Parfum Satori

2017年12月アーカイブ

京ろうそく なかむら 体験教室-4 絵付け Kyoto ⑥Candle

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京ろうそく体験教室、「色かけ」に続き「絵付け」。

さっき自分で赤い色をつけたロウソクに、上から絵を描いていく。

目の前では若い女性の職人さんが、白いロウソクの中央に金色の菊のご紋章を描いている。1輪が16枚の菊のはなびらを、型紙もなしで大きさも形も正確に描いていくのにびっくり。



「お道具を使って、好きなように描いて下さいね」と、絵付けの手順を教えて頂く。

右のパレットに絵の具を溶かし、定着剤を1滴いれて調色する。塗ったばかりの絵の具がこすれないように、スポンジの上にロウソクの上のほうを立てかけて、細筆で描く。


『何の絵柄にしようかな・・・♪』見本帖の柄を見ながら悩みに悩む。

さっき色かけで失敗した、ロウソクの表面にあるコブの部分をどうするか・・・。『隠すよりもこれを活かした絵が描けたらいいんだけどなあ』と、手にとってじっくりとその凹凸をながめる。


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『お花だけの柄も素敵だけど、このデコボコを樹(き)の幹に見立てて、立体的にしてみようかしら。そういえば、けさ、"哲学の道"で見た梅の古木が素敵だったなあ・・』

『下地が赤だから、白梅がいいかな・・・。サクラと梅は、枝ぶりがちがうんだよね。。どんなだったっけ。』胸のうちでひとりごちる。

絵の具の濃度が難しい。地色の赤が透けて見えるので、梅の木のくろぐろとした樹皮を出すために何度か塗り重ねる。

『コブの上には苔(こけ)の生えている様子を描いて・・・。緑色がうまく乗らないから、ゴールドを下に塗ってみよう。』


慎重に、ちょっぴりずつ描き進めているうちに、いつしか夢中になる。部屋の中はとても静かで・・・。戸外の遠くから子供の遊ぶ声がときおり聞こえたりして・・・。



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かなり時間がかかってしまったけど、ようやく1本の絵ができた。さっき色をかけそびれて、ちょっぴり白く残ってしまったところにはシルバーを塗って、『月光のイメージ』とかなんとか。



『もう一本は藤(ふじ)のゴツゴツした幹が絡んで、うねるように横にはわせ、長い花房を垂らしてみよう・・・』


文章だけで写真を見なければ、どれだけすばらしい絵が描けたかって印象だけど(汗)


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ほら、この部分が失敗してコブになったところ。ドンマイ、ドンマイ。
薄いふじ紫は、赤の上では沈んでしまうので、先に白を塗ってから、上に紫をのせてみた。



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ようやく完成!こ、これは、もったいなくて火をつけられない。

左が藤の花。右が白梅の木。よく見ると、っていうか、よく見なくてもヘタっぴいだけど、久しぶりに新しいことにチャレンジして、とても充実した時間が持てたことが嬉しい。

私は絵付けにすごく時間がかかったので、レクチャーから完成まで、全部で3時間くらいかかってしまったけど、手の速い人なら半分くらいの時間でできると思う。



東京に帰ってきてから、和ろうそく作りが私にとってどんなにすばらしい体験だったかを会うひとごとに話している。

製作現場にいれて戴き、お仕事の手を止めてていねいに指導してくださったことを、とても感謝している。

「京蝋燭なかむら」の皆様、笑顔で温かく接して下さいまして、本当にどうもありがとうございました。








京ろうそく なかむら 体験教室-3 色かけ Kyoto⑤ Candle

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前回からの続きで「京ろうそく」の体験教室、色かけ。

先ほどの流し込みの作業場の隣では、ベテランの職人さんが、手際よく蝋燭(ろうそく)に色をかけている。みるからに難易度が高い。

おおきな鍋の中には赤い染料の入ったロウ(蝋)がたっぷりと溶けていて、脇(わき)の盆には、生成(きな)り色のロウソクが並んでいる。

ロウソクのお尻にはすでに赤いロウがちょっぴりついており、穴に竹の棒がさしてある。この下準備は傍(かたわら)にいるマダムの役割。

この棒をもって、赤いロウを上から注ぎかけて色をつけるのだという。赤いロウは面を伝わるにつれて冷えて固まり、表面に定着する。




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右手の柄杓(ひしゃく)ですくった赤いロウ。

左手で持ったロウソクはやや斜めにかしげ、棒をはさんだ指先をずらすようにして、軸を中心にクルリと回転させる。と同時に、側面に赤いロウをシャバシャバと垂らす。

口で言うと簡単そうだが、右手と左手で異なる動作を、しかも同時におこなうのでとても難しそう。しかも、芯にロウが垂れないように、斜めにかしげた下の面にロウを伝わせるのでますます難しい。

