Parfum Satori

世界の香りの旅の最近のブログ記事

チーズフォンデュ/チューリッヒ fondue

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東京でも毎日寒い日が続きますね!
こんな日はぜひともチーズフォンデュ!

MerryChristmas!

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あれよあれよといううちにクリスマスが過ぎ、一年が暮れていきます。
皆さまに幸多かれとお祈りいたしております。



年末年始の営業日のご案内

 2018年12月28日(金)~2019年1月3日(木)までアトリエをお休みさせていただきます。  オンラインのご注文はこの期間も受け付けております。 (お休み期間にご注文いただきました商品の発送は、2019年1月4日(金)以降に行わせていただきます。)


Our shop in Roppongi will be closed from 28th Dec to 3rd Jan for New Year holidays.

番外編・チューリッヒ芸術大学と造形美術館/Zürcher Hochschule der Künste(ZHdK)

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今回の講演会主催者であるチューリッヒ芸術大学(Die Zürcher Hochschule der Künste、略称ZHdK)は、チューリッヒにあるスイスで最大の芸術系の大学です。

舞台芸術・映画学部、デザイン学部、文化分析・仲介学部、芸術・メディア学部、音楽学部があります。

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ヨーロッパにある芸大のイメージから古風な建物を想像していたのですが、とても近代的なビル。

シンプルな中に、モダンアートの要素も随所にみられビル全体がキャンパスになっています。

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中も外資系企業のオフィスのような作りですが、ビジネスのピリピリした雰囲気ではなく、若い人たちの、のびのびとした学び舎(まなびや)という空気に満ちています。



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迷い込んだ中庭には、シュウメイギク(秋明菊)が咲き乱れていました。暖かいとは言えない戸外のベンチで、本を読んでいる学生さんも。



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大学構内のコーヒーショップ。よく見ると、扉の上には「KAFFEEBAR」の文字が。カフェバーって読むんでしょうね。

ライトミールと飲み物が買えます。


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こちらはビュッフェスタイルの大学レストラン。ものすごく品数が多く、バリエーションに富んだいろいろなお料理が選べます。


明るくモダンな大学構内には、デザインを学ぶ若い人がたくさん行き来していて活気があります。勉強できる立場と環境が羨ましい。。。また学生に戻りたい!!


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私の講演は午前に終わったので、後はストレスフリーでランチをすることができました。アムステルダムから駆け付けたターニャさんと一緒にランチです。お料理に目移りしてしまい、いろんなものをちょっとずつ取りました。


「腹が減っては戦は出来ぬ」とばかりに朝食をたくさん食べたのに、ランチも「戦勝祝い」とばかりにてんこ盛りでいきました!



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そして、チューリッヒ芸術大学には、造形美術館と芸術劇場なども併設されています。



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大学併設の造形美術館のキュレーターの方に美術館の収蔵庫に招待され、香水瓶のコレクションを見せて頂きました。

美術館が閉館した後、講演関係者が10人程でゾロゾロと裏の階段を下りていきます。いくつものゲートをキーカードで開けて、たくさんのモダンな椅子が棚に並ぶ通路を抜け、収蔵庫の扉を開くきます。

そこは整然と箱が収められたロッカールームのような場所。



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造形美術館なので、コレクションは造形の面白さで集めているように思いました。これらは私も見たことがありません。


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これはキャロンのタバブロン。ヴィンテージですね。

『パルファンサトリのコレクションにもありますよ~』と実は、内心、少し自慢に思っていました。


でもなにより、美術館のバックヤードを見ることができたのがとても楽しかったです。


チューリッヒ芸術大学講演‐8完結'The Perfumative - Parfum in Art and Design'

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チューリッヒの講演に関して長々と書いてきましたが、今回を最終回にしたいと思います。

11月8日15時、ようやくチューリッヒの空港からホテルに到着しました。建物はドイツ語圏っぽいですね。

招聘(しょうへい)された講演のスピーカーは15名ほど。フロントで尋ねると、みなさんこちらに宿泊しているそうです。ドイツ、イタリア、フランス、ベルギーなどヨーロッパ近隣から集まり、アジアからは私一人です。



数日前から、映像担当、展示担当、運営など各担当者から、用件のみの短いメールが来て、ジグソーパズルのピースがはまっていきます。
昨日の指令(メール)によると、関係者の全体ミーティングは8日17時から始まるので、カンファレンスルームに集合とのこと。


地図を見ると、ホテルから大学まで徒歩18分とのことで、大きい道を一回右折するだけの迷いようのないシンプルな道。

とりあえず余裕をもって出たのですが、曲がるきっかけを間違えて案の定、迷います。

よそのホテルに飛び込んでまた場所を確認し、ホテル前のタクシーを捕まえたのですが、
「ここからだったら歩いたら近いよ」とドライバー。
「私はすごく急いでいるの!乗せて~!!」

とか押し問答の末、
「この時間は渋滞しているし一方通行があるから歩いたほうが早い」
とか説得されて、しかたなく急ぎ足で歩いていくことにしました。


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「この辺にあるはずだけど。。。」

チューリッヒの芸大ということで、緑のキャンパスにクラッシックな建物を想像していたのですが、とても近代的で巨大なビル。そのため、大学の前を何度も行ったり来たり通り過ぎ、道行く人に尋ねてようやくここが?!とたどり着きました。

ついてみればやっぱりタクシーに乗るより早かった!ドライバーさんありがとう。


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しかし、中に入ってみて、さらに迷子になる。

「カンファレンスルームってどこおおぉぉ・・・」

さんざん聞きまわって、ようやく案内事務所らしきところへ到達、5階の部屋番号を教えてもらうも、学部ごとにブロックが分かれており、それぞれに同じ部屋番号があるらしく、私はまるでラビリンスの中のコマネズミ。


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この棟は音楽学部のようです。
永遠にたどり着けないのではと気が遠くなるのでした。

最後は、迷い込んだデザインルームの学生さんがカンファレンスルームまで送ってくれました。

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初めてお会いする教授方と握手をして、音声担当の方とマイクやパワポの簡単なリハーサルをします。

講演者はマイクを持つ人も、スタンドマイクを使う人も、好きなタイプを選べます。私は両手がフリーになるよう、インカムタイプのマイクにしてもらいました。



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となりのエキシビションルームには展示物を置くだけでよいように、すでに場所が用意がされていました。

ホテルから引っ張ってきた小さなスーツケースから、香水や香道、茶道のセットをとり出して陳列していきます。



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そして、話が前後してしまいましたが、このシリーズの1に戻るわけです。


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講演が終わって皆様から大きな拍手を頂いたときには、それまでの緊張も苦労も吹っ飛んでしまいました。




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こちらは今回の学会をオーガニゼしたチューリッヒ芸術大学の教授方。

カテリナ(Prof. Katharina Tiezet)先生とマーティン(Prof. Jaeggi Martin)先生に、講演後の晩さん会で「よくやった!」とねぎらっていただきました。

アンヌ博士も含めて、今回チューリッヒに来て初めてお会いした方ばかりです。

規模も内容も行程も手探りの中、メールでの少しの情報と、送られた2枚の地図(空港から駅まで、駅からホテルと大学まで)を頼りに旅をする。
会議が終わったころにようやく全貌がわかってきた次第です。


まるでファンタジー・ロールプレイングゲームとでも申せましょうか。この旅でさとりは経験値100を手に入れました!

しかしこれは現実、呪文も魔法使いもおりません。ただ周囲の励ましに支えられて歩いています。


目標は達せられたのでしょうか?いえいえ、いまだ冒険の途中です!



長々とお付き合いくださいましてどうもありがとうございました。

ベリーベリーサンクス!


‐完‐



チューリッヒ芸術大学講演‐学会概要7'The Perfumative - Parfum in Art and Design'とは

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「スイスの講演って、何を話したんですか?」「いったいどんな学会なんでしょう?」
帰国してから、そんな質問をよく受けます。

スイスのチューリッヒ芸術大学で11月8日から10日まで、「芸術とデザインにおける香水」についての学会が開催されました。→学会HP 

要旨はこの学会ホームページに載っているのですが。。。ドイツ語なんです。その後に英語版も続きます。


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この学会の目的は、ざっくり

「香り」は単なるファッションアクセサリーではなく、理論的な考察に値する(アート)であるということを示すために、みんなで話そうじゃないか、とでも申せましょうか。

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学会ホームページから趣旨をかいつまんでお話しすると、


近代の西洋社会の大半で、「匂い」の感覚は香水はファッション、消耗品として扱われ、「芸術」とは捉えられて来なかった。

なぜならば、匂いは形がなくはかないもの。また香水は切り離せないほど身体と結びつくもので、イマヌエル・カント(Immanuel Kant)によれば「肉体は魂の忌まわしい衣服」と中傷もされてきた。


芸術、デザイン、化学が永続性を求める限り、嗅覚にまつわる作品は微妙な存在。

しかし近年は、香水を美術館でアートやデザインとして展示し考察する動きがでてきている。

したがって発展した美意識の観点では、カントにも中傷されたそれらの資質が、モダン、ポストモダンの時代に香水に与えられたすばらしい資質にほかならない。


これらの筋書きがそろった今、「香水への考察」は、それがアート、商業、デザイン、独自の美意識、自然科学と人文科学などと切り離せないほど絡み合った世界をつくることから、現代に新しい視点をもたらしている。

この複雑でダイナミックな関係性が今回の国際会議での焦点なのである。



それを受けて、私は講演で次のようなことを述べています。

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テーマでは、西洋のアート(美術)には永続性が求められ、それは具象化されたものであると語られています。しかし、真の永続性は形のないものであり、そこに芸術が存在すると日本人は考えます。

そもそも日本文化では、はかないものに価値を見出してきました。日本には香道をはじめ、「道(どう)」に昇華した芸術があります。それゆえ、無常である香りを芸術として受け止めるのは自然なことなのです。


一方で香水文化については、いまだ日本では根付いておりません。それは、ヨーロッパを祖とする香水の広告が、「ファッション」や「異性を意識したセンシュアル」な西洋的アプローチで繰り返されているからでしょう。

日本では「調和」が貴ばれます。そして人々は軽く、ほのかで、風通しのよい香り(香調)を好み、季節感や情緒を楽しみます。

そのため日本には、「日本の文化に合った日本の香水」が必要なのです。


そして和食が世界に広がったように、やがて日本スタイルの繊細な香水も海外に知られ、受け入れられていくに違いありません。。。

続きはぜひ、写真付きのこちらのページでお読みください。

  ➣チューリッヒ芸術大学講演邦訳"The Perfumative - Parfum in Art and Design"





思うに長く、西洋風のプロポーズ(香水の販売方法)は日本では受け入れられず、逆に日本の芸術思想は西洋では理解されて来なかったのでしょう。

まるですれ違いのメロドラマのようです。

これからは自分の価値観を押し付けたり、向かせようとするのではなく、お互いの違いを認め合うことで理解が深まり、もっと豊かな香りの世界が広がっていくのではないでしょうか。そう願っています。



講演が終わった後で、あらためて自分の論文を読み返してみると、香水の仕事を始めてからずっと語ってきたことが整理され、心の中でまとまったような気持ちがいたしました。



日、出ずる国の、「香りは好きだけど、まだ香水を使っていない」方たちよ、どうぞ目覚めて。そんな風に思うのでした。

AWAKE!




次回完結。


チューリッヒ芸術大学講演へ6‐'The Perfumative - Parfum in Art and Design'

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いよいよ、シャルルドゴールからチューリッヒにむかう飛行機に乗りました。明日11月9日は講演の本番、ドキドキです。
今回は3ヵ国4か所を回り、トランジットも含めて全部で7回飛行機に乗り降りします。

空港は構造やシステムがどんどん新しくなるので、前回来た時の記憶が上書きされ切れず戸惑います。チェックインから荷物預け、通関など、多くの空港が機械化されています。


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私は、飛行機に乗って離陸する瞬間が大好きなんです。

最初トコトコと滑走路にむかう飛行機が、位置について、助走し、加速する。飛ぶ瞬間はいつだって、心配事はどうでもよくなり、地上のしがらみから何もかも解き放たれるような高揚感があります。

機体が上がるにつれ、窓から見える景色が少しずつ視点を変えて、眼下の家や街が小さくなってくる。キラキラ輝くのは、天窓に反射する日の光。


本当は地球の重力圏から、何一つ逃れられていないのでしょうが・・・。月だって地球から離れられないのですから、飛行機で僅かに浮いただけでは皮一枚分にもなりませんね。

世界中どこへ行っても、自分からは逃れられない。
そんな風にあれこれ考えてしまうのも、旅ならではなのでしょう。


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と、あっという間にチューリツヒ空港に到着、すいてます!人も少なくのんびりした雰囲気で地方都市といった感じ。

唯一、時計の広告がたくさんあることが、スイスに来た証(あかし)のようです。


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そして、担当の方に送ってもらった地図を見ながら、大学のある駅までいくために列車を探しましたが、駅までがドイツ語で全然わからない??

スイスは寒いと思って厚着をしてきましたので、スーツケースを引きながら行ったり来たり、ふうふうと汗をかいてしまいます。


案内所のきれいなお嬢さんに聞いてみると、実に美しい英語で説明してくれます。私がよほど慌てて見えたのでしょう、親切に切符を買うところからホームまで連れて行ってくれました。



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こんな風に、券売機で買うのですが、スイスはEUに入っていないので、ユーロが使えないということに思い至りませんでした!どうしよう、スイスフランは持っていません!!

でもクレジットカードで買えました(笑)。カードで購入したのになぜかお釣りが出てきてそれはスイスフランだという。。。スイス政府は為替でこまめに外貨をかせぐ方針なのでしょうか???



