Parfum Satori

2018年11月アーカイブ

スイス チューリッヒの旧市街 2 /Zurich Altstadt

20181111Zurich16tram.jpg


昨日の続きです。とりあえずの前知識としては、「"Fraumünster(フラウミュンスター教会)"を目指すように」というヴィクトリアさんの言葉のみ。

彼女にそのスペルを手帳に書いてもらい、翌朝にはホテルのコンシェルジュに行き方を聞いて、「4番線に乗れ」というミッションとともにドイツ語の地図を受け取り、 Helmhaus(ヘルムハウス)という駅に赤丸をつけてもらいました。



20181110Zurich2.jpg

トラムの社内アナウンスも当然ドイツ語なので、駅の名前のスペルと発音が私の耳では一致せず、駅を乗り過ごしてまた戻る、というありさまです。


乗り過ごしたトラムを引き返し、駅を降りたものの、実はフラウミュンスターとは反対側、Grossmünster (グロスミュンスター教会)のほうの街に迷い込んでいたのでした。


20181110Zurich4.jpg


このあたりには変わった趣向の出窓がある家が多いです。出窓は富の象徴だったそうで、こういう景色があるのも、きっと富豪がすむ街だからでしょうね。


20181111Zurich15.jpg

「アルプスの少女ハイジ」が、山から降りて住んだお屋敷街はチューリッヒだったのかな?と思いながら歩いたのですが、あとで調べたら、ハイジが行ったのはドイツのフランクフルトでした。

ハイジの山からはだいぶ遠いです。


20181111Zurich14.jpg


同じ古い街でも、南フランス、カンヌなどの旧市街と似ているようでちょっと硬い。一味違う雰囲気を持つのは、ドイツ語圏だからでしょうか?

モタモタしているうちにかなり時間を費やした、というのはこういうわけでした。

しかし、危険地帯ならともかく治安のよいチューリッヒの街。こんな風にいきあたりばったりで歩くのが好きなんです。

予習をすればもっと効率よく回れるとは思うものの、知らないほうが気に入った場所や空気を感じることができるような気がします!


20181110Zurich9bookstore.jpg

どこへ行っても、本屋さんにはつい足が止まってしまいます。早朝ということもあり、あいにくどこのお店もまだ始まる前のようです。



20181111Zurich12Christmas.jpg

11月も半ばに入れば、ヨーロッパの街はクリスマスムード。垢ぬけた都会のクリスマスではなく、伝統を感じさせる飾りつけを見て、「マッチ売りの少女」を思い出してしまいました。

中世の街は、おとぎ話に満ちていますね!




スイス チューリッヒの旧市街 /Zurich フラウミュンスター 教会

20181110Fraumunster2.jpg

前回からちょっと飛びますが、チューリッヒ(Zurich)の街をご紹介。

スイス芸術大学(ZHdK)での講演の自分の出番が終わり、お友達のヴィクトリアさんの講演まで時間があったので、翌日の午前中に旧市街の方へ行ってきました。



「シャガールのステンドグラスが有名だから行くべき」と前の晩にヴィクトリアさんに勧められて、フラウミュンスター 教会(聖母教会)を目指し、ホテルから4番のトラムに乗って大学行き方面とは逆方向のアルトシュタット(旧市街)に向かいます。ここは、中世の街。


トラムから降りると、川を隔てた対岸に青い尖塔と時計台が見えます。


20181110Zurich11river.jpg

チューリッヒ湖にそそぐリマト川にかかる橋を渡ると、旧市街の石造りの美しい建物が並びます。



20181110Zurich5.jpg

建物の周りをぐるっと回ってみます。パン屋や鍛冶屋や靴屋さんなど、職人さんらしい小さな彫刻がたくさんの柱に施されていました。



20181110Zurich3.jpg


建物中央の門から入って反対側に出ようと、回廊に入りました。すっかり角が取れ、色合いもやわらかな古い柱に味わいがありますね。


20181110Fraumunster4.jpg

中庭の噴水です。この教会は9世紀にはじまり、12世紀にはゴシック様式となり、のちにロマネスクとネオゴシックも取り入れられたとかなんとか。

20181110Fraumunster1.jpg

廊下の幾何学的なアーチと壁画が素敵なんです。

20181110Fraumunster3.jpg


人気(ひとけ)が全然なくて、静寂に包まれています。

しかし読めないドイツ語の地図を片手にモタモタ歩いているうちに時間が足りなくなってしまい、午後の講演を聞きに行くために教会を後にしました。


20181110Zurich8.jpg

道行く人に頼んで写メしてもらいました。

最近は一人旅行でも、アイフォンなのでお願いしやすいですね。でもその分、さとりと与一の出番が少なくなってしまいました!









クウネル1月号【パリ・東京 おしゃれサンプル94】に登場!Ku:nel

20181127kunel.jpg


クウネル1月号【パリ・東京 おしゃれサンプル94】にお取り上げいただきました!
「自分らしいスタイルを知り、いまの年齢だからこその装いを楽しむ大人の女性94名を取材しました」という特集です。


ちょうど、私がフランス滞在中に発売されたのですが、パリのジャーナリストによると、フランスの20代から80代(いや90代までだったかも?)まで男性にアンケートを取ったところ、すべての年代に一番人気のあるのが50代以上の女性だとのこと!

日本の隠れた資源に、世界が注目しています。才能のある若いアーティストだけでなく、年齢を重ねた素敵な女性も、海外へ流出してしまうのでしょうか??





クウネルさんのインスタグラムにも掲載中!!