よどみなく一連の作業をおこなわないと、生地の部分が白く残ってしまう。それを修正しようと2度、3度とかけ直すとそこだけ厚ぼったくなり、表面がでこぼこになってしまう。



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ここで質問。
「芯をつまんで、ロウソクのお尻から鍋にどっぷりとつけたら簡単そうですが・・・どうしてわざわざひっくり返してかけまわすんですか?」

「芯の周りの、上の面を白く残すためには、かえってこのほうが早いんです。あとから直すのは大変なので」

なるほど。液だれの方向や、いかに均一にかけるかなどを考えると、ひとつずつの工程が実に理にかなっている。



さっそく席に座らせていただいて、大きなエプロンをつけてもらい、いま見たようにひしゃくを手にする。

「さあ、やってみましょう」
「思い切ってやらないとうまくいきませんよ」
「作るのは2本です」
「初めてでも上手な人もいますよ」

など、アドバイスを聞くほどにプレッシャー。


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うわー、ものすごく緊張する!

リハーサルで何度かひしゃくですくい、液のかたさ具合とか加減をみて、左手の棒も回転させてみたりするが、同時にやるタイミングが難しい。

呼吸を整え、えいやっとばかりにかけてみる。『アアァー・・・』声ならぬ悲鳴が。
回し方が足りず、白い部分が残ってしまう。さらにかけ足してみたが、生地がちょっぴり残ってしまった。

もう一本にトライするも、ああ無情。また失敗してしまった。おのれの不器用さにがっかりする。ちょっとくやしい。。写真を見ると脇があいて、手首だけでひしゃくを返そうとしている。こういうの、脇が甘いというのだろうか。


いやいや、「つくることは簡単ではない、難しいということを理解するのも体験の大切なこと」である。
と気を取り直す。

『さて、いよいよ絵付け。楽しみ~♪』
と思っていたら、たった今、自分で色をかけたロウソクを
「はいこれに絵付けしてください」とおっしゃる。

『あれ?この、失敗したやつに絵付け??そうだよな、、、自分で責任取らなくちゃ...』
って、不出来なものでも、自作だからこそ愛着が湧いてこようというもの。


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「ほらね、きれいな面を表に出したらわからないでしょ」と箱に詰めてくださった。マダム優しい~。 


次回、いよいよ最終段階の絵付け。なんの柄にしようかな~。実力をかえりみず、理想の絵柄(妄想)だけがふくらんでしまうのであった。  つづく。



京ろうそく なかむら 体験教室-2 製造 Kyoto④

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京ろうそく体験教室、昨日からの続き。

いよいよ実際に「和ろうそく」を作ってみることに。商品を作っている現場に入れていただけるということがとても嬉しい。

手前にあるのは蝋型、右手には大きな鍋で温めて溶かしたロウ、奥は作業する台。この方がここの受け持ちで、今日の製造を指導して下さる。

このようなコーナーが数か所あり、女性の職人さんたちがそれぞれサイズの違う和ろうそくを作っている。

今回作るのは4匁(もんめ)のロウソク。高さは約12センチ、燃焼時間はおよそ1時間15分という。


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ロウの成分がしみ込んでツヤツヤになったろうそくの型は、一度水をくぐらせてから水気を拭き取る。

一番下に置く台(写真では上の枠)には小さな穴が並んで掘ってあり、ここでロウソクの芯の先を支えるようになっている。やや太い穴があいている型はロウソク本体の部分になり、2段目にのせる。

あとでわかるが、この型はまた横に3つに分かれている。



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これがロウソクの芯となる部分。昨日も書いたが、筒状の紙にイグサの繊維(せんい)が巻いてある。

これはお燈明(とうみょう)などが、お祈りの途中や屋外で火が消えてしまわないように、火力を強くする工夫である。芯を太くすることで、大きくしっかりと燃えるのだ。


ようやく、あの和ろうそくの先っぽに見えていた、太い芯がどうなっているのか理解できた。

ロウの性質や使用方法などに合わせて、大昔から試行錯誤を重ね、改良をしてこういう形になったんだろうなあ。



そして、その空洞の中心に、一本ずつ長い竹串を通しておく。




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芯が倒れないように、一番上にさらに台形の枠をのせる。

そして今度はこの、竹串を通した芯を、ロウソクを流し込む穴に一本ずつ挿(さ)す。
まずはお手本を見せてもらう。職人さんはさすがに仕事が早い。スパスパっと右から左へ挿していく。