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列車にやっと乗ることができました。

しかし、同じホームから色んな方面に出る列車があるようなので、本当にこの列車でよいのか不安になり、乗り合わせた乗客にまた地図を見せ、「この駅に行くにはこの列車でいいの?」と尋ねます。



親切なムッシューが教えてくれました。駅名はドイツ語読みの音がわからないので、図形として理解。大学のある駅は二つ目だそうです。

やれやれと腰をおろしました。

いつも知らない土地に行くときは、「初めてのお使い」のようです。


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Hardorucke駅は閑散(かんさん)として地方の駅のようなのどかさ。
ホテルまでタクシーに乗ろうと思ったが見当たらず、通りかかりのお嬢さんに地図を見せて尋ねます。

「ここをまっすぐ歩いたら8分くらいだから、タクシーなんか乗る必要ないわよ!」とのこと。『うーん、スーツケース曳いて8分は辛いかな~』と思ったものの、
「だいじょうぶ、歩ける歩ける!」と励まされ、トボトボと向かいました。


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ホテルに向かう途中の建物。

ここは古い工場を改装したレストランだそうです。大きな木はオークでしょうか、プラタナスでしょうか?
11月のスイスは紅葉がきれいです。

つづく



チューリッヒ芸術大学講演5‐'The Perfumative - Parfum in Art and Design'

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話があちらこちら飛ぶのですが、スイスに向かうため羽田を出発しました。

チューリッヒへの直行便はないので、パリ、シャルルドゴールでトランジット。空港近くのホテルで1泊し、翌朝になって目的地へと飛ぶコースです。


2年前に別の航空会社でニースへトランジットするときに、離陸が4時間も遅れ、結局ニース最終便にタッチの差で間に合わず一泊したことに懲りて、ロングフライトのときは無理をしないことにしています。

フライトは約12時間。昼間の便なので、機中で寝てしまうと、パリについてから中途半端な時間になってしまう。。。そう思って、2種類の白ワインと水をガソリンにして、英文原稿の朗読練習をしながらずっと起きていることにしました。


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日本語の細かなニュアンスをできるだけ正確に伝えたいので、翻訳はプロの方にお願いしました。

専門分野に特化した論文翻訳の方も探したのですが、ご紹介のご縁があったのは、日本語の歌詞や邦画の英訳が経験豊富なリン・ホブディ(Lynne Hobdey )さん。

リンさんはイギリス出身の舞台女優で日本在住。歌詞を書いたりライブも開催するミュージシャンです。Hydeさんや「L'Arc〜en〜Ciel」さんの曲も英訳しています。


先に織部のブログの英訳をして頂き、言い回しがとても素敵だと感じて、ぜひにとお願いすることにしました。
私の講演は固い論文というより、日本の情緒を詩的に表現したかったのです。

ちょうどそのころ出版されたのが、日本文化をイラストで紹介した「The Fantastic Edo Era(すてきな江戸時代図鑑)」。

なるほど、リンさんは、こんな本も英訳しているので日本文化の理解が早いのだと納得。とても面白い本です。


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さて話は10月11日に戻ります。日本語原稿をリンさんに渡してから翻訳が上がるまで、パワポの資料を作ったり、講演会場の隣のプレゼンルームに展示するものを用意したりしているうちに10日間がすぎ、そして10月22日に翻訳原稿ができてきました。


英文にすると日本語よりも3割増しくらいにはなると思い、翻訳前にかなりカットしたはずなのですが、朗読してみたら30分どころか1時間近くかかりそう...。言いたいことはたくさんありましたが、ここでもカットし、ぜい肉を落とします。音読しながら書き直す、この作業にさらに1週間で、10月も末になりました。

11月7日の出発まで残された練習期間は1週間。


リンさんと一緒に特訓をしながら、再び読みにくい単語やしっくりっこない言葉を置き換えて、シンプルにしていきました。

リンさんの朗読は流れるように美しい声で音楽のようです。録音してお手本を繰り返し聞きながら、自分の朗読に凹みます。

が、練習練習。

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11月のパリは日没が4時半。シャルルドゴールに到着するころは、もうすでに暗くなっています。近くのホテルまでは空国から出ているCDGVAL(シャトル)が便利です。

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今宵のホテルはシャトルで2つ目の駅、明日はチューリッヒに入ります。

最初は果敢に挑戦する気持ちで始めたのに、のんびりしているうちに期限が迫ってきて「人生最大の難所だ!」と焦りまくり、最後の最後は「まな板の鯉」のようになる、いわば開き直ると申せましょうか。

毎回お決まりのパターンを一通り通過したところです。

残り2日で、できるだけ練習をする、そしてそれが自分のありのままだから、それでいい。そんな心境でパリの夜を迎えました。

つづく



スイス チューリッヒの旧市街 2 /Zurich Altstadt

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昨日の続きです。とりあえずの前知識としては、「"Fraumünster(フラウミュンスター教会)"を目指すように」というヴィクトリアさんの言葉のみ。

彼女にそのスペルを手帳に書いてもらい、翌朝にはホテルのコンシェルジュに行き方を聞いて、「4番線に乗れ」というミッションとともにドイツ語の地図を受け取り、 Helmhaus(ヘルムハウス)という駅に赤丸をつけてもらいました。



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トラムの社内アナウンスも当然ドイツ語なので、駅の名前のスペルと発音が私の耳では一致せず、駅を乗り過ごしてまた戻る、というありさまです。


乗り過ごしたトラムを引き返し、駅を降りたものの、実はフラウミュンスターとは反対側、Grossmünster (グロスミュンスター教会)のほうの街に迷い込んでいたのでした。


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このあたりには変わった趣向の出窓がある家が多いです。出窓は富の象徴だったそうで、こういう景色があるのも、きっと富豪がすむ街だからでしょうね。


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「アルプスの少女ハイジ」が、山から降りて住んだお屋敷街はチューリッヒだったのかな?と思いながら歩いたのですが、あとで調べたら、ハイジが行ったのはドイツのフランクフルトでした。

ハイジの山からはだいぶ遠いです。


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同じ古い街でも、南フランス、カンヌなどの旧市街と似ているようでちょっと硬い。一味違う雰囲気を持つのは、ドイツ語圏だからでしょうか?

モタモタしているうちにかなり時間を費やした、というのはこういうわけでした。

しかし、危険地帯ならともかく治安のよいチューリッヒの街。こんな風にいきあたりばったりで歩くのが好きなんです。

予習をすればもっと効率よく回れるとは思うものの、知らないほうが気に入った場所や空気を感じることができるような気がします!


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どこへ行っても、本屋さんにはつい足が止まってしまいます。早朝ということもあり、あいにくどこのお店もまだ始まる前のようです。



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11月も半ばに入れば、ヨーロッパの街はクリスマスムード。垢ぬけた都会のクリスマスではなく、伝統を感じさせる飾りつけを見て、「マッチ売りの少女」を思い出してしまいました。

中世の街は、おとぎ話に満ちていますね!




スイス チューリッヒの旧市街 /Zurich フラウミュンスター 教会

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前回からちょっと飛びますが、チューリッヒ(Zurich)の街をご紹介。

スイス芸術大学(ZHdK)での講演の自分の出番が終わり、お友達のヴィクトリアさんの講演まで時間があったので、翌日の午前中に旧市街の方へ行ってきました。



「シャガールのステンドグラスが有名だから行くべき」と前の晩にヴィクトリアさんに勧められて、フラウミュンスター 教会(聖母教会)を目指し、ホテルから4番のトラムに乗って大学行き方面とは逆方向のアルトシュタット(旧市街)に向かいます。ここは、中世の街。


トラムから降りると、川を隔てた対岸に青い尖塔と時計台が見えます。


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チューリッヒ湖にそそぐリマト川にかかる橋を渡ると、旧市街の石造りの美しい建物が並びます。



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建物の周りをぐるっと回ってみます。パン屋や鍛冶屋や靴屋さんなど、職人さんらしい小さな彫刻がたくさんの柱に施されていました。



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建物中央の門から入って反対側に出ようと、回廊に入りました。すっかり角が取れ、色合いもやわらかな古い柱に味わいがありますね。


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中庭の噴水です。この教会は9世紀にはじまり、12世紀にはゴシック様式となり、のちにロマネスクとネオゴシックも取り入れられたとかなんとか。

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廊下の幾何学的なアーチと壁画が素敵なんです。

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人気(ひとけ)が全然なくて、静寂に包まれています。

しかし読めないドイツ語の地図を片手にモタモタ歩いているうちに時間が足りなくなってしまい、午後の講演を聞きに行くために教会を後にしました。


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道行く人に頼んで写メしてもらいました。

最近は一人旅行でも、アイフォンなのでお願いしやすいですね。でもその分、さとりと与一の出番が少なくなってしまいました!









チューリッヒ芸術大学講演4‐'The Perfumative - Parfum in Art and Design'

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羽田空港にて、珍しく自撮り。スイスのカンファレンスで講演するために、飛行機に乗るところです。

このお話が来たのは今年の2月。ドイツのAnne Kramer(アンヌ・クレマー)博士から、1通のメールを頂いたところから始まります。


いわく、「11月8日から11月10日にチューリッヒ芸術大学で行われる、"香水のアートとデザイン"という国際会議に運営側にはいっているので、そこでスピーチをしませんか?」というお招きでした。

さらに「テーマは自由に選んでもよいし、"ヨーロッパに対するアジアの香りの受け止め方の違い"などについてはいかがですか」とのこと。

「うわ、なんかよくわからないけど凄そう、私にできるかしら・・・??」

どんな場所でどのくらいの規模で誰がくるのかもわからないけど、とても魅力的な話に思えました。

今までこの仕事をして20年近く、こういうケースに何十回も遭遇(そうぐう)し、「やったら絶対に大変なのは間違いない」のはイヤというほど経験しています。難易度に差はあれど、パルコ毎日カルチャーの「香水とピアノの調べ」のイベントも、当時の私にはハードルが高かった。。。

しかしこのチャンス、「怖い」と「やりたい」の天秤が左右に振れながら、「あー、最終的には絶対やるっていうんだろうな」という予感。「まだ2月だから11月ってずっと先だしね、それまでに何とかなるかな~」



アンヌさんは政治学の博士号を所持しており、ベルリン工科大学(TU Berlin)で働いています。彼女は香水についての講義やワークショップを行い、香りを学問として追求してきました。

彼女とは、今から3年前の2015年10月に、サンプル請求のメールを頂いたことが最初のご縁となりました。


いわく、
******
パルファンサトリのことを(海外の)ブログ記事で知り、大変興味を持っている。スイスで行われる「ニーチェ・カンファレンス」で、私(アンヌさん)は哲学的な観点から香りを語ることになった。そのために、世界の香水を10点提示するつもりである。ついては、パルファンサトリの香りを送ってもらえないか、
******
ということ。

遠い異国の出来事で、どのような内容かよくわからないまま、さとりと織部のムエットを10本ずつ送りました。このブログを書くために三年ぶりにそのメールを発掘して読み直し、ようやく腑に落ちた感があります。



アンヌさんとはそれ以降、季節の挨拶メールをする程度のお付き合いで、お会いしたことはなかったのですが、今回のカンファレンスに呼んでくださったことで、長く私の香水に関心を持ち続けてくださったということが、何よりうれしく思いました。



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しかし、「まだ先だから大丈夫~♪」とか思っているうちに、毎日、目の前の作業に没頭しているだけであっという間に歳月は過ぎていく、、、



2018年の3月から5月までは、新作「ミズナラ」の製造と初のローンチパーティなどがあり(これもかなり精神的にヘビーなイベントだったのですが)、4月は本当につらくて、『神様ゴメンナサイもう二度と分不相応なことに挑戦しません』と(恒例のようにしているのですが)懺悔(ざんげ)する日々を過ごしていました。


心が折れたためスイスの講演も一度は断念し、メールでお断りしたものの、アンヌさんから丁寧な、翻意を促すメールを頂き、またその気になるどうしようもない私は形状記憶合金なのでしょうか?

結局引き受けてしまいました。



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新作を無事世の中に送り出したあとも、日々の雑事が押し寄せてきます。

時折、講演のことがチラチラとよぎり、脳みそに汗がタラタラと流れては脇に押しやって、気が付かないふりをしています・・・いつか絶対に直面しなければならないことも、わかっているのですが、、、

本格的にこれは大変だ!と思ったのは7月末だったかな。。11月と行っても、初旬なので実質あと3か月。


自分に話せるのは、生い立ちの中にある日本の伝統文化と香りのことだけ、とおおよその内容は決まっているのですが、もやもやしてちっとも捗(はかどり)ません。

会議の具体的なことも見えてこなくて、心配性なのでよけいに不安が募るうえ、後になって、「カンファレンスはビデオに撮ってネットで配信する」と言うではありませんか!旅の恥はかき捨て、と思っていたのが、世界中に大恥をさらしてしまう!!!と一気に血が下がります。



一応、8月に原稿を書き上げて、9月に翻訳作業、10月はスピーチのトレーニング、とざっくりすぎるスケジュールを立てたものの、8月が終わり、9月も半分を過ぎて、文章のかけらがとりとめなく集まるばかり、カオスの状態が続きました。



ついに崖っぷちに立たされ、『カッコよくやりたい』というような妄想は捨て、いまの自分のせいいっぱいを話そう、と踏ん切りがつきます。

ようやく9月後半からまとめ作業に入り、書きおろしたばかりの拙(つたな)い原稿を、恥も外聞もなく周りの人を捕まえては読み聞かせ、感想を聞く。英語で30分のスピーチなのに、日本語でも1時間もかかってしまいました。

あれもこれも、言いたいことをカット、カットで書き直す、また意見を聞く。校正する。もう、机の前に座らされ、何度も聞かされたスタッフはうんざりしたことでしょう。でも愛のある優秀な関係者に囲まれて、恵まれているとありがたく思いました。



ついに10月10日に最終稿が書きあがり、翻訳です!つづきはまた・・・。





スイスのクールなブランド、FREITAG(フライターグ)

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スイスのクールなブランド、FREITAG(フライターグ)の本店に行ってきました!

トラックの古い幌を使って作った、おしゃれなメッセンジャーバッグで世界的に有名なブランドです。リサイクルから一歩進んだ「アップサイクル」だとか。バッグの持ち手は古いシートベルトを使っています。


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チューリッヒ芸術大学のある駅、Bahnhof Hardbrücke からホテル( Hotel Züri by Fassbind)に歩いていく途中をちょっと右に折れると、奇抜なビルが目を引きます!

一瞬あっけにとられ、すぐそのカッコ良さにググっと惹かれてしまいました




日本にはすでに銀座、渋谷をはじめ50店舗以上のお店があるそうですが、スイス本店の建物は、バッグ等のコンセプトと同様に、廃品のコンテナを積み上げた9階建てで高さ26m!


地震国日本からみると、危ないのでは?と思ってしまいますが、工業国家でもあるスイス、当然建築基準はクリアしているそうです。


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ヨーロッパのトラックの幌はとても丈夫に作られているのですが、4-5年で交換しなくてはならないそうで、そうして廃品になったカラフルな幌のきれいな部分を選んで切り取り、丈夫なバッグに仕立てているそう。


そのため、一点ずつ色、柄が異なるのも魅力のひとつです。お店の配置も一貫したコンセプトでとてもクール。



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正直、初め見たときは、このリサイクルバッグが「エッ!」というような値段だったのですが、色々と説明を聞いているうちに「決して高くない」と納得。


1993年に創業以来、エコフレンドリーなブランド哲学を貫き、環境負荷を考えている製造過程や、「こういうものを持つことがおしゃれなんだ」というお客様がいるということを含めて、こういうブランドが存在できるというのは、成熟した大人の国の証だと思います。


昔の日本も、そういう考えは当たり前だったと思うのですが、大量消費に飲み込まれ、効率主義、コストカット重視になっているのでは、と少し寂しい気がします。


デザインやアイデア、哲学など、目に見えないものを正当に評価する。講演で述べたような、そんな時代がまた日本にも来てほしいものですね!