20181127kunel3.jpg



チューリッヒ芸術大学講演4‐'The Perfumative - Parfum in Art and Design'

20181107Hanedaairport.jpg

羽田空港にて、珍しく自撮り。スイスのカンファレンスで講演するために、飛行機に乗るところです。

このお話が来たのは今年の2月。ドイツのAnne Kramer(アンヌ・クレマー)博士から、1通のメールを頂いたところから始まります。


いわく、「11月8日から11月10日にチューリッヒ芸術大学で行われる、"香水のアートとデザイン"という国際会議に運営側にはいっているので、そこでスピーチをしませんか?」というお招きでした。

さらに「テーマは自由に選んでもよいし、"ヨーロッパに対するアジアの香りの受け止め方の違い"などについてはいかがですか」とのこと。

「うわ、なんかよくわからないけど凄そう、私にできるかしら・・・??」

どんな場所でどのくらいの規模で誰がくるのかもわからないけど、とても魅力的な話に思えました。

今までこの仕事をして20年近く、こういうケースに何十回も遭遇(そうぐう)し、「やったら絶対に大変なのは間違いない」のはイヤというほど経験しています。難易度に差はあれど、パルコ毎日カルチャーの「香水とピアノの調べ」のイベントも、当時の私にはハードルが高かった。。。

しかしこのチャンス、「怖い」と「やりたい」の天秤が左右に振れながら、「あー、最終的には絶対やるっていうんだろうな」という予感。「まだ2月だから11月ってずっと先だしね、それまでに何とかなるかな~」



アンヌさんは政治学の博士号を所持しており、ベルリン工科大学(TU Berlin)で働いています。彼女は香水についての講義やワークショップを行い、香りを学問として追求してきました。

彼女とは、今から3年前の2015年10月に、サンプル請求のメールを頂いたことが最初のご縁となりました。


いわく、
******
パルファンサトリのことを(海外の)ブログ記事で知り、大変興味を持っている。スイスで行われる「ニーチェ・カンファレンス」で、私(アンヌさん)は哲学的な観点から香りを語ることになった。そのために、世界の香水を10点提示するつもりである。ついては、パルファンサトリの香りを送ってもらえないか、
******
ということ。

遠い異国の出来事で、どのような内容かよくわからないまま、さとりと織部のムエットを10本ずつ送りました。このブログを書くために三年ぶりにそのメールを発掘して読み直し、ようやく腑に落ちた感があります。



アンヌさんとはそれ以降、季節の挨拶メールをする程度のお付き合いで、お会いしたことはなかったのですが、今回のカンファレンスに呼んでくださったことで、長く私の香水に関心を持ち続けてくださったということが、何よりうれしく思いました。



20180518新作ミズナラ展示会.jpg


しかし、「まだ先だから大丈夫~♪」とか思っているうちに、毎日、目の前の作業に没頭しているだけであっという間に歳月は過ぎていく、、、



2018年の3月から5月までは、新作「ミズナラ」の製造と初のローンチパーティなどがあり(これもかなり精神的にヘビーなイベントだったのですが)、4月は本当につらくて、『神様ゴメンナサイもう二度と分不相応なことに挑戦しません』と(恒例のようにしているのですが)懺悔(ざんげ)する日々を過ごしていました。


心が折れたためスイスの講演も一度は断念し、メールでお断りしたものの、アンヌさんから丁寧な、翻意を促すメールを頂き、またその気になるどうしようもない私は形状記憶合金なのでしょうか?

結局引き受けてしまいました。



20170730夏の庭.jpg


新作を無事世の中に送り出したあとも、日々の雑事が押し寄せてきます。

時折、講演のことがチラチラとよぎり、脳みそに汗がタラタラと流れては脇に押しやって、気が付かないふりをしています・・・いつか絶対に直面しなければならないことも、わかっているのですが、、、

本格的にこれは大変だ!と思ったのは7月末だったかな。。11月と行っても、初旬なので実質あと3か月。


自分に話せるのは、生い立ちの中にある日本の伝統文化と香りのことだけ、とおおよその内容は決まっているのですが、もやもやしてちっとも捗(はかどり)ません。

会議の具体的なことも見えてこなくて、心配性なのでよけいに不安が募るうえ、後になって、「カンファレンスはビデオに撮ってネットで配信する」と言うではありませんか!旅の恥はかき捨て、と思っていたのが、世界中に大恥をさらしてしまう!!!と一気に血が下がります。



一応、8月に原稿を書き上げて、9月に翻訳作業、10月はスピーチのトレーニング、とざっくりすぎるスケジュールを立てたものの、8月が終わり、9月も半分を過ぎて、文章のかけらがとりとめなく集まるばかり、カオスの状態が続きました。



ついに崖っぷちに立たされ、『カッコよくやりたい』というような妄想は捨て、いまの自分のせいいっぱいを話そう、と踏ん切りがつきます。

ようやく9月後半からまとめ作業に入り、書きおろしたばかりの拙(つたな)い原稿を、恥も外聞もなく周りの人を捕まえては読み聞かせ、感想を聞く。英語で30分のスピーチなのに、日本語でも1時間もかかってしまいました。

あれもこれも、言いたいことをカット、カットで書き直す、また意見を聞く。校正する。もう、机の前に座らされ、何度も聞かされたスタッフはうんざりしたことでしょう。でも愛のある優秀な関係者に囲まれて、恵まれているとありがたく思いました。



ついに10月10日に最終稿が書きあがり、翻訳です!つづきはまた・・・。





スイスのクールなブランド、FREITAG(フライターグ)

20181110FREITAG5.jpg






スイスのクールなブランド、FREITAG(フライターグ)の本店に行ってきました!

トラックの古い幌を使って作った、おしゃれなメッセンジャーバッグで世界的に有名なブランドです。リサイクルから一歩進んだ「アップサイクル」だとか。バッグの持ち手は古いシートベルトを使っています。


20181110FREITAG4.jpg

チューリッヒ芸術大学のある駅、Bahnhof Hardbrücke からホテル( Hotel Züri by Fassbind)に歩いていく途中をちょっと右に折れると、奇抜なビルが目を引きます!

一瞬あっけにとられ、すぐそのカッコ良さにググっと惹かれてしまいました




日本にはすでに銀座、渋谷をはじめ50店舗以上のお店があるそうですが、スイス本店の建物は、バッグ等のコンセプトと同様に、廃品のコンテナを積み上げた9階建てで高さ26m!


