Parfum Satori

Mizunara-ミズナラ- 水楢の木を探して③

20180603ミズナラ大沼.jpg

下へと向かう前に、大沼の湖畔をぐるりと車で巡れば対岸に緑が見える。

しかしそれは、一足先に芽吹いた楓などほかの樹が中心のようだ。黄味が強すぎるし整いすぎている。イメージのなかの、もっと輝くような新緑の光景とは異なる。

軽い失望のなか、雨は強くなったり弱くなったり。


20180603ミズナラ大沼赤城山4.jpg

山を降りる途中、観光案内所で休憩を取る。予習が足りず、どこをどう通ったのかわからなかったが、ここで地図を見ながら今日の足跡をたどる。なるほど・・・。


文豪、歌人、彫刻家など、赤城山にかかわりの深い文化人は多い。志賀直哉、与謝野晶子、鉄幹、有島武郎、林芙美子、斎藤茂吉、芥川龍之介、武者小路実篤、漱石、高村光雲などそうそうたる名前が並ぶ。

と、ここで仕入れたばかりのにわか知識である。

気を取り直して、出発。


20180513赤城山ミズナラ7.jpg

さて、また少し車で下り、標高1000メートル、「赤城森林公園」にさしかかる。

すっかり緑に覆われた森が眼下に見え、水楢(ミズナラ)らしき樹も見えるので、入り口付近の駐車場に車を止めて斜面の途中から眺めてみる。

「けっこう葉が開いていますね、たくさんありますよ」
赤城山に山荘を持つ、引率のI さんに教えてもらいよく見ると、ほかの木の緑に混ざって、そこかしこにミズナラの葉も見え隠れしている。

「おお!すばらしい!!ここで写真撮りましょう♡」


雨がずいぶん降ってきた。

濡れそぼつ森林に足を踏み入れると、落ち葉がつるつるとすべる斜面は足場も悪い。カメラに雨がかからないようにK君に傘を差してもらう。

湿った土の、ぬくもりのあるアーシーな匂いがたちのぼる。シダのグリーン。大地の匂いジオスミン(geosmin)。

樹齢の長い、古い大木も見つけた。
ちょっと樽を思わせる、ずんぐりした形が面白い。


20180513赤城山ミズナラ10.jpg

水楢(ミズナラ)は、ブナとともに日本のブナ帯森林を形成する落葉樹。モンゴルから来たモンゴリナラの変異したものと考えられ、ジャパニーズオークの別称もあり、樹齢1000年を超えることもあるという寿命の長い樹である。

倒れても萌芽再生力(ほうがさいせいりょく)があり、樹齢にくらべてあまり大きくならないのは、根に栄養を回していることも理由のひとつ。

材の目が詰まって重く堅いため、建築材、家具として使われ、森ではマイタケを初め、多くのキノコを育てる恵み豊かな樹木と言われている。



「日本原産」
「倒れても萌芽再生力がある」
「根に栄養をまわし、樹齢にくらべてあまり大きくならない」
「材の目が詰まって重く堅い」


どれも、パルファンサトリのフィロソフィーと重なって、ハートに響く樹木である。




20180513赤城山ミズナラ4.jpg

雨に打たれて、瑞々しい水楢、ミズナラの葉。

この、葉のヘリがギザギザした鋸歯(きょし)がミズナラの特徴である。

標高1470メートルの小沼(この)から500メートル下界では、堅い冬芽がこんなに立派な葉に育っていて、とても嬉しい。


20180603ミズナラの花.jpg

ひも状に下垂する地味な花も咲いていた。
これが、やがてドングリのひとつぶ一粒になる。





「高原の湖畔に広がる新緑の水楢林」には時期が早かったけれど、ミズナラの冬芽から開いた葉までの段階を、標高差によって一度に見ることができてとても幸運だった。

もし湖のまわりが一面の新緑であったら、下界もすでに茂っていて、芽吹きに会うことはできたかっただろう。


再び来て、その光景に会えるのをとても楽しみにしている。


「Mizunara‐ミズナラ‐」モルトの香りにつづく・・・予定。










高原の湖畔に広がるミズナラ(水楢)の林
明るい緑を映す水面(みなも)に光が反射する
風が渡り、さざ波は立つ、そのきらめきが再び葉に照りかえす
透明な湖底には、硬くて強い意思がある




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