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昼間外からみたフライターグコンテナの建物。


チューリッヒ芸術大学講演3'The Perfumative - Parfum in Art and Design'

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昨日の続きです。スイス・チューリッヒ芸術大学で開かれた'The Perfumative - Parfum in Art and Design' というカンファレンス(学会)に招聘され、そこで講演を致しました。

また、隣のエキジビションルームでも香水を展示しました。


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芸術大学の学生さん、香水業界の方、ジャーナリストなどが150人ほどがエントリーし、3日間の会議に参加されました。




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私は、香水ガイド(The Perfume Guide 2018)で4つ星を頂いた、さとり、さくら、はなひらく、シルクイリス、織部の5種類の香水を展示しました。


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どのような会場か、どんなふうに展示できるのかほとんど情報のないまま、小さなスーツケースに展示品を持てるだけもって到着。一人で短時間で飾らなくてはならず、ハラハラしましたが、ちょうどぴったりの広さで安心しました。


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さとりと与一も参加。

与一「さとりさま~、ついにやりとげやしたね!」
さとり「みな様のおかげでここまでたどり着きました。(´;ω;`)ウゥゥ」


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織部はほとんどの人がとても好き、ハナヒラクは、嗅いだ瞬間に「うわー!素敵!!」と魅了される人と、反対の人の差がとてもありました。


さくらもイリスオムも、もちろんサトリもとても好評。

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お隣のブースはニッチで人気急上昇のBogue-profumoのブース。セラミックのマスクに香水を付香して香りをかぐのが面白いです。

Antonio Gardoniさんは、建築家でライターでパフューマー。講演の内容も建築物とアートの興味深い内容でした。

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このディスプレイは面白い、色々な素材にイメージの香りを付香してあり、ろうとの上から香りをかぎます。


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ヴィクトリアさんは、ベルギーのジャーナリスト。昨年引っ越したばかりの六本木のアトリエに尋ねてきて以来のお友達です。香りのブログを発信しています。

みんなでお食事したときは、いろんな国のスピーカーとドイツ語イタリア語で会話したので、全員びっくり(@_@)!
日本語も話すだけでなく読み書きも上手です。全部で11か国語ができるそうです。

3日目の講演です。私も2日目に終えてリラックスモードで聞くことができました。


Victoria Frolova  ➤ oisdejasmin.com



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アンドレアさんはパフューマーのお友達。彼もPERFUME SUCKというニッチな香水ブランドを持っています。

久しぶりに会いました。6年ほど前、はじめて紹介されたとき名前が言いにくかったので、ずっとアンディと呼んでいます。その呼び方にはちょっと不満そうな顔をしていましたが「まあいいや」という感じでOKしてくれて、優しくて面白い方です。

こういったエキシビションや会議では、15年前はほとんど誰も知らなかったのが、少しずつ知人が増えてくるのが嬉しいです。

Andreas Wilhelm: Parfumeur und Punk



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講演会場の隣には、メイン会場で収容しきれない人がモニターで内容を見れるような第二会場もあります。


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左は今回この会議に呼んでくださったアンヌ・クレイマー博士。右はアニンドリアのターニャさんもこの会議にオランダから駆けつけてくれました。二人ともとても背が高いので、私はめいっぱい背伸びをしてこのくらいです。



日本文化の香りと感覚(Scent and Sense in Japanese Culture)@チューリッヒ芸術大学講演2

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9th/Nov/2018  スイス・チューリッヒ芸術大学<perfumative>にて講演しました。日本語原文です。


結論

香水は、目に見えず、形がないからこそポストモダンともいえる芸術になりえると思います。日本の美意識とは、まさに「形のない美」を楽しむということ。今日は、日本の感覚、日本の美意識を通じて、皆様に香りの新しい価値観を発見していただければと考えています。


要旨

「移ろいやすく、永続的でないものは、芸術といえない」。その西洋の考え方は、日本人にとっては逆になじみにくいのです。そもそも、日本文化では、儚(はかな)いものに価値を見出してきました。それゆえ、香りや香水の受け止め方にも西洋とは違いがみられます。日本では軽くほのかで、風通しのよい香り(香調)が好まれます。"香水砂漠"とも呼ばれる日本の香水市場。一方で、香りつき柔軟剤は海外と同じように拡大し定着しています。もちろんこれらの好みの違いは、気候や食習慣の違いによるところもあります。しかしもっとも大きな要因は、日本文化に根付く美意識だと私は考えます。そこで、西洋と日本人の香り、香水の受け止め方の違いについて以下の順に話します。

1.芸術とは

2.日本の伝統文化における芸術性

3.日本は香水砂漠?

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1.芸術とは


今回の講演のテーマを頂いたことが、香りと芸術について改めて考える機会になりました。まず「芸術とはなんであろうか」という問いをしたいと思います。


西洋では「art is expected to have eternal qualities(会議のテーマから引用)」と言われるそうです。

永続性が芸術の条件であるならば、それはどれくらい続けばいいのでしょうか。宇宙の一生から見て、100年、1000年は所詮(しょせん)一瞬にすぎず、形あるものはすべて滅びていきます。

ならば「形ある物」は永遠ではありません。


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芸術作品は、「送り手である作者」と「受け手である鑑賞者」を結ぶ、「媒体」であると私は考えます。作者は周囲に存在する美を発見し、その感動を表現し、それをまた鑑賞する側が再発見します。

芸術は絵画や彫刻の中にあるのではなく、鑑賞する人の内面にあるのです。観る人に美意識がなければ、優れた芸術作品もガラクタです。


目の前の、形の向こうに見えるものを敏感に感じ、永く愛おしむ。それが日本人の中にある芸術の価値観なのです。もともと形のない、目には見えない「香り」に芸術を感じることはむしろたやすいのではないでしょうか?



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また、「時」は常に移ろっていくものです。同じ場所で同じ人と会っても、それは以前とは同じではないという考え方が、日本にはあります。それを「一期一会(ichi-go-ichi-e/one opportunity, one encounter」と言います。

この言葉はどの出会いも一生に一度だけという意味です。いつもその一瞬を大切にする生き方自体が「永遠」ではないかと、私は感じています。



2.日本の伝統文化における芸術性

「道」は、日本の美意識を代表する伝統文化です。芸術に永続性を求めるなら、華道や茶道、香道といった「道(どう)」という一つのスタイルも確実に芸術です。

ここでいくつかの「道」について、私の生い立ちに沿って紹介します。ここで特にお伝えしたいのは、「調和」と「永続性」です。


2-1.華道 

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Text book of Kado / 1843

花ほど私たちの心を和ませ、いやしてくれるものはありません。

私は幼い頃から植物が好きで、学校からの帰り道、ポケット植物図鑑を片手に道草をするような子供でした。母が自宅で華道教室をしていましたので、真似てお花を生け始めました。


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日本の華道と、西洋のフラワーアレンジメントは違いがたくさんあります。簡単に説明すると、フラワーアレンジメントは「足し算の美学」です。それは花をたくさん使って空間を埋めていくものです。一方、いけばなは「引き算の美学」です。最小限の草木と花で、空間を自然の一部のように表現します。枝ぶりを考え、葉を添えて、自然にあるような風情で生けます。


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華道を学ぶにつれ、花の持つ美しさを活かすためには、「全体の中の調和」を見ることが必要だということを知りました。例えば床の間(toko-ma, Alcove)に置かれる花は、部屋の調度にあったものでなくてはなりません。

私は調香にも同じ配慮が必要だと思います。花をメインテーマとしても、それを引き立てるトップノートや支えるラストノートたちが過不足なく組み合わされ、花や風景と情緒をそっくり表現します。

さらに、纏(まと)う人に調和し、さらに場所に調和をもたらし、その人の人生の1シーンを彩るような香水であること。それが重要だと考えています。華道の精神は私の香水の中にも反映されています。


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花の寿命は短いのですが、だからこそ花は永遠の命を得ていると、私は考えます。朝に咲いた花が夕方にはしぼむ。その儚さを、哀しみをもって慈しむのが日本の情緒です。永続的ではない、儚さに美をみつけ、それを感じる心を「よきこと」としました。この、何か愛しいものを「惜しむ」という心の在りようが、とても日本的だと最近では感じています。

一瞬の香りに包まれ、そのときに浮かぶ情景こそが、「永遠」なのです。


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2-2.茶道

私は12歳で茶道を習い始めました。子供心に、お茶とお菓子も楽しみでしたが、清らかな明るさを持つ茶室に、お湯が沸く音が流れ、香(インセンス)が漂ってくる・・・。その空間にいることをとても心地よく感じたものです。

茶室における人、花、光、釜の音、空間。時間さえも、「すべてが調和」して初めて芸術となります。

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例えば「茶道」が、乾いたのどを潤すだけであれば、それは芸術と評価されなかったでしょう。一服のお茶を点てて振る舞うことは、心の渇きを癒します。「懐石(かいせき)」と呼ばれる和食のコースはただ空腹を満たすだけではありません。もてなしにより、心をも温めるものなのです。


香水もただの消耗品であってはなりません。香水をまとうには、その時間と空間の中に美を感じ取る心が必要です。香りだけが強く主張するのではなく、「周囲との調和も考えて、全体の中で自分が美しいこと」こと。それが日本の美意識なのです。






2-3.日本の香りの歴史

西洋では長く「the abominable garment of the soul」(肉体は魂の忌まわしい衣服)、そして香水は肉体と切り離せないものと言われていたそうですが、逆に日本人にとっての「香」は、空間と心身の穢れを清めるものでした。


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香水の起源はヨーロッパにありますが、それは「液体化された肌につける香り」の歴史です。明治時代に日本が開国し、海外から香水が持ちこまれてからまだ150年あまり。香水の歴史は、ヨーロッパに及びません。


一方、日本には「香」という、「固形の香料を使った空間芳香」の歴史があります。

6世紀の日本への仏教伝来と共に始まった「香」の歴史は、やがて宮廷文化によって、洗練された遊びとなりました。

8世紀には「香染ko-zome」と呼ばれる、丁子(clove)や桂皮(cinnamon)で染めた絹織物もありました。それは美しい色のみならず、繊維から芳香を発するという、貴族のための贅沢な衣装になりました。体温で暖められた着物からは、動きに合わせて香りが漂ったそうです。


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11世紀には日本文学の古典「源氏物語」が書かれました。ここでは着物に香を焚き込める「薫衣香(くのえこう)」というシーンが象徴的に描かれています。これは香りによって、物語の背景や登場人物の心情まで語っています。

15世紀の武家の時代には、精神の高みに至る「香道」が成立していきました。さまざまな「道」とは精神練磨のために行うものです。それは結果的に教養と芸術性を高める日本独特の文化です。

さらに18世紀頃から、商人が力を持ったことから、香り文化が庶民に普及していきました。


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また現在でも、多くの日本の家には先祖を祀る仏壇があり、朝と晩に「線香」が焚かれています。私たちは子供のころから、部屋に流れるこの香りになじんできました。

直接アルコリックを肌につける「香水」とは異なりますが、このように別の形で香りの歴史が日本にも育っていたのです。


香道では、香りは「嗅ぐ」ではなく「聞く」と表現します。私たちは鼻で芳香分子を物理的にとらえるだけではなく、香りが語る物語を心で聞き、そして感じるのです。

香りの声、それは大声ではありません。そこに芳香成分があるから、よい香りなのではなく、美しいと感じる感性があるからこそ香るのです。

香木の歴史は1400年、香の歴史は1000年、香道の歴史は600年。日本においては宗教や文学、教養とともに「香」がありました。そして、物理的にはではなく、精神的に香りを受け止めてきたのです。



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2-4.和食と香り

日本の香り文化は「香木」や「香」だけではありません。自然では四季折々に訪れる香りを、食では海の物や山の物と、季節感溢れる旬の香りを楽しみます。

400年前に西洋に紹介された和食は、長くその真髄が評価されませんでした。しかしようやく、2013年にユネスコ無形文化遺産になりました。


認められた理由は、ただ「食材」においてではなく、その「和食をめぐる食文化」が評価されたからです。食の中に芸術があると認められたのです。


南北に長く、四季の移り変わりがはっきりとした日本。自然の美しさや季節の移ろいを楽しみつつ、年中行事を大切にして、食材や器にも細やかな心配りをしています。一見すると和食はシンプルですが、実は大変手間をかけて作られた料理です。


その繊細さや美意識が、食の世界でも海外に理解されてきたように、日本の香りも海外に理解され、広がっていくと私は思います。



3-1.香水砂漠

アンケートから見えること

日本で行った香水の調査ではこのようになっています。(マーシュ調べ)






・毎日香水をつけている人が8.4パーセント、毎日ではないがよくつける人が8.4%

・女性の4割、男性の6割が、香水をまったくつけないと言っています。


そのため、海外から日本は「香水砂漠」と揶揄(やゆ)されることもあります。


一方、柔軟剤やエアケア商品の需要は海外同様、日本でも拡大しています。

日本には、「香水は使わないが香りは好き。しかしそれは、アロマで使うエッセンシャルオイルとも違う」という女性が多くいます。彼女たちはスーパーマーケットで芳香剤や柔軟剤の香りを試すのに1時間を費やすとか、持ち歩いて時々嗅いでみたいとも言います。こういうユーザーたちは、新しい香水に次々と乗り替えるユーザーより多いようです。

これだけ香りを受け入れる土壌があるにもかかわらず、なぜ日本では「西洋の香水文化」が育ちにくいのでしょうか?


それは、香りをつける目的が、西洋と日本では異なるということです。つまり、今までの香水は、消費者へのアプローチの手法が違っているのです。

ひとつに、日本では、異性を意識して香水をつける人は少ないのです。

私たちが海外の香水の広告から受け取るのは、セクシーやファッションというメッセージ。それらをアピールする販売方法は、もともといる香水好きにはマッチするかもしれません。しかし日本人の多くが今も香りに求めるものは、異性を魅了しようすることよりも、自分自身が心地よくなりたいという満足感です。それはジェンダーレスな気がします。


ふたつ目に、日本人は香水にも周囲との調和を求めています。

欧米の香水は、時として強すぎると感じられ、敬遠されがちです。それは華道や茶道の項でも話した、「全体の配慮」や「調和」を乱すと考えるからです。

癒しや和み。それは季節を楽しむ心からきており、楽しむ心そのものに価値があるわけです。日本人は香りに、情緒を求めるのです。



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3つ目は気候についてです。

日本で販売されているほとんどの香水が、欧米で作られたもの。同じ香水を肌につけるのであっても、日本と欧米とでは香り方が全然違うことがあります。これには、特に湿度が大きく影響していると考えます。


日本では空気の壁がしっとりと身体を包んで、匂いを逃さないような感覚があります。ヨーロッパの香水を日本でつければ、ずっと強く、濃く感じるのは当然なのです。それらは、ヨーロッパのドライな気候で香り立つように作られているからです。 


日本人は香りで自己主張をするというよりも、調和を求めています。ところが「欧米向けの処方」の香水は、日本でより強く香ってしまう。「香水は苦手」という日本人が多いのは、それが要因です。


日本には、すでに芸術としての香水を受け止める土壌はあります。ただ、センシュアルでファッショナブルをアピールする「西洋の香水文化」は育ちにくいかもしれません。「日本の香水文化」を育むには、日本に合った香水と、つけ方が必要なのです。私が日本スタイルの香水を作っているは、そういうわけなのです。



「フランスからの質問」

この講演に先立って、日本でフランスのテレビ局の取材を受けました。そこでの質問は、ヨーロッパの皆さんの関心があるのではと思います。


Q.日本人は匂いにとても敏感で、強すぎる香水は好まれないと伺っています。日本でもっとも好まれる、男性と女性の香水は何でしょうか? 