芯が32本だから、ろうそくもこの1回で32本できるということだ。


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これ私。。簡単そうに見えたのだが、穴が小さくて、慣れていないと思いのほか手間がかかる。
このへんまでの工程は、いったい何をしているのか自分でもよくわからないままに見よう見まねでやっている。



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芯をすべての穴にさし終わったら、大きな鍋の溶けたロウを小さな「ゆきひら鍋」ですくい、静かに注ぎ込んでいく。


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枠の中央あたりから溶けたロウ(蝋)を注ぐ。細い穴にロウが流れ込んでいく。つい、かけまわしたくなるが、一か所から動かさず、左右に溢(あふ)れるにまかせ、たっぷりと入れる。



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少し冷えたころを見計らって、竹串をちょっぴりまわしながら抜く。紙の芯だけがロウだまりの中にのぞいている状態。



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流し込んだロウ生地にまだ柔らかさの残る状態で、一番上の枠をはずす。

すると、はずした枠の形で、まるでロウがパンケーキ生地のようにつながっている。そこに、上から包丁で切れ目をいれていく。



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包丁はあらかじめ温めておくのが大事。白い灰の中には、炭が熾(おこ)してあるのだろう。




171205京都 和ろうそく あまりを切る.jpg

そして枠の上にはみ出たロウ生地を、面にそってスススっと包丁で一気にはがしていく。なんか、本当にパンケーキを作っているようである。

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上の板状のロウを取り除くと、「おお、なんかロウソクの丸い断面図が見えてきてうれしい!」
中空の穴を、千枚通しできれいに整えていく。

これも、なにやらたこ焼きを作るかのごとく。料理番組のようだ。

ここで気づいたのは、職人さんの手がとてもキレイなこと。もともときれいな方なのだが、なんでも櫨蝋(はぜろう)には肌を美しくする効果があるらしく、その成分は高級な化粧品にも使われているとのこと。

『お仕事しながら自然にパックできているのかもしれない』と、つい目がそちらへ行ってしまう。


171205京都 和ろうそく 型をはずす.jpg

そして本体である中段を、下の段からはずして寝かし、三層になったその板を上からはずすと、ほら、ロウソクがずらりと出てくる。

感動の瞬間!


本当のところ、やっているときは型をどうやって組んではずして、ろうそくができてきたのかマジックのようで、よくわからなかった。しかし、こうやって写真を見ながらおさらいしてみると、木型の構造がよく理解できる。




171205京都 和ろうそく バリ.jpg

左に丸くあいているのは、上の木型がずれないよう、固定させるためのさしこみ穴。

私のやりかたのせいか、、、継ぎ目にはロウのはみ出た大きなバリができてしまった。


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合わせ目にできるバリは、必ず両脇に2か所に出るので、大きさにかかわらず包丁で削りとって磨かねばならぬ。この作業は全て一本ずつ手で行うのである!

私は2-3本しか処理しなかったけれど、1回の工程につき、32本×2=64か所をけずるのでとても手間がかかる。


171205京都 和ろうそく なかむら 15匁.jpg

反対の場所では、もっと大きい15匁(もんめ)のろうそくを作っている。奥の作業場では2匁?のちいさいロウソク。100匁まで、10段階のサイズがあるようだ。

全部てづくり。本当にびっくりした。


尺貫法(しゃっかんほう)でいう一匁(もんめ)は3.75グラムにあたる。「匁」という単位を久しぶりに聞いた。

ここまでで、本体の和ろうそくは完成。嬉しい。
『きなり色もいいなあ・・・』



これに絵付けをするのかなと思ったら、次は色かけをするのだという。ま、まさか自分でやるとは思わなかったが・・・・。見ただけで難易度が高そうだ。

次回はろうそくの色かけに続く。。。




➤次の記事  京ろうそく なかむら 体験教室-3 色かけ



京ろうそく なかむら 体験教室-1 kyoto③ Candle

171205京都 和ろうそく なかむら 玄関.jpg


昨日の鬱陶(うっとう)しい雲が見事に晴れて、冴えた青空と冷たい空気の京都。

この日はあちこちに行きたくて、たくさん予定を入れてみたのだが、そのひとつがこの「京蝋燭(ろうそく)なかむら」さん。

以前から「和ろうそく」にはとても興味があって、待望の製造体験受講である。絵付けだけのコースもあるが、蝋(ろう)の流し込みからの工程をさせて頂けるのでとても楽しみ。