地震国日本からみると、危ないのでは?と思ってしまいますが、工業国家でもあるスイス、当然建築基準はクリアしているそうです。


20181110FREITAG2.jpg


ヨーロッパのトラックの幌はとても丈夫に作られているのですが、4-5年で交換しなくてはならないそうで、そうして廃品になったカラフルな幌のきれいな部分を選んで切り取り、丈夫なバッグに仕立てているそう。


そのため、一点ずつ色、柄が異なるのも魅力のひとつです。お店の配置も一貫したコンセプトでとてもクール。



20181110FREITAG3.jpg


正直、初め見たときは、このリサイクルバッグが「エッ!」というような値段だったのですが、色々と説明を聞いているうちに「決して高くない」と納得。


1993年に創業以来、エコフレンドリーなブランド哲学を貫き、環境負荷を考えている製造過程や、「こういうものを持つことがおしゃれなんだ」というお客様がいるということを含めて、こういうブランドが存在できるというのは、成熟した大人の国の証だと思います。


昔の日本も、そういう考えは当たり前だったと思うのですが、大量消費に飲み込まれ、効率主義、コストカット重視になっているのでは、と少し寂しい気がします。


デザインやアイデア、哲学など、目に見えないものを正当に評価する。講演で述べたような、そんな時代がまた日本にも来てほしいものですね!


20181111fraitag.jpg

昼間外からみたフライターグコンテナの建物。


チューリッヒ芸術大学講演3'The Perfumative - Parfum in Art and Design'

20181108ZurichExpo1.jpg

昨日の続きです。スイス・チューリッヒ芸術大学で開かれた'The Perfumative - Parfum in Art and Design' というカンファレンス(学会)に招聘され、そこで講演を致しました。

また、隣のエキジビションルームでも香水を展示しました。


20181108ZurichExpo4.jpg


芸術大学の学生さん、香水業界の方、ジャーナリストなどが150人ほどがエントリーし、3日間の会議に参加されました。




20181108ZurichExpo2.jpg


私は、香水ガイド(The Perfume Guide 2018)で4つ星を頂いた、さとり、さくら、はなひらく、シルクイリス、織部の5種類の香水を展示しました。


20181108ZurichExpo5.jpg

どのような会場か、どんなふうに展示できるのかほとんど情報のないまま、小さなスーツケースに展示品を持てるだけもって到着。一人で短時間で飾らなくてはならず、ハラハラしましたが、ちょうどぴったりの広さで安心しました。


20181108ZurichExpo7.jpg

さとりと与一も参加。

与一「さとりさま~、ついにやりとげやしたね!」
さとり「みな様のおかげでここまでたどり着きました。(´;ω;`)ウゥゥ」


20181108ZurichExpo10.jpg

織部はほとんどの人がとても好き、ハナヒラクは、嗅いだ瞬間に「うわー!素敵!!」と魅了される人と、反対の人の差がとてもありました。


さくらもイリスオムも、もちろんサトリもとても好評。

20181108ZurichExpo9.jpg


お隣のブースはニッチで人気急上昇のBogue-profumoのブース。セラミックのマスクに香水を付香して香りをかぐのが面白いです。

Antonio Gardoniさんは、建築家でライターでパフューマー。講演の内容も建築物とアートの興味深い内容でした。

20181108ZurichExpo14.jpg

このディスプレイは面白い、色々な素材にイメージの香りを付香してあり、ろうとの上から香りをかぎます。


20181108ZurichExpo11.jpg

ヴィクトリアさんは、ベルギーのジャーナリスト。昨年引っ越したばかりの六本木のアトリエに尋ねてきて以来のお友達です。香りのブログを発信しています。

みんなでお食事したときは、いろんな国のスピーカーとドイツ語イタリア語で会話したので、全員びっくり(@_@)!
日本語も話すだけでなく読み書きも上手です。全部で11か国語ができるそうです。

3日目の講演です。私も2日目に終えてリラックスモードで聞くことができました。


Victoria Frolova  ➤ oisdejasmin.com



20181108ZurichExpo13.jpg

アンドレアさんはパフューマーのお友達。彼もPERFUME SUCKというニッチな香水ブランドを持っています。

久しぶりに会いました。6年ほど前、はじめて紹介されたとき名前が言いにくかったので、ずっとアンディと呼んでいます。その呼び方にはちょっと不満そうな顔をしていましたが「まあいいや」という感じでOKしてくれて、優しくて面白い方です。

こういったエキシビションや会議では、15年前はほとんど誰も知らなかったのが、少しずつ知人が増えてくるのが嬉しいです。

Andreas Wilhelm: Parfumeur und Punk



20181108ZurichExpo6.jpg

講演会場の隣には、メイン会場で収容しきれない人がモニターで内容を見れるような第二会場もあります。


20181108ZurichExpo8.jpg

左は今回この会議に呼んでくださったアンヌ・クレイマー博士。右はアニンドリアのターニャさんもこの会議にオランダから駆けつけてくれました。二人ともとても背が高いので、私はめいっぱい背伸びをしてこのくらいです。



日本文化の香りと感覚(Scent and Sense in Japanese Culture)@チューリッヒ芸術大学講演2

20181109conference2.jpg


9th/Nov/2018  スイス・チューリッヒ芸術大学<perfumative>にて講演しました。日本語原文です。


結論

香水は、目に見えず、形がないからこそポストモダンともいえる芸術になりえると思います。日本の美意識とは、まさに「形のない美」を楽しむということ。今日は、日本の感覚、日本の美意識を通じて、皆様に香りの新しい価値観を発見していただければと考えています。


要旨

「移ろいやすく、永続的でないものは、芸術といえない」。その西洋の考え方は、日本人にとっては逆になじみにくいのです。そもそも、日本文化では、儚(はかな)いものに価値を見出してきました。それゆえ、香りや香水の受け止め方にも西洋とは違いがみられます。日本では軽くほのかで、風通しのよい香り(香調)が好まれます。"香水砂漠"とも呼ばれる日本の香水市場。一方で、香りつき柔軟剤は海外と同じように拡大し定着しています。もちろんこれらの好みの違いは、気候や食習慣の違いによるところもあります。しかしもっとも大きな要因は、日本文化に根付く美意識だと私は考えます。そこで、西洋と日本人の香り、香水の受け止め方の違いについて以下の順に話します。

1.芸術とは

2.日本の伝統文化における芸術性

3.日本は香水砂漠?