A. 日本人にとって好きな香りは、特定の「香水や香料」というより、全体の香調として「ドライ感、抜け感、風通しのよいもの」が好まれています。


日本では、シンプルでトーンの軽い、季節を感じさせる香りも好まれています。シトラス・ノートは、特に好まれる香りのひとつです。日本は柑橘類の種類が豊富で、和食においてはユズ、カボス、スダチなどを微妙に使い分け、その香りの違いを細かく判断することができます。

また、幸せなときを思い出させるような香りもいいですね。マドレーヌの香りによって、幼い頃の記憶が突然呼び起こされたプルースト効果はあまりにも有名です。日本でも、例えば秋のキンモクセイの香りをかぐと、安心感に包まれた子供時代や、学生時代に花の下で告白した、恋愛のせつなさがよみがえるという人も多いです。


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そして香道で焚く沈香の香りは、暖かみのある、乾いた、スパイシーなウッディノートで、心を鎮める清浄な香りです。それは西洋でイメージされるOUDのアニマリックでセンシュアルな香りとは異なります。

香道では、まず火のついた小さな炭を香炉の灰に埋めます。その上に雲母(MIKA)の板を置いて、沈香の切片を乗せます。沈香は燃えることはありません。香木は間接的に温められることで、香気成分がマイルドに空中に放たれ、香炉の周りをふわふわと漂うのです。

これは、エタノールの力で四方へ拡散する香水とは全く異なる香り方です。まるで「障子ごしの柔らかい光のように、間接的ともいえる匂い立ち」を、自分の香水にも表現してみたいと私は思いました。



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3-4.日本スタイルの調香、そして世界


新しい香りというのは、未知の香料に求めるだけではなく、ありふれた香料を組み合わせることで作られます。日本に香りの資源があるとすれば、香料そのものにあるのではなく、文化を読み解くことにあります。物質の背後にある歴史や人々の生活、物語を読み取っていただきたいのです。

これからの香水はグローバルテイストではなく、ローカルであるべきです。標準化され、平均化された香りではなく、その国、その地域らしさ、作り手の顔がみえるような香りであるべきではないでしょうか。

Diversity & Inclusionの観点からみても、ニッチと言われた香水は、世界の価値観をより豊かにするでしょう。 そして、いろいろな人たちがさらに香りを楽しめるようになるに違いありません。


4.結論

西洋のアート(美術)には永続性が求められ、それは具象化されたものと聞いています。しかし、真の永続性は形のないものであり、そこにアート(芸術)があると日本人は考えます。

それゆえ[Fragrance is more than fashion accessory and worth a theoretical reflection. It becomes a paradigmatic form of the time.] (会議のテーマから引用/香りは単なるファッションアクセサリーではなく、理論的な考察に値するアート。それは時間の典型的な形になる)という西洋の新しい波に、私たちは共感します。


香りは人の内面に深く入り込むという点で、ほかの芸術よりも無限の可能性があると思います。もはや香水はたんなる消耗品ではなく、出会いの瞬間に過去の自分を超越する芸術なのです。


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※本稿は講演のための原文です。英訳においては、割愛、意訳をして30分に整えました。

Mizunara-ミズナラ- 水楢の木を探して③

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下へと向かう前に、大沼の湖畔をぐるりと車で巡れば対岸に緑が見える。

しかしそれは、一足先に芽吹いた楓などほかの樹が中心のようだ。黄味が強すぎるし整いすぎている。イメージのなかの、もっと輝くような新緑の光景とは異なる。

軽い失望のなか、雨は強くなったり弱くなったり。


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山を降りる途中、観光案内所で休憩を取る。予習が足りず、どこをどう通ったのかわからなかったが、ここで地図を見ながら今日の足跡をたどる。なるほど・・・。


文豪、歌人、彫刻家など、赤城山にかかわりの深い文化人は多い。志賀直哉、与謝野晶子、鉄幹、有島武郎、林芙美子、斎藤茂吉、芥川龍之介、武者小路実篤、漱石、高村光雲などそうそうたる名前が並ぶ。

と、ここで仕入れたばかりのにわか知識である。

気を取り直して、出発。


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さて、また少し車で下り、標高1000メートル、「赤城森林公園」にさしかかる。

すっかり緑に覆われた森が眼下に見え、水楢(ミズナラ)らしき樹も見えるので、入り口付近の駐車場に車を止めて斜面の途中から眺めてみる。

「けっこう葉が開いていますね、たくさんありますよ」
赤城山に山荘を持つ、引率のI さんに教えてもらいよく見ると、ほかの木の緑に混ざって、そこかしこにミズナラの葉も見え隠れしている。

「おお!すばらしい!!ここで写真撮りましょう♡」


雨がずいぶん降ってきた。

濡れそぼつ森林に足を踏み入れると、落ち葉がつるつるとすべる斜面は足場も悪い。カメラに雨がかからないようにK君に傘を差してもらう。

湿った土の、ぬくもりのあるアーシーな匂いがたちのぼる。シダのグリーン。大地の匂いジオスミン(geosmin)。

樹齢の長い、古い大木も見つけた。
ちょっと樽を思わせる、ずんぐりした形が面白い。


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水楢(ミズナラ)は、ブナとともに日本のブナ帯森林を形成する落葉樹。モンゴルから来たモンゴリナラの変異したものと考えられ、ジャパニーズオークの別称もあり、樹齢1000年を超えることもあるという寿命の長い樹である。

倒れても萌芽再生力(ほうがさいせいりょく)があり、樹齢にくらべてあまり大きくならないのは、根に栄養を回していることも理由のひとつ。

材の目が詰まって重く堅いため、建築材、家具として使われ、森ではマイタケを初め、多くのキノコを育てる恵み豊かな樹木と言われている。



「日本原産」
「倒れても萌芽再生力がある」
「根に栄養をまわし、樹齢にくらべてあまり大きくならない」
「材の目が詰まって重く堅い」


どれも、パルファンサトリのフィロソフィーと重なって、ハートに響く樹木である。




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雨に打たれて、瑞々しい水楢、ミズナラの葉。

この、葉のヘリがギザギザした鋸歯(きょし)がミズナラの特徴である。

標高1470メートルの小沼(この)から500メートル下界では、堅い冬芽がこんなに立派な葉に育っていて、とても嬉しい。


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ひも状に下垂する地味な花も咲いていた。
これが、やがてドングリのひとつぶ一粒になる。





「高原の湖畔に広がる新緑の水楢林」には時期が早かったけれど、ミズナラの冬芽から開いた葉までの段階を、標高差によって一度に見ることができてとても幸運だった。

もし湖のまわりが一面の新緑であったら、下界もすでに茂っていて、芽吹きに会うことはできたかっただろう。


再び来て、その光景に会えるのをとても楽しみにしている。


「Mizunara‐ミズナラ‐」モルトの香りにつづく・・・予定。










高原の湖畔に広がるミズナラ(水楢)の林
明るい緑を映す水面(みなも)に光が反射する
風が渡り、さざ波は立つ、そのきらめきが再び葉に照りかえす
透明な湖底には、硬くて強い意思がある




フレグランスブランド'パルファン サトリ'の新作『Mizunara』は、ミズナラの「新緑の風」と
「芳醇な樽」の香りが組み合わされた、男性におすすめのフレグランスです。




Mizunara-ミズナラ- 水楢の木を探して②

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赤城山の観光シーズンはどこもとても混んでいるらしいが、ゴールデンウィークが終わった雨の日曜日のためか、ほとんど人がいない。

道々、引率の I さんが、縦に裂けた樹皮を指し示し「これが水楢(ミズナラ)ですよ」と教えてくださる。我々も次第に木立の中の水楢の見分けがつくようになってきた。

山頂付近には大沼(おの・おぬま)、小沼(この・こぬま)、覚満淵(かくまんぶち)がある。初めに覚満淵へ、そこからさらに標高の高い小沼(1470m)に行く。だんだんと裸の林が広がっているのが見えてきた。間違いなく葉が開いておらず絶望的な気分だ。



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遠くから見て枝先が赤っぽい茶色になっているのは、木の芽が膨らんでいる証拠。明日から天気がよくなるそうだから、きっと次の週末には若い緑に覆われるだろう。

山の上だからか雲はより厚く垂れこめて、ポツポツしていた雨がパラパラになってきた。

まずい、、、。
リュックをしょわされたK君の後ろ姿も、心なしか肩を落としているように見えるではないか。
Iさんは雨でも慣れた道でスイスイである。


遊歩道を小沼にむかって歩いていくと、木の間から湖面が見えてきた。やや緑がかった鈍色(にびいろ)の、メタリックな光が照り返している。

まさにこの色は、香水「Mizunara-ミズナラー」の商品画像の背景の色。葉こそないものの、想像上の景色が、眼前に広がるのが感動的だ。


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赤城山は溶岩が冷えて陥没した穴にできた「カルデラ湖」だと思っていたが、大沼、小沼は噴火口がそのまま水溜りになった「火口湖」と呼ばれるもので、その成立が違う。

噴出するガスや温泉の成分の関係で、湖面は深い青緑の神秘的な色になっていることが多いそうである。

濡れないように、K君にカメラに傘をさしかけてもらいながら何枚か写真を撮り、また車で大沼のほうへと移動する。


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大沼(おの)は標高1,310メートルで、150メートル下がる。湖の周辺を車で移動中、葉が芽吹いている水楢を発見。急いで降りて写真を撮る。



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冬芽の赤い芽鱗(がりん)を割って、緑の葉がまるで花のように開いて綺麗である。捜し求めていたものに出会えて、ここでもまた感激する。

命の生まれる喜び。



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また、車で移動。
しかしその後、ふわーっと山から霧が降りてきて、景色はガスに包まれていく。神秘的な世界が見れたのも素敵。

『雨の日の赤城山もいいかも・・・。』だんだん嬉しくなってくる。


でもここでは写真にならないので、
「標高がまた低くなればミズナラの葉ももっと開いているでしょう。」と朝きた道を下に戻ることにした。





つづく













高原の湖畔に広がるミズナラ(水楢)の林
明るい緑を映す水面(みなも)に光が反射する
風が渡り、さざ波は立つ、そのきらめきが再び葉に照りかえす
透明な湖底には、硬くて強い意思がある




フレグランスブランド'パルファン サトリ'の新作『Mizunara』は、ミズナラの「新緑の風」と
「芳醇な樽」の香りが組み合わされた、男性におすすめのフレグランスです。



京都 慈照寺(銀閣寺) KYOTO⑧

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慈照寺(じしょうじ)、いや銀閣寺と言ったほうが通りがよかろう。

この記事は12月9日に書きかけたまま、師走の慌しさにそのままになっていた。歳月が飛ぶように過ぎていく。

この日、南禅寺(なんぜんじ)から出発して、「哲学の道」をあがりこの慈照寺まで至る。次の予定の場所に向かうまで、すでに1時間を切っている。

シーズンを過ぎたのか、幸い人はまばら。入場券も待たずに買う。どんどんと塀内を進んでは曲がり、中の門を入ると「銀閣」が眼前にあった。



とりあえず、「うわ!」と訳の分からない感嘆符が心の中に湧く。

ウン十年ぶりの銀閣は、記憶の姿と違(たが)わない。あるいは、映像や画像で記憶が上書きされフレッシュになっているのかもしれない。

ちなみに「銀閣寺」とは寺院全体を指し、この建物自体は「銀閣」であり、40年前の高校入試ではこれを銀閣寺と書くと不正解とされたこともあったそうである。




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白い砂利を敷き詰めた「銀沙灘(ぎんしゃだん)」をまわりつつ、左には東求堂あり。池の対岸からは再び、枝ぶりの良い松を透かして銀閣その姿を見る。

ああ感慨(かんがい)に浸る間もなく、、、振り返り振り返り、先へ先へと惜しみつつ通り過ぎる。。
『薄い、、、薄いわあ。。。』

本当に時間がなくって、感じるものが薄すぎる。


たとえ勉強不足でも、時間さえあれば知識ではなく感じとれるものがあろうが。こうやって慌ただしく来るのであれば、やはりもっと予習をしてくるべき・・・と残念に思う。


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ふと足元を見れば「苔」、すばらしい。銀閣寺の庭は苔寺を模(も)したと知ったのは帰った後だ。
やはり京都の苔は違う。行儀がよい。よく躾(しつ)けられている。

苔ファンの私としては、ぜひじっくり見たい植物。なぜなら、私の誕生花は「苔」なのである。



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慈照寺の奥にある山に登ってみる。ここをパスするかどうするか、悩みつつも『えーい、この際』と急いで登る。小さい山なのに急勾配(きゅうこうばい)で、息が上がるのは日ごろの運動不足のせい。

本当は美しい景色をゆっくり眺めながら登りたかったのだが、あくせくしては味わうことができない。やはり名所を訪れるときは余裕を持って出るべきと痛感する。


小高い展望のところでは、銀閣とその向こうに京都の町が見渡せる。高みの見物というが、こういうところから見るとどこか他人事のような市井(しせい)の暮らし。ときに権力者も、ここから眺めてたのだろうか。


そういえば、数年前のNHKの番組で銀閣寺を検証していたのを思い出した。たしか、銀閣は月見の館とも言われ、庭の向こうの月待山から登る中秋の名月を、初めは銀閣の一階の窓から見て、やがて庇(ひさし)に隠れると、ニ階に上り池に写った月を眺めるという。

そうか、これが月待山か。



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京都では歴史の粋といったすばらしい建築物や町並みを見て、あらためてその「美」や「技」などに感じ入るのであるが、同時にその建物の背後にあった権力闘争や欲望などに思い至ると、胸がふさがれる思いがする。

良くも悪くも、それが知識というもの。。。


これは、パリでノートルダム寺院の前を通りかかった、2年ほど前にも感じたことである。


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「いつ見ても、どこから撮っても美しいのがノートルダム寺院だ。