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予定は13時。午前中は慈照寺(じしょうじ)など東の方を歩き、思いのほか時間がかかってしまったのでお茶もお昼も抜きで直行する。


今出川(いまでがわ)駅から地下鉄に乗って、終点の竹田の駅から徒歩5分、静かな通りにそこはあった。ガラガラっと引き戸を開けると、中はろうそくを実際に作っている工房。一歩入ると、暖かく粘り気のある、懐かしい蝋の匂いがいっぱいに満ちている。

ワークショップ的な会場を想像してきたので、現場を拝見できるとはびっくり。入り口は所狭しと商品の箱が積みあがっていて、物が動いている活気でいっぱいだ。


171205京都 和ろうそく なかむら 看板.jpg


最初の30分程は、和ろうそくについてのレクチャー。非常に興味深い。
社長自らが、和ろうそくの素晴らしさ、その継承の難しさと意義などを熱く語る。

ぼんやりと断片的だった知識が、直接お話を伺がうことで少しずつ明瞭(めいりょう)になり、とても勉強になる。知らないことがわかっていくというのは、いつも心の弾(はず)むことである。以下はその時にとったメモと、後日調べたことを参考に、自分の整理のために書いてみた。




和ろうそくの原料は、櫨(はぜ)の実から絞って採られた植物性の木蝋(ろう)である。ハゼは安土桃山時代に大陸から渡来し、江戸中期には沖縄を経由して九州でさかんに栽培された。島原藩でも奨励され、一大生産地となったが、1991年に雲仙普賢岳(うんぜんふげんたけ)の噴火により産地は壊滅的被害を受け、原料の流通量が激減。また、安価なパラフィンワックスの西洋キャンドルに押されて、和ろうそくは厳しい状況にある。


しかし、安価で火力もある西洋キャンドルがあるのなら、なぜ和ろうそくが必要なのであろう。

ひとつは、和ろうそくは煤(すす)が少なく、油分も少ないので払うだけできれいになる。寺社仏閣の「すす払い」が洗剤を使わずに、毛ばたきなどではたくだけで落ちるのも、植物性の和ろうそくを使っているからできること。

木ろうは融点が低い。垂れたロウはお湯で容易に拭き取れるため、漆(うるし)や箔(はく)の細工ものなど、大切な装飾を傷めることもない。

よって修復の頻度(ひんど)も減る。和ろうそくを使うことで文化財を守ることができるのだ。そのため京都のおおくの由緒あるお寺には、こちらの和ろうそくが使われているそうである。

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そして和ろうそくの特徴に、その炎のゆらぎと色の暖かさがある。火力が弱いため、筒状の紙にイグサを巻いて芯を太くし、消えにくくしている。芯は中空になっているので、煙突のように空気が上がってきて、風がなくても火がまたたくのだ。ながめているだけで心がなごむ。

石油系パラフィンのキャンドルは火力があり明るく強く、直截的(ちょくさいてき)である。平たく言えば風情(ふぜい)がない。油分の多い煤(すす)も出て、払うだけでは容易にきれいにならない。



例えば日本画は、和ろうそくの灯りで鑑賞しなければ、作者の意図するところを見ることはできないという。また座敷の欄間(らんま)に立体的な彫刻が施されているのは、蝋燭の揺らぎで「影」が動くことも考えてあるからで、西洋のステンドグラスが平面的で、「光」を通して鑑賞するのと対照的である。

京都の舞妓(まいこ)さんたちが白塗りの化粧に玉虫色の紅をさすのも、和ろうそくの光でこそ最も美しく映える色だから。

日本の美、つまり和室、仏像、日本画の色、漆(うるし)塗りや歌舞伎の隈取(くまどり)などといったもののすべては、和ろうそくという「灯り」ありきで考えられているようだ。

それは谷崎潤一郎の「陰翳礼賛(いんえいらいさん)」のなかにも語られている。
「美というものは常に生活の実際から発達するもの」というくだり。

長い庇(ひさし)を持つ日本建築が、結果、うす暗い部屋を持たざるを得ず、その中に陰翳の美を発展させたという。


ひとつの文化を単独で残そうとしても無理があり、そのおおもとを考えなければ伝統は守れないと思う。


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茶道や日舞など、和の文化にも触れて育ち、長じて歴史・時代小説なども愛読してきたため、和ろうそくの存在をその情景の一部として、自分なりにぼんやり感じてきた。