20181109conference2.jpg

1.芸術とは


今回の講演のテーマを頂いたことが、香りと芸術について改めて考える機会になりました。まず「芸術とはなんであろうか」という問いをしたいと思います。


西洋では「art is expected to have eternal qualities(会議のテーマから引用)」と言われるそうです。

永続性が芸術の条件であるならば、それはどれくらい続けばいいのでしょうか。宇宙の一生から見て、100年、1000年は所詮(しょせん)一瞬にすぎず、形あるものはすべて滅びていきます。

ならば「形ある物」は永遠ではありません。


clock.jpg

芸術作品は、「送り手である作者」と「受け手である鑑賞者」を結ぶ、「媒体」であると私は考えます。作者は周囲に存在する美を発見し、その感動を表現し、それをまた鑑賞する側が再発見します。

芸術は絵画や彫刻の中にあるのではなく、鑑賞する人の内面にあるのです。観る人に美意識がなければ、優れた芸術作品もガラクタです。


目の前の、形の向こうに見えるものを敏感に感じ、永く愛おしむ。それが日本人の中にある芸術の価値観なのです。もともと形のない、目には見えない「香り」に芸術を感じることはむしろたやすいのではないでしょうか?



20160613annindriya3-2.jpg

また、「時」は常に移ろっていくものです。同じ場所で同じ人と会っても、それは以前とは同じではないという考え方が、日本にはあります。それを「一期一会(ichi-go-ichi-e/one opportunity, one encounter」と言います。

この言葉はどの出会いも一生に一度だけという意味です。いつもその一瞬を大切にする生き方自体が「永遠」ではないかと、私は感じています。



2.日本の伝統文化における芸術性

「道」は、日本の美意識を代表する伝統文化です。芸術に永続性を求めるなら、華道や茶道、香道といった「道(どう)」という一つのスタイルも確実に芸術です。

ここでいくつかの「道」について、私の生い立ちに沿って紹介します。ここで特にお伝えしたいのは、「調和」と「永続性」です。


2-1.華道 

kado_japanese_flowe_arrangement.jpg

Text book of Kado / 1843

花ほど私たちの心を和ませ、いやしてくれるものはありません。

私は幼い頃から植物が好きで、学校からの帰り道、ポケット植物図鑑を片手に道草をするような子供でした。母が自宅で華道教室をしていましたので、真似てお花を生け始めました。


flower arrangement west.jpg

日本の華道と、西洋のフラワーアレンジメントは違いがたくさんあります。簡単に説明すると、フラワーアレンジメントは「足し算の美学」です。それは花をたくさん使って空間を埋めていくものです。一方、いけばなは「引き算の美学」です。最小限の草木と花で、空間を自然の一部のように表現します。枝ぶりを考え、葉を添えて、自然にあるような風情で生けます。


japanese kado.jpg

華道を学ぶにつれ、花の持つ美しさを活かすためには、「全体の中の調和」を見ることが必要だということを知りました。例えば床の間(toko-ma, Alcove)に置かれる花は、部屋の調度にあったものでなくてはなりません。

私は調香にも同じ配慮が必要だと思います。花をメインテーマとしても、それを引き立てるトップノートや支えるラストノートたちが過不足なく組み合わされ、花や風景と情緒をそっくり表現します。

さらに、纏(まと)う人に調和し、さらに場所に調和をもたらし、その人の人生の1シーンを彩るような香水であること。それが重要だと考えています。華道の精神は私の香水の中にも反映されています。


150403桜吹雪2.jpg

花の寿命は短いのですが、だからこそ花は永遠の命を得ていると、私は考えます。朝に咲いた花が夕方にはしぼむ。その儚さを、哀しみをもって慈しむのが日本の情緒です。永続的ではない、儚さに美をみつけ、それを感じる心を「よきこと」としました。この、何か愛しいものを「惜しむ」という心の在りようが、とても日本的だと最近では感じています。

一瞬の香りに包まれ、そのときに浮かぶ情景こそが、「永遠」なのです。


chashitsu_tea_house.jpg

2-2.茶道

私は12歳で茶道を習い始めました。子供心に、お茶とお菓子も楽しみでしたが、清らかな明るさを持つ茶室に、お湯が沸く音が流れ、香(インセンス)が漂ってくる・・・。その空間にいることをとても心地よく感じたものです。

茶室における人、花、光、釜の音、空間。時間さえも、「すべてが調和」して初めて芸術となります。

20181016ryakubondate.jpg

例えば「茶道」が、乾いたのどを潤すだけであれば、それは芸術と評価されなかったでしょう。一服のお茶を点てて振る舞うことは、心の渇きを癒します。「懐石(かいせき)」と呼ばれる和食のコースはただ空腹を満たすだけではありません。もてなしにより、心をも温めるものなのです。


香水もただの消耗品であってはなりません。香水をまとうには、その時間と空間の中に美を感じ取る心が必要です。香りだけが強く主張するのではなく、「周囲との調和も考えて、全体の中で自分が美しいこと」こと。それが日本の美意識なのです。






2-3.日本の香りの歴史

西洋では長く「the abominable garment of the soul」(肉体は魂の忌まわしい衣服)、そして香水は肉体と切り離せないものと言われていたそうですが、逆に日本人にとっての「香」は、空間と心身の穢れを清めるものでした。


vinus.jpg


香水の起源はヨーロッパにありますが、それは「液体化された肌につける香り」の歴史です。明治時代に日本が開国し、海外から香水が持ちこまれてからまだ150年あまり。香水の歴史は、ヨーロッパに及びません。


一方、日本には「香」という、「固形の香料を使った空間芳香」の歴史があります。

6世紀の日本への仏教伝来と共に始まった「香」の歴史は、やがて宮廷文化によって、洗練された遊びとなりました。

8世紀には「香染ko-zome」と呼ばれる、丁子(clove)や桂皮(cinnamon)で染めた絹織物もありました。それは美しい色のみならず、繊維から芳香を発するという、貴族のための贅沢な衣装になりました。体温で暖められた着物からは、動きに合わせて香りが漂ったそうです。