しかし、装飾といい大きさといい、偉業には間違いないが、その歴史の中で刻まれたであろう権力の陰惨な営みを思うにつれ、若い頃のように素直に感動できないのが哀しいことである。」




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銀閣寺内にあるこちらも国宝、東求堂(とうぐどう)。


ちょうどここ京都に来る前に読んだ、司馬遼太郎の「箱根の坂」では、「応仁ノ乱」前の荒れる京都を舞台に、伊勢新九郎(のちの北条早雲)を描いている。

主人公は新九郎(北条早雲)であるが、例えば時の将軍足利義政(よしまさ)、その弟、足利義視(よしみ)や日野富子など、、、教科書的に知っていた人物が、小説という中では立体として浮かび上がってくるから面白い。

それが、風景を見ることで血肉が通い、さらに再び歴史を読み返し、時代を行きつ戻りつ「ああ、なるほど」とようやく腑に落ちるのがスローな私流なのであった。


今回は「のんびり散策」といかず強行軍になってしまったが、それでも、やっぱり来てよかったと思う。位置関係と距離感はつかんだ。




もう、約束の時間まであと30分くらいしかない。門前の坂を転がるように降りてタクシーをつかまえ、
「すいません、竹田に行きたいのですが、一番早く行ける駅へお願いします!」
「・・・・」

あれ?返事がない・・・。と思ったら、かなりご高齢の運転手さん。なんでも右耳に補聴器をつけてるそう。乗車中ずっと、後部座席から前に乗り出して会話することに。。。。国産車だから左耳に着けたほうがいいのに。


なにはともあれ、「今出川(いまでがわ)駅」で烏丸(からすま)線にのり、終点「竹田駅」へ。アップは前後してしまうが、和ろうそく体験へ向かったのであった。











南禅寺から哲学の道 KYOTO⑦

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「さとりさま~、京都のもみじが見れてよかったっすね~」

12月の初め、南禅寺にて。
京都から帰ってきてだいぶ経つので、記憶が薄れつつあるが・・・。


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この日は午後から和ろうそくの体験教室。その前、午前中に「哲学の道」を歩いて慈照寺(じしょうじ/銀閣寺)までいってみようと思ったものである。

宿で、歩いてどのくらいかかるか聞いたところ、南禅寺からなら徒歩30分くらいとのこと。10時ころに出発すれば十分間に合うはず、とルンルン気分で出かける。


171205京都8-2 南禅寺 4 コケ.jpg

京都はどこにいってもそうなのだが、ここもものすごくいい苔がフカフカに敷き詰められていてすごくきれい。苔すばらしい。



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前夜の雨はすっかり上がって、青空に映える南天がより赤い。

お寺の建築物などはあまり撮らずに、苔だの南天だの紅葉などの写真ばかり、どこに行ってきたやらという感じである。


171205京都8-2 南禅寺 3.jpg

しかし、哲学の道に行くまでが結構長くて、途中人の往来も少なく、本当にこっちでいいのかと不安になったりする。
途中にある疎水(そすい)。蹴上(けあげ)には琵琶湖から引いた用水で発電所もあるし、そこから流れてきているのかな。


171205京都8-3 南禅寺 4.jpg

寄り道して疎水の上流のいきどまりまで上がり、下流を振りかえり眺めてみる。


171205京都8-5 疎水べり さとり.jpg

「さとり」in もみじ。もみじの絨毯(じゅうたん)がとてもきれいで、思わずここで時間をたくさん使ってしまう。



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哲学の道に行く途中で。
南禅寺境内の北、正的院(しょうてきいん)だったと思うけど、その瓦(かわら)がすばらしい。

意匠の面白さや、鉄のように硬く焼き締めてある風合い、肌に見とれてしまう。


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鬼瓦(おにがわら)っていうのか、獅子飾りっていうのか。この顔、ユーモアたっぷり。苔のあんばいもいい。



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ようやく哲学の道の始まりへ出る。

すでに1時間近く使ってしまったので、慈照寺(じしょうじ)まで時間内にいけるかな。ちょっと不安。でも、ここまでくるのに結構歩いたから、引き返すにしてもかなり時間がかかりそう。


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もう、あんまり道草を喰っていられないので、ひたすら急いで歩く。
さっきとはまた別の疎水べりは、やや広めでこちらも紅葉がきれい。

対岸には老舗のお菓子やさんなど趣(おもむき)のある家が並び、小さな橋がところどころに架かっている。



171205京都11-3 哲学の道.jpg

時間がないのに、猫なんか撮っている場合じゃないと思いながら、ふと興(きょう)をそそられる。毛つやがよく栄養たっぷりという感じ。



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汗をかきかき、ようやく慈照寺(銀閣寺)の入り口の橋まで到着。
前回の訪問からすでに30年以上を経過している。
大人になってからの銀閣寺はきっと感じるものが異なるに違いない。


『どうしようかな、次の予定まであんまり時間がないしまた出直そうか・・・。』しかし、せっかく来たのだし、またいつ来れるかわからない。
とりあえず入るだけ入ってみることに決めた。しかし、また門までさらに坂を上るのだった。



つづく・・・。






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京ろうそく なかむら 体験教室-4 絵付け Kyoto ⑥Candle

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京ろうそく体験教室、「色かけ」に続き「絵付け」。

さっき自分で赤い色をつけたロウソクに、上から絵を描いていく。

目の前では若い女性の職人さんが、白いロウソクの中央に金色の菊のご紋章を描いている。1輪が16枚の菊のはなびらを、型紙もなしで大きさも形も正確に描いていくのにびっくり。



「お道具を使って、好きなように描いて下さいね」と、絵付けの手順を教えて頂く。

右のパレットに絵の具を溶かし、定着剤を1滴いれて調色する。塗ったばかりの絵の具がこすれないように、スポンジの上にロウソクの上のほうを立てかけて、細筆で描く。


『何の絵柄にしようかな・・・♪』見本帖の柄を見ながら悩みに悩む。

さっき色かけで失敗した、ロウソクの表面にあるコブの部分をどうするか・・・。『隠すよりもこれを活かした絵が描けたらいいんだけどなあ』と、手にとってじっくりとその凹凸をながめる。


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『お花だけの柄も素敵だけど、このデコボコを樹(き)の幹に見立てて、立体的にしてみようかしら。そういえば、けさ、"哲学の道"で見た梅の古木が素敵だったなあ・・』

『下地が赤だから、白梅がいいかな・・・。サクラと梅は、枝ぶりがちがうんだよね。。どんなだったっけ。』胸のうちでひとりごちる。

絵の具の濃度が難しい。地色の赤が透けて見えるので、梅の木のくろぐろとした樹皮を出すために何度か塗り重ねる。

『コブの上には苔(こけ)の生えている様子を描いて・・・。緑色がうまく乗らないから、ゴールドを下に塗ってみよう。』


慎重に、ちょっぴりずつ描き進めているうちに、いつしか夢中になる。部屋の中はとても静かで・・・。戸外の遠くから子供の遊ぶ声がときおり聞こえたりして・・・。



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かなり時間がかかってしまったけど、ようやく1本の絵ができた。さっき色をかけそびれて、ちょっぴり白く残ってしまったところにはシルバーを塗って、『月光のイメージ』とかなんとか。



『もう一本は藤(ふじ)のゴツゴツした幹が絡んで、うねるように横にはわせ、長い花房を垂らしてみよう・・・』


文章だけで写真を見なければ、どれだけすばらしい絵が描けたかって印象だけど(汗)


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ほら、この部分が失敗してコブになったところ。ドンマイ、ドンマイ。
薄いふじ紫は、赤の上では沈んでしまうので、先に白を塗ってから、上に紫をのせてみた。



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ようやく完成!こ、これは、もったいなくて火をつけられない。

左が藤の花。右が白梅の木。よく見ると、っていうか、よく見なくてもヘタっぴいだけど、久しぶりに新しいことにチャレンジして、とても充実した時間が持てたことが嬉しい。

私は絵付けにすごく時間がかかったので、レクチャーから完成まで、全部で3時間くらいかかってしまったけど、手の速い人なら半分くらいの時間でできると思う。



東京に帰ってきてから、和ろうそく作りが私にとってどんなにすばらしい体験だったかを会うひとごとに話している。

製作現場にいれて戴き、お仕事の手を止めてていねいに指導してくださったことを、とても感謝している。

「京蝋燭なかむら」の皆様、笑顔で温かく接して下さいまして、本当にどうもありがとうございました。








京ろうそく なかむら 体験教室-3 色かけ Kyoto⑤ Candle

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前回からの続きで「京ろうそく」の体験教室、色かけ。

先ほどの流し込みの作業場の隣では、ベテランの職人さんが、手際よく蝋燭(ろうそく)に色をかけている。みるからに難易度が高い。

おおきな鍋の中には赤い染料の入ったロウ(蝋)がたっぷりと溶けていて、脇(わき)の盆には、生成(きな)り色のロウソクが並んでいる。

ロウソクのお尻にはすでに赤いロウがちょっぴりついており、穴に竹の棒がさしてある。この下準備は傍(かたわら)にいるマダムの役割。

この棒をもって、赤いロウを上から注ぎかけて色をつけるのだという。赤いロウは面を伝わるにつれて冷えて固まり、表面に定着する。




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右手の柄杓(ひしゃく)ですくった赤いロウ。

左手で持ったロウソクはやや斜めにかしげ、棒をはさんだ指先をずらすようにして、軸を中心にクルリと回転させる。と同時に、側面に赤いロウをシャバシャバと垂らす。

口で言うと簡単そうだが、右手と左手で異なる動作を、しかも同時におこなうのでとても難しそう。しかも、芯にロウが垂れないように、斜めにかしげた下の面にロウを伝わせるのでますます難しい。

よどみなく一連の作業をおこなわないと、生地の部分が白く残ってしまう。それを修正しようと2度、3度とかけ直すとそこだけ厚ぼったくなり、表面がでこぼこになってしまう。



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ここで質問。
「芯をつまんで、ロウソクのお尻から鍋にどっぷりとつけたら簡単そうですが・・・どうしてわざわざひっくり返してかけまわすんですか?」

「芯の周りの、上の面を白く残すためには、かえってこのほうが早いんです。あとから直すのは大変なので」

なるほど。液だれの方向や、いかに均一にかけるかなどを考えると、ひとつずつの工程が実に理にかなっている。



さっそく席に座らせていただいて、大きなエプロンをつけてもらい、いま見たようにひしゃくを手にする。

「さあ、やってみましょう」
「思い切ってやらないとうまくいきませんよ」
「作るのは2本です」
「初めてでも上手な人もいますよ」

など、アドバイスを聞くほどにプレッシャー。


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うわー、ものすごく緊張する!

リハーサルで何度かひしゃくですくい、液のかたさ具合とか加減をみて、左手の棒も回転させてみたりするが、同時にやるタイミングが難しい。

呼吸を整え、えいやっとばかりにかけてみる。『アアァー・・・』声ならぬ悲鳴が。
回し方が足りず、白い部分が残ってしまう。さらにかけ足してみたが、生地がちょっぴり残ってしまった。

もう一本にトライするも、ああ無情。また失敗してしまった。おのれの不器用さにがっかりする。ちょっとくやしい。。写真を見ると脇があいて、手首だけでひしゃくを返そうとしている。こういうの、脇が甘いというのだろうか。


いやいや、「つくることは簡単ではない、難しいということを理解するのも体験の大切なこと」である。
と気を取り直す。

『さて、いよいよ絵付け。楽しみ~♪』
と思っていたら、たった今、自分で色をかけたロウソクを
「はいこれに絵付けしてください」とおっしゃる。

『あれ?この、失敗したやつに絵付け??そうだよな、、、自分で責任取らなくちゃ...』
って、不出来なものでも、自作だからこそ愛着が湧いてこようというもの。


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「ほらね、きれいな面を表に出したらわからないでしょ」と箱に詰めてくださった。マダム優しい~。 


次回、いよいよ最終段階の絵付け。なんの柄にしようかな~。実力をかえりみず、理想の絵柄(妄想)だけがふくらんでしまうのであった。  つづく。



京ろうそく なかむら 体験教室-2 製造 Kyoto④

171205京都 和ろうそく なかむら 工房.jpg

京ろうそく体験教室、昨日からの続き。

いよいよ実際に「和ろうそく」を作ってみることに。商品を作っている現場に入れていただけるということがとても嬉しい。

手前にあるのは蝋型、右手には大きな鍋で温めて溶かしたロウ、奥は作業する台。この方がここの受け持ちで、今日の製造を指導して下さる。

このようなコーナーが数か所あり、女性の職人さんたちがそれぞれサイズの違う和ろうそくを作っている。

今回作るのは4匁(もんめ)のロウソク。高さは約12センチ、燃焼時間はおよそ1時間15分という。


171205京都 和ろうそく なかむら 蝋型.jpg


ロウの成分がしみ込んでツヤツヤになったろうそくの型は、一度水をくぐらせてから水気を拭き取る。

一番下に置く台(写真では上の枠)には小さな穴が並んで掘ってあり、ここでロウソクの芯の先を支えるようになっている。やや太い穴があいている型はロウソク本体の部分になり、2段目にのせる。

あとでわかるが、この型はまた横に3つに分かれている。



171205京都 和ろうそく なかむら 芯.jpg

これがロウソクの芯となる部分。昨日も書いたが、筒状の紙にイグサの繊維(せんい)が巻いてある。

これはお燈明(とうみょう)などが、お祈りの途中や屋外で火が消えてしまわないように、火力を強くする工夫である。芯を太くすることで、大きくしっかりと燃えるのだ。


ようやく、あの和ろうそくの先っぽに見えていた、太い芯がどうなっているのか理解できた。

ロウの性質や使用方法などに合わせて、大昔から試行錯誤を重ね、改良をしてこういう形になったんだろうなあ。



そして、その空洞の中心に、一本ずつ長い竹串を通しておく。




171205京都 和ろうそく なかむら 芯たて.jpg

芯が倒れないように、一番上にさらに台形の枠をのせる。

そして今度はこの、竹串を通した芯を、ロウソクを流し込む穴に一本ずつ挿(さ)す。
まずはお手本を見せてもらう。職人さんはさすがに仕事が早い。スパスパっと右から左へ挿していく。


芯が32本だから、ろうそくもこの1回で32本できるということだ。


171205京都 和ろうそく なかむら 芯たて2.jpg

これ私。。簡単そうに見えたのだが、穴が小さくて、慣れていないと思いのほか手間がかかる。
このへんまでの工程は、いったい何をしているのか自分でもよくわからないままに見よう見まねでやっている。



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芯をすべての穴にさし終わったら、大きな鍋の溶けたロウを小さな「ゆきひら鍋」ですくい、静かに注ぎ込んでいく。


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枠の中央あたりから溶けたロウ(蝋)を注ぐ。細い穴にロウが流れ込んでいく。つい、かけまわしたくなるが、一か所から動かさず、左右に溢(あふ)れるにまかせ、たっぷりと入れる。



171205京都 和ろうそく 流し込み完了.jpg

少し冷えたころを見計らって、竹串をちょっぴりまわしながら抜く。紙の芯だけがロウだまりの中にのぞいている状態。



171205京都 和ろうそく 切れ目を入れる.jpg

流し込んだロウ生地にまだ柔らかさの残る状態で、一番上の枠をはずす。

すると、はずした枠の形で、まるでロウがパンケーキ生地のようにつながっている。そこに、上から包丁で切れ目をいれていく。



171205京都 和ろうそく なかむら 包丁.jpg

包丁はあらかじめ温めておくのが大事。白い灰の中には、炭が熾(おこ)してあるのだろう。




171205京都 和ろうそく あまりを切る.jpg

そして枠の上にはみ出たロウ生地を、面にそってスススっと包丁で一気にはがしていく。なんか、本当にパンケーキを作っているようである。

171205京都 和ろうそく 芯穴あけ.jpg


上の板状のロウを取り除くと、「おお、なんかロウソクの丸い断面図が見えてきてうれしい!」
中空の穴を、千枚通しできれいに整えていく。

これも、なにやらたこ焼きを作るかのごとく。料理番組のようだ。

ここで気づいたのは、職人さんの手がとてもキレイなこと。もともときれいな方なのだが、なんでも櫨蝋(はぜろう)には肌を美しくする効果があるらしく、その成分は高級な化粧品にも使われているとのこと。

『お仕事しながら自然にパックできているのかもしれない』と、つい目がそちらへ行ってしまう。


171205京都 和ろうそく 型をはずす.jpg

そして本体である中段を、下の段からはずして寝かし、三層になったその板を上からはずすと、ほら、ロウソクがずらりと出てくる。

感動の瞬間!


