の記憶を鮮やかに残します。日常に香りを仕込み、未来の思い出と重ねる試みについても考えます。
陰翳と絢爛 ─ 牡丹の香に映す日本の美と谷崎文学 陰翳(いんえい)と絢爛 (けんらん) 「美というものは常に生活の実際から発達するもので、 暗い部屋に住むことを余儀なくされたわれわれの先祖は、 いつしか陰翳の内に美を発見し、やがては美の目的に沿うように陰翳を利用するに至…
スイレンに見る「水」という精神的象徴性 スイレンの香りが喚起する情景 パルファンサトリのスイレンを香る 霧がかった水面を想像する。それは眼前にだけ広がっていても良いし、周囲一帯を覆いつくしていても良い。 確かな体覚として湿り気の中に居て、視線は霞みを超えたあた…
金木犀(キンモクセイ)― 共通の香りが教えてくれる境界と敬意 金木犀 香り が映し出す「自」と「他」の境界 金木犀 香りは、誰にとっても「あ、金木犀だ」と分かる共通の合図です。けれども、その瞬間に立ち上がる記憶や感情は、一人ひとり固有のもの。共通の刺激から、個別の物語へと分岐してい…
「紫の上」に込められた、源氏物語から続く香りの美学(後編) やまとことばに根差す「かをり」と「にほひ」は、発音体感と情景が結びつき、日本人の美意識や文化に受け継がれてきました。平安期の源氏物語にも表れ、現代の香水文化にも影響。言葉と響きが織りなす感覚は、今も私たちの感性を豊かにしています。
やまとことばで感じる香り―「かをり」と「にほひ」の語感(前編) やまとことばに根差す「かをり」と「にほひ」は、発音体感と情景が結びつき、日本人の美意識や文化に受け継がれてきました。平安期の源氏物語にも表れ、現代の香水文化にも影響。言葉と響きが織りなす感覚は、今も私たちの感性を豊かにしています。
香りとメイク 〜歴史とコーディネート術〜 1. メイクの歴史と日本での変遷 毎日のメイクは欠かせないし、すっかり生活の一部となっている、という方は多いのではないでしょうか。最近では男性の間でも身だしなみの一つとして、また美容意識の高まりからメイクされる方が増え、…
コンシロに見る“間”の美学──日本の色彩文化と香りの哲学 (一)紺と白のあわいに宿る、すべての色彩 紺と白の間に、全ての色調が詰まっている。憂いに濡れる湿夜から、雌伏を讃える薄明まで。暗澹とした深淵から、淡い七彩が分光する清澄まで。全ての色彩は詰まっている。紺と白の間に。 人は…