Genji.jpg

11世紀には日本文学の古典「源氏物語」が書かれました。ここでは着物に香を焚き込める「薫衣香(くのえこう)」というシーンが象徴的に描かれています。これは香りによって、物語の背景や登場人物の心情まで語っています。

15世紀の武家の時代には、精神の高みに至る「香道」が成立していきました。さまざまな「道」とは精神練磨のために行うものです。それは結果的に教養と芸術性を高める日本独特の文化です。

さらに18世紀頃から、商人が力を持ったことから、香り文化が庶民に普及していきました。


Buddhist altar.jpg


また現在でも、多くの日本の家には先祖を祀る仏壇があり、朝と晩に「線香」が焚かれています。私たちは子供のころから、部屋に流れるこの香りになじんできました。

直接アルコリックを肌につける「香水」とは異なりますが、このように別の形で香りの歴史が日本にも育っていたのです。


香道では、香りは「嗅ぐ」ではなく「聞く」と表現します。私たちは鼻で芳香分子を物理的にとらえるだけではなく、香りが語る物語を心で聞き、そして感じるのです。

香りの声、それは大声ではありません。そこに芳香成分があるから、よい香りなのではなく、美しいと感じる感性があるからこそ香るのです。

香木の歴史は1400年、香の歴史は1000年、香道の歴史は600年。日本においては宗教や文学、教養とともに「香」がありました。そして、物理的にはではなく、精神的に香りを受け止めてきたのです。



japanese cuisine.jpg

2-4.和食と香り

日本の香り文化は「香木」や「香」だけではありません。自然では四季折々に訪れる香りを、食では海の物や山の物と、季節感溢れる旬の香りを楽しみます。

400年前に西洋に紹介された和食は、長くその真髄が評価されませんでした。しかしようやく、2013年にユネスコ無形文化遺産になりました。


認められた理由は、ただ「食材」においてではなく、その「和食をめぐる食文化」が評価されたからです。食の中に芸術があると認められたのです。


南北に長く、四季の移り変わりがはっきりとした日本。自然の美しさや季節の移ろいを楽しみつつ、年中行事を大切にして、食材や器にも細やかな心配りをしています。一見すると和食はシンプルですが、実は大変手間をかけて作られた料理です。


その繊細さや美意識が、食の世界でも海外に理解されてきたように、日本の香りも海外に理解され、広がっていくと私は思います。



3-1.香水砂漠

アンケートから見えること

日本で行った香水の調査ではこのようになっています。(マーシュ調べ)






・毎日香水をつけている人が8.4パーセント、毎日ではないがよくつける人が8.4%

・女性の4割、男性の6割が、香水をまったくつけないと言っています。


そのため、海外から日本は「香水砂漠」と揶揄(やゆ)されることもあります。


一方、柔軟剤やエアケア商品の需要は海外同様、日本でも拡大しています。

日本には、「香水は使わないが香りは好き。しかしそれは、アロマで使うエッセンシャルオイルとも違う」という女性が多くいます。彼女たちはスーパーマーケットで芳香剤や柔軟剤の香りを試すのに1時間を費やすとか、持ち歩いて時々嗅いでみたいとも言います。こういうユーザーたちは、新しい香水に次々と乗り替えるユーザーより多いようです。

これだけ香りを受け入れる土壌があるにもかかわらず、なぜ日本では「西洋の香水文化」が育ちにくいのでしょうか?


それは、香りをつける目的が、西洋と日本では異なるということです。つまり、今までの香水は、消費者へのアプローチの手法が違っているのです。

ひとつに、日本では、異性を意識して香水をつける人は少ないのです。

私たちが海外の香水の広告から受け取るのは、セクシーやファッションというメッセージ。それらをアピールする販売方法は、もともといる香水好きにはマッチするかもしれません。しかし日本人の多くが今も香りに求めるものは、異性を魅了しようすることよりも、自分自身が心地よくなりたいという満足感です。それはジェンダーレスな気がします。


ふたつ目に、日本人は香水にも周囲との調和を求めています。

欧米の香水は、時として強すぎると感じられ、敬遠されがちです。それは華道や茶道の項でも話した、「全体の配慮」や「調和」を乱すと考えるからです。

癒しや和み。それは季節を楽しむ心からきており、楽しむ心そのものに価値があるわけです。日本人は香りに、情緒を求めるのです。



rain.jpg

3つ目は気候についてです。

日本で販売されているほとんどの香水が、欧米で作られたもの。同じ香水を肌につけるのであっても、日本と欧米とでは香り方が全然違うことがあります。これには、特に湿度が大きく影響していると考えます。


日本では空気の壁がしっとりと身体を包んで、匂いを逃さないような感覚があります。ヨーロッパの香水を日本でつければ、ずっと強く、濃く感じるのは当然なのです。それらは、ヨーロッパのドライな気候で香り立つように作られているからです。 


日本人は香りで自己主張をするというよりも、調和を求めています。ところが「欧米向けの処方」の香水は、日本でより強く香ってしまう。「香水は苦手」という日本人が多いのは、それが要因です。


日本には、すでに芸術としての香水を受け止める土壌はあります。ただ、センシュアルでファッショナブルをアピールする「西洋の香水文化」は育ちにくいかもしれません。「日本の香水文化」を育むには、日本に合った香水と、つけ方が必要なのです。私が日本スタイルの香水を作っているは、そういうわけなのです。



「フランスからの質問」

この講演に先立って、日本でフランスのテレビ局の取材を受けました。そこでの質問は、ヨーロッパの皆さんの関心があるのではと思います。


Q.日本人は匂いにとても敏感で、強すぎる香水は好まれないと伺っています。日本でもっとも好まれる、男性と女性の香水は何でしょうか? 