本当のところ、やっているときは型をどうやって組んではずして、ろうそくができてきたのかマジックのようで、よくわからなかった。しかし、こうやって写真を見ながらおさらいしてみると、木型の構造がよく理解できる。




171205京都 和ろうそく バリ.jpg

左に丸くあいているのは、上の木型がずれないよう、固定させるためのさしこみ穴。

私のやりかたのせいか、、、継ぎ目にはロウのはみ出た大きなバリができてしまった。


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合わせ目にできるバリは、必ず両脇に2か所に出るので、大きさにかかわらず包丁で削りとって磨かねばならぬ。この作業は全て一本ずつ手で行うのである!

私は2-3本しか処理しなかったけれど、1回の工程につき、32本×2=64か所をけずるのでとても手間がかかる。


171205京都 和ろうそく なかむら 15匁.jpg

反対の場所では、もっと大きい15匁(もんめ)のろうそくを作っている。奥の作業場では2匁?のちいさいロウソク。100匁まで、10段階のサイズがあるようだ。

全部てづくり。本当にびっくりした。


尺貫法(しゃっかんほう)でいう一匁(もんめ)は3.75グラムにあたる。「匁」という単位を久しぶりに聞いた。

ここまでで、本体の和ろうそくは完成。嬉しい。
『きなり色もいいなあ・・・』



これに絵付けをするのかなと思ったら、次は色かけをするのだという。ま、まさか自分でやるとは思わなかったが・・・・。見ただけで難易度が高そうだ。

次回はろうそくの色かけに続く。。。




➤次の記事  京ろうそく なかむら 体験教室-3 色かけ



京ろうそく なかむら 体験教室-1 kyoto③ Candle

171205京都 和ろうそく なかむら 玄関.jpg


昨日の鬱陶(うっとう)しい雲が見事に晴れて、冴えた青空と冷たい空気の京都。

この日はあちこちに行きたくて、たくさん予定を入れてみたのだが、そのひとつがこの「京蝋燭(ろうそく)なかむら」さん。

以前から「和ろうそく」にはとても興味があって、待望の製造体験受講である。絵付けだけのコースもあるが、蝋(ろう)の流し込みからの工程をさせて頂けるのでとても楽しみ。


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予定は13時。午前中は慈照寺(じしょうじ)など東の方を歩き、思いのほか時間がかかってしまったのでお茶もお昼も抜きで直行する。


今出川(いまでがわ)駅から地下鉄に乗って、終点の竹田の駅から徒歩5分、静かな通りにそこはあった。ガラガラっと引き戸を開けると、中はろうそくを実際に作っている工房。一歩入ると、暖かく粘り気のある、懐かしい蝋の匂いがいっぱいに満ちている。

ワークショップ的な会場を想像してきたので、現場を拝見できるとはびっくり。入り口は所狭しと商品の箱が積みあがっていて、物が動いている活気でいっぱいだ。


171205京都 和ろうそく なかむら 看板.jpg


最初の30分程は、和ろうそくについてのレクチャー。非常に興味深い。
社長自らが、和ろうそくの素晴らしさ、その継承の難しさと意義などを熱く語る。

ぼんやりと断片的だった知識が、直接お話を伺がうことで少しずつ明瞭(めいりょう)になり、とても勉強になる。知らないことがわかっていくというのは、いつも心の弾(はず)むことである。以下はその時にとったメモと、後日調べたことを参考に、自分の整理のために書いてみた。




和ろうそくの原料は、櫨(はぜ)の実から絞って採られた植物性の木蝋(ろう)である。ハゼは安土桃山時代に大陸から渡来し、江戸中期には沖縄を経由して九州でさかんに栽培された。島原藩でも奨励され、一大生産地となったが、1991年に雲仙普賢岳(うんぜんふげんたけ)の噴火により産地は壊滅的被害を受け、原料の流通量が激減。また、安価なパラフィンワックスの西洋キャンドルに押されて、和ろうそくは厳しい状況にある。


しかし、安価で火力もある西洋キャンドルがあるのなら、なぜ和ろうそくが必要なのであろう。

ひとつは、和ろうそくは煤(すす)が少なく、油分も少ないので払うだけできれいになる。寺社仏閣の「すす払い」が洗剤を使わずに、毛ばたきなどではたくだけで落ちるのも、植物性の和ろうそくを使っているからできること。

木ろうは融点が低い。垂れたロウはお湯で容易に拭き取れるため、漆(うるし)や箔(はく)の細工ものなど、大切な装飾を傷めることもない。

よって修復の頻度(ひんど)も減る。和ろうそくを使うことで文化財を守ることができるのだ。そのため京都のおおくの由緒あるお寺には、こちらの和ろうそくが使われているそうである。

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そして和ろうそくの特徴に、その炎のゆらぎと色の暖かさがある。火力が弱いため、筒状の紙にイグサを巻いて芯を太くし、消えにくくしている。芯は中空になっているので、煙突のように空気が上がってきて、風がなくても火がまたたくのだ。ながめているだけで心がなごむ。

石油系パラフィンのキャンドルは火力があり明るく強く、直截的(ちょくさいてき)である。平たく言えば風情(ふぜい)がない。油分の多い煤(すす)も出て、払うだけでは容易にきれいにならない。



例えば日本画は、和ろうそくの灯りで鑑賞しなければ、作者の意図するところを見ることはできないという。また座敷の欄間(らんま)に立体的な彫刻が施されているのは、蝋燭の揺らぎで「影」が動くことも考えてあるからで、西洋のステンドグラスが平面的で、「光」を通して鑑賞するのと対照的である。

京都の舞妓(まいこ)さんたちが白塗りの化粧に玉虫色の紅をさすのも、和ろうそくの光でこそ最も美しく映える色だから。

日本の美、つまり和室、仏像、日本画の色、漆(うるし)塗りや歌舞伎の隈取(くまどり)などといったもののすべては、和ろうそくという「灯り」ありきで考えられているようだ。

それは谷崎潤一郎の「陰翳礼賛(いんえいらいさん)」のなかにも語られている。
「美というものは常に生活の実際から発達するもの」というくだり。

長い庇(ひさし)を持つ日本建築が、結果、うす暗い部屋を持たざるを得ず、その中に陰翳の美を発展させたという。


ひとつの文化を単独で残そうとしても無理があり、そのおおもとを考えなければ伝統は守れないと思う。


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茶道や日舞など、和の文化にも触れて育ち、長じて歴史・時代小説なども愛読してきたため、和ろうそくの存在をその情景の一部として、自分なりにぼんやり感じてきた。

「なぜ和ろうそくであったのか」「どうして、それでなければならないのか」ということが、たくさんのお話を伺って少し理解できたように思う。



特に心に残っているのは、社長さんがいった、「和ろうそくは伝統工芸品ではなくて、消耗品である」ということばだ。

伝統工芸という看板だけで仕事をしている人もいるが、生活の中で活きていくものこそが、本当の伝統になっていくのではないかと思う。


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お話が終わり、「では、実際に和ろうそくをつくってみましょう」とうながされ、「あの、中はお写真を撮っていいのでしょうか?」とおずおず聞くと、「どうぞどうぞ」とおっしゃる。「うちはどこを見てもらっても平気です。」とも。

秘密や秘伝などではなく、まっとうなことをきちんとする。培(つちか)ってきた信用や、人とのつながり。それらを続けるのはとても難しいことだからこそ、見ただけで簡単にまねできるはずがない。

だから、隠すことなどないと自信をもっていえるのだと思う。



次回、実際の製造体験に続く。





京蝋燭 なかむら 有限会社 中村ローソク
〒612-8413 京都府京都市伏見区竹田三ッ杭町57-8









京都、糺(ただす)の森から下鴨神社 KYOTO②

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京都の宿についたのはもう3時過ぎ。パラパラと雨が降り始めた。『またか・・・』と軽くがっかりする。

10月の京都催事(さいじ)のときも台風が直撃し、一晩中、携帯の警報が鳴りやまなかったほどだ。ホテル缶詰。

この日も薄暗くなりつつある空を見上げ、「外出を見合わせようか」と一瞬迷う。しかし、今回の短い京都滞在、「一刻も無駄には出来ぬ」と当初の目的地のひとつ、「糺(ただす)の森」へと向かうことにした。

修学旅行や、学生時代に部活の友人たちと来て以来、京都はいつも仕事の通過点。小説の舞台としてはなじみのある地名や名所も、大人になってゆっくりと訪れたことはなく、市内のどのあたりに位置するかは実はぼんやりとしかわかっていない。

それなら前もって新幹線の中ででも、ちょっとは調べたらいいものなのに、どっぷりと時代小説に溺れ2時間を使ってしまう。読んだのはなぜか志水辰夫の「つばくろ越え」。古本屋で、字が大きかったから読みやすかったのよねえ。でも江戸の飛脚(ひきゃく)ものの話では京都の地理には役に立たず...。



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とりあえず京都駅で買った、店員さんおすすめの地図は、いざ開いたらなぜか英語であった。『Tadasu mori shrine・・・Simokamo-Jinja shrine・・・』 

さとり 「うわっ、読みにくい」
与一  「日本語も書いてありやすよ。ちっせえけど」

ローマ字表記では、瞬間的に入ってこないのである。
また、グーグルでは、自分が京都全図のどこにいるのかが私には俯瞰(ふかん)できないので、なんとなく使いたくない。アナログ時計と同じ、古い人間なのだ。

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地下鉄を乗り継ぎ、出町柳(demachiyanagi)に到着したのはもう4時。地図をみながら「糺の森(ただすのもり)」を目指す。
ここについて知っているのは、奥に下鴨(しもがも)神社があるという程度で、ほとんど前知識はない。

右手に傘、左手にバッグ、首からカメラ、足元は濡れて歩き辛い。「やはりここは天気のよい昼間に来るべきではなかったか?」という思いもよぎる。

が、「さとりさんは絶対気に入りますよ」という知人のお勧めと、この森の名前に、なにやら「私はここへ来るべき」との使命感をもったのである。決めたからには行かねばならぬのが習い性。


「糺(ただ)す」というのは、罪や真偽・事実などを問い調べること。太古の森に抱かれて、今までのおのれの道を振り返り、反省でもしてみようか、という殊勝(しゅしょう)な気分にあったのは間違いない。



与一『さとりさまが反省とは、、、それで雨でもふったんでやしょう・・・』
久しぶりに連れてきた与一(人形)から、すかさずつっ込みがはいる。


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地下鉄を出て、大通りから森の始まりに足を踏み入れた途端、空気が変わってくるのがわかる。澱(よど)んだものが、ガラスのように透明になる。そして少し焚火(たきび)くさい、スモーキーなグレイと、水の匂いや、緑の香りが交互にやってくる。




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途中に、「旧三井家下鴨別邸」との看板が。『雨やどりでもしていこうかな。そういえば昔、思いついて立ち寄った池之端の「旧岩崎邸」も、こんな小雨の夕方だったっけ。』

日没まで時間がないのに寄り道。
建物は、素敵と言えば素敵なのだが、全体のバランスがなんとなく継ぎ足しな感じ。望楼(ぼうろう)と中3階はいらないんじゃないか?

