PARFUM SATORI®︎

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2009.01.12

調香の手順・さくらの場合

香水のイメージ
まず、創りたい香水のイメージやタイトルを考えます。

たとえば「さくら」の香りを調香するとします。

①イメージの構成・・・大きなキーワード
私の作りたい「さくら」のイメージを、いくつかのキーワードを思い浮かべてみます。
そのキーワードをもとに、各パートに分けて、構成を考えます。

大きなキーワードは、A.「桜の花」B.「匂い袋のような」C.「上品でしっとり」


この、大きなキーワードの中身を、さらに小さなパートに分けて考えます。
たとえば、私の考える「A.桜の花」の部分を表す言葉として、

ア「儚く淡いピンク」
イ.「花霞」や
ウ「黒く濡れ濡れとした桜の樹幹」といったように。

花霞.jpg
花霞のイメージ

②アコードをとる
各パートにふさわしいと思われる香料を、数本選択します。

たとえば、ア「儚く淡いピンク」を表現するための3~5本を、異なる比率で何回もブレンドし、最も美しい調和の取れる比率が見つかるまで試して探します。
どちらかといえば、きつい香りより、優しい香りを集めた方が、よりイメージに近づきそうですよね。

もし、選んだ香料がふさわしくなければ、また別の香料と取り換えてさらに試す、を繰り返します。
これを、「アコードをとる」といいます。

こうして、思いどおりの色が表現できたら、やっと(ア)の、一本のベース香料ができたことになります。


③香りのベース作り
同じように、数本の取り合わせで、イ.「花霞」のイメージのベースも、ウ.「黒く濡れ濡れとした桜の樹幹」のベースも作ります。

さくらの樹幹.jpg

やっと(ア)(イ)(ウ)という3本の、香りのベースができました。

④ベース同士を合わせる
こうしてできた香りベース同士を、また組み合わせ、さらにアコードを取ります。

香料瓶.jpg

どちらかというと、やさしい花の部分を多くして、木の幹のようなしっかりとした香りはほんの少しにしたいので、そのあたりを考えて配合比率を決めていきます。

これで、大きなキーワードである、A「桜の花」のキーワードが出来上がりました。

このAの桜の花のベースは、すでに10本程度の香料で構成されていますね。

⑤まとめあげ
A,B,Cのキーワードを、またアコードをとって合わせます。
よりたくさんの香料で構成されたベースができていきます。

こうしてまとめ上げ、3本が9本、9本が27本といったようにして、構成する香料は増えていきます。
ここに、トップノートの部分や、ラストノートの部分など、同じように20~30本の香料でできたベースを合わせていくこともあります。

最終的には、50本、100本の香料を、気の遠くなるような試行錯誤を繰り返しながら一本の香水にまとめ上げていきます。


⑥微調整
一本の香水にまとめた後、イメージにより近づくように、そこに微量の香料を加えたり減らしたりして、さらに調整を行います。

処方の中で、1万分の1、10万分の1の成分が、香りをさらにまろやかにしたり、または匂い立ちをアップしたりします。

ここまでの作業には、数ヶ月から数年を要します。


⑤香りの熟成
完成した香りは、瓶に充填され、2週間ほど熟成させます。たまに香料は劇的な変化をし、創ったときとイメージが変わってしまうこともあります。そんなときは、また初めから作り直すこともあるほど、デリケートで根気のいる作業です。


香りを「作る技術」は、いかにたくさんの香料の特徴をよく観て、評価し、覚えているか、と、このアコードをとる試行錯誤の体験数にかかっています。
調香師は、ファインフレグランスを作るときは通常500~1000種ほどの香料を使います。

オルガン.jpg


そして、『創るというクリエーション』において、その人の歩んだ人生が、感動の多いものであればあるほど、作品は光彩を放つ美しいものになるでしょう。
香水をデザインすることは、他の全ての芸術と同じ、クリエーションの世界なのです。