A. 日本人にとって好きな香りは、特定の「香水や香料」というより、全体の香調として「ドライ感、抜け感、風通しのよいもの」が好まれています。


日本では、シンプルでトーンの軽い、季節を感じさせる香りも好まれています。シトラス・ノートは、特に好まれる香りのひとつです。日本は柑橘類の種類が豊富で、和食においてはユズ、カボス、スダチなどを微妙に使い分け、その香りの違いを細かく判断することができます。

また、幸せなときを思い出させるような香りもいいですね。マドレーヌの香りによって、幼い頃の記憶が突然呼び起こされたプルースト効果はあまりにも有名です。日本でも、例えば秋のキンモクセイの香りをかぐと、安心感に包まれた子供時代や、学生時代に花の下で告白した、恋愛のせつなさがよみがえるという人も多いです。


kodo incense pot.jpg

そして香道で焚く沈香の香りは、暖かみのある、乾いた、スパイシーなウッディノートで、心を鎮める清浄な香りです。それは西洋でイメージされるOUDのアニマリックでセンシュアルな香りとは異なります。

香道では、まず火のついた小さな炭を香炉の灰に埋めます。その上に雲母(MIKA)の板を置いて、沈香の切片を乗せます。沈香は燃えることはありません。香木は間接的に温められることで、香気成分がマイルドに空中に放たれ、香炉の周りをふわふわと漂うのです。

これは、エタノールの力で四方へ拡散する香水とは全く異なる香り方です。まるで「障子ごしの柔らかい光のように、間接的ともいえる匂い立ち」を、自分の香水にも表現してみたいと私は思いました。



globe.jpg

3-4.日本スタイルの調香、そして世界


新しい香りというのは、未知の香料に求めるだけではなく、ありふれた香料を組み合わせることで作られます。日本に香りの資源があるとすれば、香料そのものにあるのではなく、文化を読み解くことにあります。物質の背後にある歴史や人々の生活、物語を読み取っていただきたいのです。

これからの香水はグローバルテイストではなく、ローカルであるべきです。標準化され、平均化された香りではなく、その国、その地域らしさ、作り手の顔がみえるような香りであるべきではないでしょうか。

Diversity & Inclusionの観点からみても、ニッチと言われた香水は、世界の価値観をより豊かにするでしょう。 そして、いろいろな人たちがさらに香りを楽しめるようになるに違いありません。


4.結論

西洋のアート(美術)には永続性が求められ、それは具象化されたものと聞いています。しかし、真の永続性は形のないものであり、そこにアート(芸術)があると日本人は考えます。

それゆえ[Fragrance is more than fashion accessory and worth a theoretical reflection. It becomes a paradigmatic form of the time.] (会議のテーマから引用/香りは単なるファッションアクセサリーではなく、理論的な考察に値するアート。それは時間の典型的な形になる)という西洋の新しい波に、私たちは共感します。


香りは人の内面に深く入り込むという点で、ほかの芸術よりも無限の可能性があると思います。もはや香水はたんなる消耗品ではなく、出会いの瞬間に過去の自分を超越する芸術なのです。


20181109conference3.jpg

※本稿は講演のための原文です。英訳においては、割愛、意訳をして30分に整えました。

Scent and Sense in Japanese Culture/@ZHdK(日本文化の香りと感覚)チューリッヒ芸術大学講演1

20181109conference2.jpg

9th/Nov/2018  スイス・チューリッヒ芸術大学<perfumative>にて講演しました。 後日、邦訳をアップします!


CONCLUSION

Translucent and without shape or form, I believe that in a post-modern sense, perfume can be regarded as Art. To enjoy "beauty with no form" is typical of Japanese aesthetic sensibilities. Today I would like to introduce everyone to a new way of looking at perfume through the eyes of Japanese culture.

 

Abstract

It has been said - that which is fleeting and ephemeral cannot be regarded as Art. However, this actually flies in the face of Japanese sensibilities because in our culture, "fragility" is highly valued. We can observe a contrast in how fragrances and perfumes are perceived in Japan and Europe. In my country, the preference is for light, delicate scents - fragrances that breathe, you could say. The Japanese market is known for being a "perfume wilderness." On the other hand, fabric conditioners are becoming as entrenched in Japanese society as they are abroad. Although differences in scent can be put down to differences in climate and dietary habits, it is also greatly due to our sense of aesthetics rooted in our culture. Hence, I will try to present a study regarding the differences in perceptions towards fragrance based on the following aspects:

 

1.  What is Art?

2.  Artistry in traditional Japanese Culture

3.  Is Japan a perfume wilderness?


20181109conference2.jpg

1.What is Art?

When I received the theme for this speech, it gave me the opportunity to reconsider the relationship between scent and Art. First of all, I would like pose a question - what is Art?

It is said that in the West, "art is expected to have eternal qualities."

If permanence is a condition, then how long must a work of Art exist to be regarded as permanent? 

From the point of view of the Cosmos, one hundred years, one thousand years are just brief moments in time where everything with "form and shape" is destined to disappear.

 If that is the case, then to have form does not automatically mean permanence.

I believe that a work of Art is a medium that links "the artist or creator" to "the viewer." The artist discovers the beauty around them and expresses their awe, which the viewer picks up on.

Art does not lie within a picture or a sculpture. Art lies within the "viewer" themself. If the viewer has no sense of beauty, even the most sophisticated piece of Art is tantamount to garbage.


The Japanese sensibility towards Art is to appreciate what lies beyond mere shape and form and cherish it for posterity. That is why it is easy for the Japanese to consider scent - which is formless and invisible - as Art. 

20160613annindriya3-2.jpg

 "Time" is in a constant state of flux. Even though we may meet the same person in the very same place, each encounter is special. We call this一期一会(ichi-go-ichi-e/one opportunity, one encounter.

Whatever or whomever we encounter, it is a once in a lifetime experience. I believe that "eternity" manifests when you are living to your utmost in every single moment.  



2.Art in traditional Japanese culture

 "Dou" or "way" is one of the most typical Japanese aesthetics in traditional culture. If permanence is sought for in Art, then flower arrangement "Kadoh," the tea ceremony "Sadoh" and the way of incense "Koudoh" can certainly be regarded as Art.

I would like to take time here to introduce Kadoh and Sadoh and talk a little about my background with a particular focus on "harmony" and "permanence."

 

kado_japanese_flowe_arrangement.jpg



2-1Kadoh - Flower Arranging

Nothing is as soothing or reassuring as flowers.