磨き上げられた階段や、格子、建具(たてぐ)とかはすばらしい。もう閉館間近だったので、そそくさと一巡りして気が付いたら庭に出ていた。端の方から雨戸が立てかけられていくのが見える。

モノトーンの景色はいよいよ寂し気で、外から見る家の灯りがいっそう暖かい。


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元の道に戻ればすでに4時半をすぎ、暗くなる前にお社(やしろ)まで到着するかやや不安。

まっすぐの道を進むと、雨も小やみになってきた。しっとりと濡れた石畳に、終わりかけの紅葉がはらはらと落ちる。ぼんやりと点(つ)く光りに『風情があるなあ・・・』と、京の色気に酔う私。


「十月に賀茂にまうでたりしに、ほかのもみぢはみな散りたるに、中の御社のが、まだ散らでありしに、」赤染衛門集

他の場所のもみじは散っているのに、下鴨神社はまだ10月でも残っている、と歌にある。


昔は10月でもすでに遅い紅葉だった。12月までいろどりをたもっている今は、やはり秋から冬が暖かくなっているのだろう。



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「糺の森」には、樹齢200年から600年の樹が600本もあるというが、左右の木立がほとんどシルエットとなり、森は闇に溶けつつある。中に入ることはためらわれ、下鴨神社にむかってまっすぐの参道をつっ切るだけになる。ひたすら、もくもくと砂利道を踏み進み、手水で手を清める。まばらな人影。

心が静まるとか、浄化されるとかそういうことではなくて、、、今日はあえてそんな風に思わない。
じっとしていると考えが堂々巡りになってしまうから、せいぜい歩いて、体の血を巡らせるほうがよいのだ。


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朱色に塗られた雅(みやび)な門。解説によると、これが楼門(ろうもん)で、ここから下鴨神社が始まるということを知った。

門を通るとき、鳥居をくぐるときに、立ち止まりごく自然に頭を下げる人々がいる。その一連のなめらかなしぐさは、仰々しい信仰とも異なり、身についた一部として感じられ、その方の暮らしぶりを美しいと思える。



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楼門、舞殿(まいでん)、中門と進むにつれ、「ああ、これが葵祭(あおいまつり)の」とようやく思い至る。舞人が蝶のように白い装束を翻(ひるがえ)す光景を浮かべながら奥へすすみ、言社(ことしゃ)につく頃はすっかり暮れて、まもなく閉門の声もかかる。急いで自分の干支(えと)にお参りをして後にしたのである。

暗い中、いまと同じ道のりを歩くかと思うとちょっとぐったり。しかし、知らぬ道は遠く感じるもの。帰りは思いのほか早く、もとの出町柳駅に到着する。そこから地下鉄で四条河原町へ出てまた歩き回る。雨が再び強くなる。


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あてもなく足を運べば、古い印刷屋さんや箒(ほうき)店などに行きあたる。かと思えば、モダンなインテリア雑貨のお店とかに出会う。ただ歩くだけで楽しいのは、パリと同じ。



つらつらと思い出し「糺の森はまた来たい、ゆっくりと」そう思って後でどんなところか調べてみると、ものすごく魅力的なところだ。やっぱりおすすめは間違いなかった。




そして、後先になってしまうが、この日の続きが
「月はおぼろに東山 KYOTO①http://parfum-satori.com/blog/2017/12/kyoto-3.html
に戻るわけである。

翌日はまた、とりあえず行ってみたい場所があって、たくさん歩く予定。










京都にて、催事 ④Kyoto パルファンサトリ

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茶壷に入った「さとり」の香水。
10月、京都の催事にて。


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ここ数年、神戸、大阪などでも披露したが、この展示会も調香オルガン台を東京のアトリエから運ぶ。京都には初お目見え。


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このたびは老舗百貨店様のクローズドの展示会だったので、一般のご案内ができなかったのだが、思いがけずすでにご愛用いただいているお客様も来場されていて、たくさんお声をかけていただいたのがとても嬉しかった。



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ホテル全体を借り切った会場は、各階で美術、ハイジュエリーや、ファッション、プレステージの小物が並ぶ。

パルファンサトリは宝飾のエリアに出展。ぶらっと歩けばジュエリーのマスターピースコレクションの数々に圧倒される。眼福であった。




京都、東山から木屋町 ③Kyoto

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京都旅行といえば、小学校、中学校の修学旅行、そして親しい友達と行った大学の卒業旅行くらいだろうか。清水寺や法隆寺など、基本的な観光地には行ったはずであるが、記憶は写真のように断片的で、地理感がまったくない。

大人になってその後は、日帰り出張や大阪、神戸の行きかえりに駆け足で通り過ぎるだけ。ちゃんと街並みを歩いたり、ゆっくり食事をした記憶もないのである。

今回も3日間の催事に出展するべく来たので「お仕事」ではあるのだが、朝早くから会場に入るので、前日に京都に来ることにした。その日の午後に知人と会って、夕方から自由な時間が少しあったので、宿(やど)の近くを少し歩いてみたわけである。




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台風の前でぐずつく天気だが、折よく雨が止む。蹴上(けあげ)の方からだらだらと坂を下り、なんとなく気分で路地に入ったりまた大きな通りに出たり。
なんといっても、久しぶりの京都であるし、どこに何があるかなども不案内なまま、名所と呼ばれる建物などに遭遇するのを楽しむのである。

交差点から遠くに、赤い大きな鳥居(とりい)が見える。そういえば近所のホテルのコンシェルジュにこの辺の見どころを聞いたとき、「鳥居がどうとか...」言っていた気がする。そうか、これが平安神宮の大鳥居だったか。


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しかし、鳥居とは反対の方へ向かい、青蓮院(しょうれんいん)から知恩院(ちおんいん)の脇を通り過ぎる。雨上がりの夕暮れの道はさほど人通りもなく、しっとりとした空気が麗(うるわ)しい。

立派な樹が次々と現れるので胸がトキメク。白い漆喰(しっくい)の塀と瓦の濃い灰色、そして巨樹が相まって、千年の都の風格を感じさせる。

「ああ、私、いま京都を歩いているんだわあ...」
プチ自由の満喫。

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この道に入ったころから、芳(かぐわ)しい香りに包まれる。スパイシー、カンファーでリナロールのさわやかな香り。ブラックペッパーオイルの香りにも似ている。


少し歩いてやはりと思う。大きな楠(クスノキ)が現れ、その見事さに思わず足を止め見惚れてしまう。このあと、またクスノキの大木に出あって驚いた。全部で3本ほどあるらしい。

楠(クスノキ)からは樟脳液(カンファー、カンフル)が得られる。あの、だめになりかけた人や物事を蘇生させる「カンフル剤を打つ」というあれである。


同様の香りは新宿御苑を歩いているときもしばしば感じられる。御苑の森にも楠か芳樟(ホウショウ)があるのだろう。しかし、ここは一層強く、密度があるようだ。木の大きさもあるし、気圧や湿度のせいかもしれない。

気分の上がる理由は、この香りにもあるのだろう。


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「蓮如上人(れんにょしょうにん)御誕生之地」という石碑。ただもう、やたら歩いていても歴史的な名前に遭遇するのは、さすが古都である。

歴史小説が好きなのであるが、ここ一年は戦国時代から安土桃山あたりをよく読む。石山本願寺と顕如(けんにょ)のあたりは話によく出てくるので「帰ったらもう一度、歴史をおさらいしなくちゃ」などと思う。

江戸剣客(けんきゃく)ものを読んでいる時分は、江戸古地図を買って、その足取りを追ったりもしたものだ。

やたら楽しい。。。

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そして、クマリンの香りに誘われて京都市都市緑化協会の庭に至ったわけである。

この感じ、何かに似ていると思ったら、風景は180度異なるけれど、パリの街を歩いているときと同じだと感じる。

ホテルを中心にして、ひとりでパリの石畳を歩き、坂を上りながら「そこの角を曲がったら何があるのだろう?」と好奇心と勘(かん)を頼りにほっつき歩く。面白そうなものを、比ゆ的にいわば犬のように嗅ぎまわるのである。




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すてきだなあ。あいまいな夕暮れに灯りがぼんやりとして、パリのルールブルー/L'HEURE BLEUE(青い時)とはひと味違うロマンチックさ。誰もが感傷的になれる場所。



いったん四条に出てまた三条へ上がり、そこから今日の目的地である木屋町(きやまち)へ。ちょうど新幹線の中で、池波正太郎の「その男」という小説を読んでいて、偶然にも薩摩、長州、幕府方の隠密が、この木屋町を中心に密かな戦いを繰り広げているところなのである。


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そしてまたここは森鴎外の小説で有名な高瀬川(たかせがわ)。小さな流れに沿った、濡れた小路に灯が揺らめいている。

「勉強になるなあ・・・。」

空想上の世界が、しっくりと馴染んでくる...というには、浅すぎる体験ではあるが。



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そして地元の人に紹介していただいた、「京都のおばんざい」が頂けるという「あおい」というお店に集合。こざっぱりとした店内には素敵な女将さんがいて、カウンターの大鉢においしそうな(実際とても美味しい)お料理がずらりと並んでいる。食いしん坊としては、写真を撮るのも忘れ、その味に恍惚(こうこつ)となる。

ほろ酔いの中、常連さんと女将さんのやりとりを音楽のように聴いている。決して自分で使うことはないが、その土地でその土地の言葉を聞くのは、耳にとても心地よいものだ。

しかし翌日からの仕事を考え、名残惜しいけれども早々に宿に帰り、びっくりするほど早く寝てしまったのだった。せっかくの京都なのに。。。


パリよりずっと近いし、またすぐに京都に来たいと思う、一夜であった。









フジバカマ,藤袴,Eupatorium fortunei,京都①

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秋の七草のひとつ、フジバカマ(藤袴)である。 はじめつぼみは濃い小豆色だったものが、開くと淡くなり、ピンクのフワフワした雲のように見える。




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この日、京都での催事の前日夕方に、少しだけ会場の近く東山界隈をブラブラする。台風の前で天気はあいまい。細かい雨が降ったりやんだりしている。

知恩院の近くを通ると、さくら餅のような、甘いクマリンの香りが立ちこめている。あたりを見回し、フジバカマを発見。そうして門の中を覗いてみたらたくさんのフジバカマの鉢が育成中。

ひと鉢とか、路地にひと群れ咲いていたことはあるが、一度にこんなたくさんのフジバカマを見るのは初めてだ。

これだけの量があれば、確かに道にまで香りが漂ってくるはずである。



フジバカマの匂いは、クマリンやヘリオトロピンのような甘いパウダリーな香りで、このピンク色の雲のような花のイメージにきわめて似つかわしい。

ものの本には、フジバカマは乾燥しないと香らないと書いてあるし、私も以前はそう思っていた。しかし生花もよくにおう。環境や個体差があるのかもしれない。


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自由に入れるようなので庭の中に入ってみる。奥にはヤブコウジとか、エンコウソウとか地味な植木鉢がたくさん。

『なんだろ、植木屋さんかしら?だとしたらずいぶんシックな植物を集めているんだな』などと思い、『さすが京都、お茶屋さんや料亭に納めるのかしら?』

とひとりごちる。


 
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実はここは園芸店などではなく、京都市都市緑化協会という公益財団であった。京都駅から西へいった、「梅小路公園」というところの管理業務をしているらしい。京都における新宿御苑のようなものなのだろうか。

フジバカマは準絶滅危惧種である。こういった絶滅危惧種などを保護して育てているのだろう。
次はぜひ、この梅小路公園にいってみたいものである。



「萩(はぎ) 尾花(おばな) 葛花(くずばな) 瞿麦の花(なでしこ) 姫部志(をみなへし) また藤袴(ふじばかま) 朝貌の花(万葉集・巻八 1538)」に詠まれている。

植物事典 フジバカマ キク科 フジバカマ属 学名:Eupatorium fortunei,


Kiyomasa no Ido at Meiji Jingu

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There is a well called Kiyomasa no Ido at Meiji JinguThe water is transparent and you can see round & smooth stones.

Looking into the well.. Seeing those stones, the reflection of green leaves & branches of the trees on the water, I start to wonder if I am standing on the water or in the sky. 


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Entering from the Kitasando near Yoyogi Station, tall trees on the street are blocking the sky. The scent of Hinoki and Cederwood is refreshing.

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There is a fishing spot near the lake. The view of wild wisterias from there is great.

A heroine and an egret are resting.

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Out of the woods, at the end of the road is where you find Kiyomasa no Ido. Quiet place. 


I will not expect a reward or benefits. I just wanted to express gratitude for my safety today. 

  

 MEIJI JINGU HP

 

メルボルンとタスマニア Melbourne

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今日、オーストラリアのお客様が訪ねて見えた。
メルボルンから日本へワーキングビザできたという。

オーストラリアにいるときに、香水専門のSNS「ベースノート(Basenote )」に載っているパルファンサトリの記事を読み、興味を持ってHPを見たのだそうだ。

コンセプトがとても面白く、ぜひ香りを見てみたいと思っていたとか。
日本に来て5か月、ようやくこの店を訪ねてこれたということである。


 

一通り男性用の香水を見終わって雑談になった。

「私もMelbourneに行きましたよ。海岸ごしにタスマニア島が見えました」

そういうと彼はちょっと戸惑った顔をしたと思うと笑って、
「タスマニアはとても遠いから、Melbourneからは見えません」

「えええっ!」『だって、オーストラリアナンバー1の高さを誇るユーレカタワーの部屋の窓から、住人がそういったのに・・・!』

「もし見えたとすればそれは近くの小さな島、フィリップ島じゃないかな?」

 

上の写真は以前メルボルンに行った時に、ユーレカタワーの上から撮った写真。
そのときのブログにもそんなこと(タスマニアが見えるとか)書いていた。

タスマニアは世界地図で見るとメルボルンのすぐそばにある小さな島だ。・・・と思っていた。

しかしお客様が帰ってからすぐに調べてみたら、タスマニアはメルボルンからは240キロも離れているし、小ぶりの北海道くらいの大きさがある。

海岸から見る水平線はおよそ5キロ先。

まったく疑わなかったが、
高層タワーの上からでも15キロくらい先しか見えないそうだから、タスマニアは丸い地球の向こうに隠れて見えるわけがないのだ。恥ずかしいなあ。

なるほど・・・。しかし万が一にも蜃気楼があったら・・・?まあありえないけど。
はて、蜃気楼ってどのくらい先まで見える可能性があるのかな?



 

明日はパーティーがあるから、何か香水をつけていきたかったそうだ。

彼は「強い香りがいい」というので

「女の子にモテたい?」
「もちろん!」


「じゃあ、マザーロード66がいいと思いますよ。男性は強い香りだったら女性にアピールできると思っていますが、『あれ?いい匂いだけど・・何だろう?』とそばによって見たくなる程度に香るのが一番いいの。」


それを聞いて快活に笑う若い彼。
きっと人気者になるんじゃないかな?

私の知っているオージーってみんな明るい。

金沢東茶屋街 kanazawa

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金沢は「小京都」とも称されるが、地元の人にとっては金沢は金沢、ちょっと不満なようだ。
タクシーの運転手さんも、街や店で出会った人もみな加賀の歴史を愛し誇りに思っている。

建物の由来や町名の移り変わりなど、気さくにかつ詳しく教えてくれる。
戦災にあっていないので、昔の建物がそのまま残っているところが多い。

夕方の物憂げな日が射す町屋の並び。

石川県金沢港大野からくり記念館 Karakuri 歯車

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もう東京にはとっくに帰ってきているのだが、まだまだ金沢で撮った写真がたくさんある。

どこの場所も想い出深く、感じたことや聞いたことを記録しておきたいのに、だんだん記憶も感動も薄くなってしまうので忘れないうちに載せておくことにした。

 

松風閣庭園(旧本多家庭園)金沢本多町 KANAZAWA

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昨日の続きであるが、金沢に行った。

知人が知り合いの陶芸工房があるというので、そちらへ連れて行ってもらった。 
工房の前には素晴らしい庭。

巨木と苔に囲まれた池にはひっそりと何かが息づくようである。

金沢 兼六園 KANAZAWA KENROKUEN

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旅に出るとただでさえ感傷的になるものである。
しかしそういったことにはまったくならず、見るものがみな楽しくて新鮮!

