Parfum Satori

洋書:The Book of Tea 「茶の本」 岡倉天心/黛敏郎 訳

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それまでも「Kakuzo Okakura / 岡倉天心」や「The Book of Tea 茶の本」という洋書の標題にひかれて、対訳や有名な日本語訳のものも何冊か読んだものですが、古風な言葉づかいに疲れてしまい、心に残るものではありませんでした。

それは私の読解力の問題です。


しかし20年ほど前でしょうか。ある日、母から「これは超訳(ちょうやく)でスラスラと読めて面白いわよ」

と「現代語で読む茶の本」(岡倉天心/黛敏郎訳)を手渡されました。


黛敏郎(まゆずみとしろう)は、戦後のクラッシック音楽、現代音楽を代表する作曲家で、テレビ番組の「題名のない音楽界」の司会者としてご存じの方は多いのではないでしょうか。


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この本は私にとってまさにバイブル。流れるような美しい日本語に変換された「茶の本」のひとこと、一行が、映像のように脳裏にしみ込んでいきました。 


たとえば文中で私が最も好きな翻訳のくだりは、


「春の夜明けのおののくような薄墨色の世界の中に、木の間の小鳥たちが神秘的な抑揚でささやきかわすとき、彼らが仲間と花のうわさをしているのだと感じたことはありませんか?」(現代語で読む茶の本/黛敏郎訳129頁:三笠書房)

で始まる、第6章の「花」です。


<原文>『In the trembling grey of a spring dawn, when the birds were whispering in mysterious cadence among the trees, have you not felt that they were talking to their mates about the flowers? Surely with mankind the appreciation of flowers must have been coeval with the poetry of love.』 茶の本 The Book of Tea (p.161). 岡倉天心著 講談社 版. 写真ページ



黛敏郎さんの超訳によって、この本が「詩を集めた一編の物語」のように思え、私の愛読書となりました。

どこを開いても、東洋の思想の、日本のすばらしさを再認識し、感動で胸が震えるような気がいたします。



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何度も何度も読んでページがばらばらになってしまったので、新しいのを買おうと思ったのですが、そのときはすでに絶版。


セロテープで補修しつつ、とても大事にしていたのですが、3年ほど前に、オンデマンド印刷で購入できることを発見しました。

いつも手元に置いてめくる本と、保管用にスペアを2冊注文しました。ときおりは海外で活躍する若いアーティストにもさしあげたりして補充しています。



いまさらですが、明治の巨人「岡倉天心」は29歳で初代「東京美術学校(現:芸大)」校長となり、日本の近代美術教育の礎(いしずえ)を築き、やがてボストン美術館で日本文化を紹介するようになった人です。(1863-1913)


この「茶の本」も英語で書かれ、神秘にまとわれた東洋の思想や伝統を、優雅に欧米に紹介したものです。


このタイトルから、「茶の湯」について書かれた解説書のように思われますが、内容は「茶道」にとどまらず、宗教と哲学、日本建築と空間、自然、華道、ライフスタイルなど、さらには芸術も包括し、西洋に対する東洋思想の神髄を述べています。


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驚くべきは岡倉天心の生涯に日本語の著作が一つもないことです。


五千円札にもなった、新渡戸稲造(にとべいなぞう)の「武士道」も、同時代に英語で著され、海外ではこちらの本の方が有名かもしれませんね。


でも内容的には「茶の本」の方が、日常のくらしに溶け込んだ日本人の気質をよく表わしているような気がします。

天心は言います。茶道からは、「住む家、習慣、着るもの食べるもの、磁器、漆器、絵 ― 文学そのものですら影響を受けていないものはありません(前述:現代語で読む茶の本/10頁)」



明治初期に、これだけの開明的な思考と英語力を持つ人物を輩出したことに、時代のエネルギーを感じずにはいられません。

これら偉人の書が、日本独自の文化を国際社会に知らしめ、尊敬せしめたと思うと、今に見直すのは価値のあることに思われます。

 


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「気に入った本は原書で味わえ」という言葉がありますが、洋書だけではなく英語版の朗読CDを買い、無謀にも音読と暗唱に挑戦しようと思ったこともありました。

10年たっていまだ、挑戦は「3行くらいを始めたばかりの段階」ということを申し添えておきたいと思います。。。





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