When I was a little girl, I would carry a pocket-sized book of flora with me on my way to and from school. My mother ran her own flower arranging school at home and I used to mimic her.

 flower arrangement west.jpg

There are many differences between Japanese Kadoh and Western flower arranging. Simply put, Western flower-arrangement involves combining a whole host of flowers to fill a space. 

Japanese Ikebana, however, is the opposite. Flowers and plants are used to a minimum to express one part of a space. In Ikebana, we consider tree shapes and add leaves to create an arrangement that reflects the elegance of Nature.

 

japanese kado.jpg

The more you learn about the ins and outs of Kadoh, you realize that in order to optimize the beauty of the flowers you are using, you have to remember the importance of harmony within the whole.

I adopt the same policy when I prepare fragrances. Even though a floral fragrance may be at the forefront, I have to combine proper quantities of a top note that will draw out the main scent and a last note that will support it in order faithfully express the mood of the flowers and natural scenery.

Furthermore, I must remember that perfume serves to color a single scene of a person's life, so the fragrance must co-exist in harmony with person who wears it and their environment.


150403桜吹雪2.jpg 


The life of a flower is extremely short - and that is why it has gained the status of immortality. It blooms in the morning and wilts in the evening. This fragility carries with it a sadness, which the Japanese sensibility regards with affection. 

It favors the practice of finding the beauty within the transient, within the impermanent. To regret the passing of something that is dear to you is an essential part of the Japanese character.  

 

When one is enveloped in a momentary fragrance, the emotions you experience are themselves "immortal."

 

chashitsu_tea_house.jpg

2-2The Tea Ceremony or "Sadoh"


I started to learn how to conduct the Tea Ceremony when I was 12. Although I looked forward to tasting the tea and the Japanese sweets, when I recall the lessons, the scent of incense and the sound of boiling water in the serene, bright tearoom come flooding back.

 

People, flowers, light, the iron pot, the room itself combine in harmony to create a sense of Art.


20181016ryakubondate.jpg 

For example, if the tea ceremony existed merely to quench one's thirst, it would not be regarded as Art. Instead, it is the ceremonial practice of preparing the tea that quenches the thirst within your heart. In the same way, for example, Kaiseki course cuisine does not exist merely to satisfy hunger. One's heart is warmed by the immaculate service provided.

 

Therefore, perfume is not just another consumer item. To wear a fragrance means to sense the beauty within a particular time and space. Rather than wearing an assertive fragrance, one should think more of co-existing in harmony with one's environment and conducting oneself in an elegant manner. This is a major aesthetic of the Japanese culture.

 

 


2-3 The History of Fragrance in Japan

 

  In the West, perfume has been 

"inextricably linked to the body, which was long considered the abominable garment of the soul." ( Pope Gregory Great)

 In Japan, it is used to cleanse the impurity of one's body.

vinus.jpg


Perfume originated in Europe where there is a long history of applying a liquid fragrance to one's skin. After a long period of self-imposed isolation, Japan opened itself once again to the world during the Meiji Era. Consequently, the history of Western perfume in Japan is still only 150 years old and still lags behind Europe in this respect.


Having said which, Japan has a long history of room fragrance using solidified incense.

The history of incense in Japan can be traced back to the introduction of Buddhism in the sixth century. Eventually it was incorporated into court culture as a sophisticated pastime.

In the 8th century, dyes called "ko-zome" using aromatic ingredients such as cloves or cinnamon were used to dye silk. Not only were the silks beautiful to the eye, the fibers emanated a fragrance and luxurious clothes for the nobility were made from them. The Kimonos, warmed by body heat, would give off a fragrance when the wearer moved.

Genji.jpg

The Japanese literary classic "The Tale of Genji" was written in the 11th century. One memorable section of the book describes a scene where incense was burnt to infuse the cloth of the Kimono with scent. This scent is used to explain the background and the feelings of the characters in the story.

In the Samurai culture of the 15th century, the incense ceremony was established to heighten spirituality. During this time, various disciplines were carried out to encourage mental training. As a result, this laid the foundations for a unique Japanese culture that seeks to enhance education and artistry.


Buddhist altar.jpg

Even today, most Japanese houses have a Buddhist altar to honor their ancestors and will burn incense every morning and every evening. Japanese people are well acquainted with the aroma of incense from their childhood days.

Although this affinity for scent is different from applying an alcohol-based liquid directly to the skin, a culture centered around fragrance has evolved in Japan, too.  

Incense not only expresses the sense of smell but the sense of hearing as well. We physically sense the aromatic molecules through our noses and at the same time, our heart hears the story the fragrance is telling us.

Scent does not speak in a loud voice. As it is made up of aromatic elements, we sense "beauty" rather than defining it as a "good" fragrance.

Aromatic wood possesses a history of 1400 years, incense 1000 years and the incense ceremony 600 years. Scent has developed hand in hand with religion, literature and education in Japan. Japanese aesthetics have honored the spirituality rather than the physicality of fragrance.




japanese cuisine.jpg

2-4. Japanese food and scent

The Japanese fragrance culture is not just centered around aromatic trees or incense. From season to season, the scents that Nature brings us are the bounty from the sea and the mountains.

Although Japanese cuisine was first introduced to Europe over four hundred years ago, it took a while for its true nature to be appreciated. Japanese cuisine found recognition at last in 2013 and was designated as a UNESCO Intangible Cultural Heritage.

 

However, it is not just the ingredients of Japanese food that have found approval -the food culture that surrounds it that has been appreciated as an Art.

 20181109 japan.jpg

Stretching from South to North, the four seasons are very distinct in Japan. We enjoy the beauty of the constantly changing seasons, respect our many annual events and pay much attention to the ingredients and tableware that we use. At face value, although Japanese cuisine appears to be simple, its preparation is, in fact, deceptively intricate.

Just as this penchant for delicacy in flavor has been understood throughout the world, I believe that in the future a deeper understanding of Japanese scent will grow, too.


 

 2-5. A question from France

 Before I arrived here in Switzerland, I was interviewed by a French TV network. I thought everyone might be interested in this particular question, so I will answer it here.