金沢へは15年前に来て以来であるが、年齢が違えば感じ方も違う。

今の方がずっと、ここのすてきさが感じられる。

 

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年をとると目だの手先など鈍くなる部分もあるが、代わりに感受性がちょっぴり伸びていくような気もする。

それはやっぱりいろいろなものを見たり、知識や経験を養分として得た分、受容の枝先が広がったのであろう。

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10歳には10年の目盛、50歳には50年の目盛、100歳には100年分の目盛があるのだと思う。

だから古いものを測る物差しは、年を経てからの方がきっと正確なのに違いない。

 

130528兼六園花菖蒲2.jpg

ひとりでも美しくて、群舞でもさらに美しい。

花菖蒲はそんな花だ。

鮮やかな緑の中に、アシンメトリーでありながらある規則性を持って、紫が延々と連なっては飛ぶ。

 

130528兼六園花菖蒲1.jpg

本当にすてきな景色だと思って撮っても、あとからパンフレットを見たら似たような構図の写真があったりする。

みんなが見てきれいと思うものは確かにきれいなものが多いのだけれど。。。自分の審美眼って大方の既成概念の中に収まっていると思うとちょっとがっかりする。

 

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自分でもミーハーだと思うのだが、やっぱりおなじみの場所で記念撮影。

 

130528兼六園もみじ.jpg

 

青楓の中のシジュウカラ(かな~?)
プロペラのような赤い種がアクセント。

 

 

 

 

シルクイリス アヤメの香り

シンプルなシルクのシャツに、パールのネックレスをさらりと着けた美しいひと。
月のきらめきのように細やかな光の粒子が、白いオーラとなって、その素肌から匂い立ちます。

 

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神戸 夜景  Kobe

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神戸の北野異人街。
洋館にはサンタがたくさん。

寒いなあ・・・。

大坂城 Osaka Castle 

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夜、疲れて帰って来たホテルの窓から大坂城が見える。
ライトアップされ、白く光る壁がきれいだ。

カーテンを開けてしばらく眺めていた。

 

スターバックス 北野物語館 神戸 Starbucks kitano

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神戸異人館街に行く前の北野坂。
スターバックスまでこんなかわいい建物に入っている。

 

阪神大震災では、ほんの道一本の差でも揺れ方が違ったそうだ。
直したにしてもちゃんとしている。この道は被害が少なかったのかな・・・。

そう思ったら、当時壊れた建物を一度解体し保管しておいて、この場所に立て直したそうだ。

 

プラトン装飾美術館/神戸④ Platon decorative arts museum

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そして神戸のプラトン装飾美術館(イタリア館)続き。


テラスのティールームでお茶を飲んで一息ついた後、再度ゆっくりと邸内を回る。

美術館とつけられているだけあって、玄関横のサロンには、ルソー、ミレ、コロ、ボナールなどが飾られているし、地下のワインカーブの前にはロダンのブロンズや石膏のオリジナルもあった。
しかも、ガラス越しでなく間近に見ることができる。

 

プラトン装飾美術館/神戸③Platon decorative arts museum

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この日の神戸は本当に気持ちのよい抜けるような青空。

そのせいか、プラトン装飾美術館の2階はとても暑くて、見学しているうちにのどが乾いてしまった。
一通り邸内を見た後で、庭に面したテラスでL子ちゃんとお茶を飲むことにした。

 

プラトン装飾美術館/神戸 Platon decorative arts museum②

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「プラトン装飾美術館」は北野異人館街のちょっとはずれにある。

昨日に続いて、印象的な場所の写真を載せてみた。
窓や扉が光を透かしてとてもきれいだ。

2階への階段を登り切ってふり返ると、明り取りの窓は、優雅な女性のエッチングがしてある。

ちょうど斜めに差す午後の陽ざしが彫りを透かして、左にかかったタペストリーに影を落としている。

プラトン装飾美術館/神戸① Platon decorative arts museum

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先週末は出張で、神戸で3日間を過ごした。

初日、空き時間があったので北野にある異人館街を見てみようということになった。

時間的にあまりたくさんの場所は見れないので、一か所にゆっくりすることにした。


今回のお供はL子ちゃん。
周辺地図をみてルートを考えたが、もっとも外れにある「プラトン装飾美術館」まで歩いて、そこに寄ることにした。

 

鉄道に乗って

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長野新幹線ができる前のまだ小さい頃、夏休みには特急に乗って長野まで行った。

夢の超特急 新幹線

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昭和39年、夢の超特急といわれる新幹線ができた。

軽井沢のくーちゃん 

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お友達のワンコ、くーちゃん。in 軽井沢。

白い猫 軽井沢

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すました白い猫。軽井沢では、猫もちょっぴり気取っているようだ。

台湾 台北 2

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台北にて、ホテル近くのレストランで中華を食べる。


旅先ではどうしても、疲れが出て胃腸が働かない。

それで朝はおかゆを食べ、夜も軽めにしようと思ったのだが、いざ食べ始めたらおいしくて♪



上は鶏のスープ。上湯雛火敦翅(文字が見つからない)

あっさりして薄味で、おなかにとっても優しい。

 

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 これは、豚肉の細切り炒めを餅(ピン)にはさんで食べる。(青葱醤肉糸糸)

ちょっとこってりかと思ったけど、パリパリの皮が香ばしくって、ついたくさん食べてしまった。


中華はどこで食べても、味付けは少し甘めで、辛め。

ニンニクとトウガラシが何にでも入っている感じ。



このあとも、豚の三枚肉をとろとろに煮込んで、万頭にはさんで食べる成都壜子肉(あてる漢字がないので、雰囲気)など何品か頼んでみた。


すごくおいしい・・・が、すぐにおなかがいっぱいになってしまい、思ったほど食べられなかった。やはり、胃はデリケート。 


翌日は有名なディンタイフォンに連れて行かれ、ショウロンポウを食べた。

新宿の近くのデパートにもチェーンがあるが、「台湾の本店ははるかに美味しい、味が違うんだ」と台湾の人が自慢するだけあって絶品。


これも、一つづつは小さいけど、いろんな種類が次々運ばれてくるので、すぐに満腹になってしまう。食べきれず残念だった。


ちなみに「ショウロンポウは一口で食べる」、という日本の常識は

「熱くて危険だから私たちはやらないよー」

と現地の人が笑っていた。


 


いわゆるデパ地下は、イートインやフードブティックが並んでいる。日本食も人気があるもよう。

麻布茶房というカフェや寿司、ドーナツ、クレープなど日本語の店も多数みられる。


日本という看板(ブランド)は好きだけど、中身は台湾仕様(好み)というのが成功の秘訣のようだ。


ま、フランス製のブランドチョコも、日本では味が違ったりなんて、どこでもなんでもそうだけど。。。

昨日も言ったように、三越は20件近く、阪急デパートやそごうなど、(日本ではちょっと終わった感のあるデパート)がたくさん。


上の階には当然、ユニクロやMUJIといった日本のブランドも人気がある。 


 

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滞在中、爪が壊れたのでネイルサロンでバイオジェルをしてみた。

ホテル隣の阪急デパートの中、日本のチェーン店だった。


台湾でもネイルアートが人気だそう。

見本のチップは色合いなどちょっと日本とテイストが違うけど、仕事はとても丁寧で値段は半分くらい。


若いきれいなお嬢さんたちは日本で研修をし、資格をとったそうで、日本語も上手。お祖父さんが話せるという人もいた。


今、80歳くらいの人はみな日本語ができる。その時代は日本語教育が学校でされていたからだ。


ちょっとしゃべったところでは、日本大好き、渋谷の109は人気だという。(私が日本人と言うこともあって?)



限られた場所しか言ってないけど、街は清潔だし、人はおっとりとして優しい。

ちょっとのんびりでスローだけど。

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写真は、台北101という高層ビル。101階あり、2008年までは世界一の高さを誇っていた。


このあたりは、少しモダンなファッションビルや、高級ブランドがたくさん入ったビルもある。

そういう場所はバーニーズやコンランショップなんかと変わらない。


台湾の普通のデパートは東京のデパートとはちょっと雰囲気が違う。

大きなスクリーンに映ったシュウウエムラのプロモーションビデオも、ややケバイ感じだ。

色、だけでなくて、映像が明るくて派手。


けど、中国で仕事をしている知人は、「台湾は全然中国じゃない、日本と変わらないよ」と言っている。

確かに、日本の中でも東京と地方のデパートでは差があるし。


こちらのお金持ちのマダムは、なぜか超ミニスカートをはいている人が多い。

お手入れして足に自信があるのかな。

私はお行儀が悪いから、ちょっと無理だな。(いや、年齢的にも無理でしょ)



タイ、シンガポール、クアラルンプール、マレーシア、香港、台湾。

子供のころに行ったきり。


あまりアジア圏を旅行していないけど。。。

うん、わずかでも、アジアの一部を感じてこれてよかった。



▶ パルファンサトリ おすすめ商品  みずみずしいグリーンが、澄んだ空気を深呼吸したような気分。

            オードパルファン 睡蓮(すいれん)パルファンサトリ


▶ パルファンサトリ おすすめ商品  春の湧水を思わせるシトラスの透明感のあるフレッシュな香り。

            オードパルファン 苔清水(こけしみず) 


▶ パルファンサトリ おすすめ商品  ただ爽やかなだけではない、ほろ苦い抹茶の香りです。

            オードパルファン 織部(おりべ) 


 

台湾 台北 1

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台湾の台北に4泊して、昨晩東京に戻ってきた。これは到着時の台北空港で撮影。

清正井(きよまさのいど)明治神宮

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明治神宮の御苑には、パワースポットとしてにわかに有名になった清正井(きよまさのいど)がある。

自宅庭・・の気分 新宿御苑

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ここは自宅の私のお庭・・・という設定で新宿御苑を歩いてみる。

とにかくこんなに寒い朝は、人にほとんど会わないのでまるまる一人占めだ。

明治神宮 

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新宿御苑に行ったり、明治神宮に行ったり、アトリエから近いので、せっせと通っている。

銀座 京橋 2011元旦

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銀座も元旦は人も車も少なくて、静かだなー。
ここはテアトル東京の前。

(うーん、今はル・テアトル銀座なんだった。年がわかる・・・)

素敵なお店 LOUIS SEGNIER

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素敵なお店、LOUIS SEGNIER(ルイセニエ)さん。

彦根の町と、琵琶湖畔にて 

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彦根城を拝んだ後、お堀沿いに走り、街並みを抜けて琵琶湖へ。

日本の城 ここはどこでしょう?続き

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ここはどこでしょう? 答えは・・・彦根城でした。

 

日本の城 ここはどこでしょう?

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ここはどこの城でしょう?

ヒント: 東京から日帰り出張できるところ。

 

浅草 浅草寺から「追分」まで

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この日は、浅草の大きい提灯の前で7時集合であった。

 

小江戸 佐原の風景

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週末、時代小説について書いたつながりで、千葉県佐原の小江戸の街並みを撮った写真を紹介。


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この時は7月、佐原の大祭直前ということで、街は何となく活気づいて。
水郷というだけあって、川の周りの景観が、江戸の掘割のような雰囲気。

 

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 門構えも古色があり、ちらとのぞくお庭も素敵。

 

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 日本の屋根瓦は、とてもきれいなデザインだ。

 

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 縦の細い格子も粋な感じ。瓦の波と暖簾の色が引き立てている。

 

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蔵は重厚感があっていい。
窓も、フランスの窓とはまた一味違う。

こんな風に厚く、何段にも窓枠がなっていることで火の侵入を防ぐそうだ。
黒い壁の蔵は川越が有名だそうで、一度見に行ってみたいと思っていたが、
ここにもあった。
漆喰に黒い炭を練ってから塗りこめ、手で磨いて顔が映るくらいに艶をだす。
手のかかるだけに贅沢な、富の象徴だったそうだ。

 

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ここは、蔵がいくつも並んでいる。
これもまた貰い火が屋根に移るのを防ぐため、軒を浅くしているそうだ。

明治初期に建てられた、酒屋さん(与倉屋)。
たまたま、同じアングルの絵を見つけてびっくり。

誰が見ても、この角度がきれいなんだろう。

佐藤清氏 画

前知識なく行って、きれいだと思うところをざくざくっと写真に撮ったのだが、
やはり絵と同じようなショットがいくつも見つかった。

日本のデザインには優れたものが多い。
長い年月によって、気候風土に合うように、練りに練られた形だ。
洋のまねをして、日本の良いものが消えていくのは寂しいかぎり。

 

夏の夕焼け

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夏の夕焼けは赤味が強い。


空気中の水分が多いからだそうだ。

アトリエの11階の窓から、北西の空を見る。
昼間の熱気そのままに、まだ風が暑い。

 

東の空はモーブ。
葵の花
のあおむらさき。

赤坂方面のビルの明かりがぼんやりとまたたき始める。

 

100720夕焼け2.jpg

 

 

場所が変わって、ここは麹町。

クレーンの先に登って、空を見てみたい。

 

100720夕焼け3.jpg

 

 

 

▶ 昼に咲いて夜には恋しい思いを抱いて

ゴールドコースト Gold Coast /Australia

100219ゴールドコースト2.jpg

オーストラリア、ゴールドコーストの冬。

Hawaii ハワイ ブライダル 

090823hawai1ブライダル.jpg

砂浜で寝転んでいると、ほやほやの二人が次々と記念写真を撮りにやってくる。
白いリムジンに乗って。
お幸せに!!

Hawaii ハワイ アラモアナ ヨットハーバータワー 

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部屋からアラモアナ公園を望む。

Hawaii ヨットハーバー アラモアナ

090823hawai1.jpg

ヨットの背に日が沈む。

黒文字(くろもじ)採り 3

090703くろもじ9.jpg

続き・・

とりあえず黒文字(クロモジ)を一本手にして、下へと道を急ぐ。降りてんだか、ずり落ちてるんだか、よじ登ってきたような急な坂を下るのもつらい。が、道がおかしい・・・。

 

黒文字(くろもじ)採り 2

 

090701くろもじ3.jpg 

昨日からの続き

先行する人たちはみんな、鉈でもって下枝を払ったりしながらどしどし上に行く。

黒文字(くろもじ)採り

 090701くろもじ1.jpg

黒文字(くろもじ)という植物がある。お茶席でお菓子と一緒に出される楊枝に使われる。これは、和菓子を切って食するためのもの。もち菓子などがくっつかないように、濡らして出す。

メルボルン3

090624メルボルン高層マンション.jpg

メルボルン、川を挟んだサウスゲートは、趣(おもむき)のある旧市街とは対照的に、近代的なビルが立ち並ぶ。

2 メルボルンの夏 

090625空港から.jpg

7月、日本の夏は、南半球のオーストラリアの真冬。

ここはどこの街でしょう?

090624メルボルン小路.jpg

さてここはどこでしょう?パリ・サンジェルマンデプレの雰囲気?

パフューマー・大沢さとり

「パルファン サトリ」は、フランス調香師協会会員・SATORI(大沢さとり)の香水ブランドです。コレクションはすべてSATORI自身の処方により調合された特別感のある香り。初めて香水を試される方や、外国の強い香水に疲れた方にもお勧めです。日本の気候と情緒に合う、優しくおだやかな香りをお楽しみください。

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