 

Q.And the question was: "I have heard that Japanese people are very sensitive when it comes to odor and that strong perfumes are unpopular. What then are the most popular fragrances for men and women?"


My Answer,

 Well, rather than a particular fragrance or ingredient, Japanese people tend to prefer general scents that are dry or airy.

 Some of the most popular scents are citrus-based notes, which are light and simple and express a love of the seasons. In fact Japan is home to an abundance of citrus fruits including Yuzu, Kabosu, and Sudachi, which are all used in Japanese cuisine. Each fruit has its own distinct fragrance.

 

kodo incense pot.jpg


 


The woody note of the agarwood used in the incense ceremony is spicy, warm and dry and acts as a cleanser of the heart.

During the Incense Ceremony, a small piece of lit charcoal is placed in the ash of the incense burner. It is covered with a Mica plate and a piece of agarwood is put on top of it. However, the agarwood is not burnt. By indirectly warming aromatic wood, its perfume is released into the air in a milder fashion and gently surrounds the incense burner.

This is an alternative method of diffusing scent different to that of using ethanol. Indeed I have tried to create scents that express the indirect soft light from Shoji, paper sliding doors.

110519楽羽亭和菓子.jpg


 


3-1. The Perfume Wilderness

What we can glean from this Questionnaire

These are the results of a research regarding perfume (Image Source: Marsh)


Only 8.4% of those questioned wore perfume everyday. People who "often" wear perfume also accounted for 8.4%.

40% of women and 60% of the men questioned said they never wear perfume at all.

This is why Japan is often regarded internationally as a "Perfume Wilderness."

On the other hand, the demand for fabric conditioners and room deodorant is expanding at a similar rate to Europe and the USA.

Many Japanese women said they were attracted to "fragrance" even if they do not wear perfume. However, this does not refer to essential oils. Many end users said that they often spend up to an hour walking around a supermarket sniffing aromatic agents and fabric conditioners.

So, in spite of having an affinity for scent, why has Western style perfume not taken root in Japan?

That is because the reasons for wearing scent is completely different, which in turn leads to the approach towards the consumers as well differs.

 

3-2. Reason why

For instance, in Japan, perfume is not worn to attract the opposite sex.

Western advertising tends to contain sexual or fashion-based messages for perfume and this type of advertising generally appeals to established users. However, most Japanese wear perfume for their own satisfaction and I believe this is genderless.   

 

Secondly, Japanese people seek out perfume to create harmony with those around them.

Japanese people may want to keep a distance from overpowering Western fragrances. As I mentioned in my section on the Japanese tea ceremony, there is a respect for maintaining an overall balance and harmony.

Relaxation and calm is born from a love of the seasons and the Japanese appreciate the atmosphere and mood produced by perfume.


 rain.jpg


Thirdly, there is the question of humidity.

 

Most perfumes on sale in Japan were manufactured in the West. However, due to the influence of climate, the fragrance they give off is different.

The air in Japan tends to wrap itself around you and encase odor, which means that European fragrances come across as too aggressive. This is because they were created in accordance with dryer climates.

 

As Japanese people value harmony above self-expression, many perceive perfume with suspicion and even actively dislike it.

 

Although Japan has the capacity to accept scent as Art, the sexual and fashion-related image of Western culture has struggled to establish itself there. This is why I decided to create Japanese-style perfume.

 

 3-3. Japanese-style blending and the world

 

New perfumes are created not through seeking out unusual fragrances, but through new accords of standard ingredients. If Japan has recourses, it is in its understanding of culture. I would like people to understand the story behind matter - history and lifestyles, for example.

 

I believe that perfumes should be created for local, not global tastes. Instead of basic and uniform fragrances, scents should become more personal. 

From the viewpoint of diversity and inclusion, niche perfumes can contribute to worldwide abundance, which in turn will no doubt lead to more people enjoying the wonder of perfume.


globe.jpg





.In Conclusion

Although Western Art values that which is permanent, true permanence can actually only be found in that which has no form - that is the Japanese perspective on Art. 

 

 "Fragrance is more than a fashion accessory and is worth a theoretical reflection. It becomes a paradigmatic form of the time."

 

When I received the theme of this meeting, I felt an affinity towards this new western wave.

I believe the possibilities of perfume are limitless, because more than any other kind of Art, it penetrates the soul.

 

Thank you so much for listening to my speech today. I would like to extend my gratitude to everyone involved in the organization of this event. 


20181109conference3.jpg



パフューマー・大沢さとり

「パルファン サトリ」は、フランス調香師協会会員・SATORI(大沢さとり)の香水ブランドです。コレクションはすべてSATORI自身の処方により調合された特別感のある香り。初めて香水を試される方や、外国の強い香水に疲れた方にもお勧めです。日本の気候と情緒に合う、優しくおだやかな香りをお楽しみください。

SATORI'S ピックアップ

パルファンサトリのオススメ商品や関連ブログ記事などをご紹介いたします。

最新作☆新緑の風と芳醇な樽の香り <br/> Mizunara -ミズナラ‐

最新作☆新緑の風と芳醇な樽の香り 
 Mizunara -ミズナラ‐

ミズナラの「新緑の風」と「芳醇な樽(たる)」の香りが組み合わされた、男性におすすめのフレグランスです。

六本木アトリエ・ショップのご案内

六本木アトリエ・ショップのご案内

みなさまのご来店を心からお待ちしております☆

東京都港区六本木3-6-8-2F

Tel 03-5797-7241

オードパルファン<br />SATORI(さとり)

オードパルファン
SATORI(さとり)

同じ重さの黄金より価値のある、最高の沈香木・伽羅の香りを表現したパルファン サトリの代表作品です。

フレグランスデザイン講座 <br/>パルファンサトリ

フレグランスデザイン講座 
パルファンサトリ

調香を学び、オリジナルの香りを作る講座です

抹茶の香り<br/>織部(おりべ)

抹茶の香り
織部(おりべ)

ほろ苦い抹茶のグリーンとふわっとした泡立ち。すっきりとした甘さが残ります。

>

カテゴリ

月別 アーカイブ