「なぜ和ろうそくであったのか」「どうして、それでなければならないのか」ということが、たくさんのお話を伺って少し理解できたように思う。



特に心に残っているのは、社長さんがいった、「和ろうそくは伝統工芸品ではなくて、消耗品である」ということばだ。

伝統工芸という看板だけで仕事をしている人もいるが、生活の中で活きていくものこそが、本当の伝統になっていくのではないかと思う。


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お話が終わり、「では、実際に和ろうそくをつくってみましょう」とうながされ、「あの、中はお写真を撮っていいのでしょうか?」とおずおず聞くと、「どうぞどうぞ」とおっしゃる。「うちはどこを見てもらっても平気です。」とも。

秘密や秘伝などではなく、まっとうなことをきちんとする。培(つちか)ってきた信用や、人とのつながり。それらを続けるのはとても難しいことだからこそ、見ただけで簡単にまねできるはずがない。

だから、隠すことなどないと自信をもっていえるのだと思う。



次回、実際の製造体験に続く。





京蝋燭 なかむら 有限会社 中村ローソク
〒612-8413 京都府京都市伏見区竹田三ッ杭町57-8









京都、糺(ただす)の森から下鴨神社 KYOTO②

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京都の宿についたのはもう3時過ぎ。パラパラと雨が降り始めた。『またか・・・』と軽くがっかりする。

10月の京都催事(さいじ)のときも台風が直撃し、一晩中、携帯の警報が鳴りやまなかったほどだ。ホテル缶詰。

この日も薄暗くなりつつある空を見上げ、「外出を見合わせようか」と一瞬迷う。しかし、今回の短い京都滞在、「一刻も無駄には出来ぬ」と当初の目的地のひとつ、「糺(ただす)の森」へと向かうことにした。

修学旅行や、学生時代に部活の友人たちと来て以来、京都はいつも仕事の通過点。小説の舞台としてはなじみのある地名や名所も、大人になってゆっくりと訪れたことはなく、市内のどのあたりに位置するかは実はぼんやりとしかわかっていない。

それなら前もって新幹線の中ででも、ちょっとは調べたらいいものなのに、どっぷりと時代小説に溺れ2時間を使ってしまう。読んだのはなぜか志水辰夫の「つばくろ越え」。古本屋で、字が大きかったから読みやすかったのよねえ。でも江戸の飛脚(ひきゃく)ものの話では京都の地理には役に立たず...。



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とりあえず京都駅で買った、店員さんおすすめの地図は、いざ開いたらなぜか英語であった。『Tadasu mori shrine・・・Simokamo-Jinja shrine・・・』 

さとり 「うわっ、読みにくい」
与一  「日本語も書いてありやすよ。ちっせえけど」

ローマ字表記では、瞬間的に入ってこないのである。
また、グーグルでは、自分が京都全図のどこにいるのかが私には俯瞰(ふかん)できないので、なんとなく使いたくない。アナログ時計と同じ、古い人間なのだ。

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地下鉄を乗り継ぎ、出町柳(demachiyanagi)に到着したのはもう4時。地図をみながら「糺の森(ただすのもり)」を目指す。
ここについて知っているのは、奥に下鴨(しもがも)神社があるという程度で、ほとんど前知識はない。

右手に傘、左手にバッグ、首からカメラ、足元は濡れて歩き辛い。「やはりここは天気のよい昼間に来るべきではなかったか?」という思いもよぎる。

が、「さとりさんは絶対気に入りますよ」という知人のお勧めと、この森の名前に、なにやら「私はここへ来るべき」との使命感をもったのである。決めたからには行かねばならぬのが習い性。


「糺(ただ)す」というのは、罪や真偽・事実などを問い調べること。太古の森に抱かれて、今までのおのれの道を振り返り、反省でもしてみようか、という殊勝(しゅしょう)な気分にあったのは間違いない。



与一『さとりさまが反省とは、、、それで雨でもふったんでやしょう・・・』
久しぶりに連れてきた与一(人形)から、すかさずつっ込みがはいる。


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地下鉄を出て、大通りから森の始まりに足を踏み入れた途端、空気が変わってくるのがわかる。澱(よど)んだものが、ガラスのように透明になる。そして少し焚火(たきび)くさい、スモーキーなグレイと、水の匂いや、緑の香りが交互にやってくる。




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途中に、「旧三井家下鴨別邸」との看板が。『雨やどりでもしていこうかな。そういえば昔、思いついて立ち寄った池之端の「旧岩崎邸」も、こんな小雨の夕方だったっけ。』

日没まで時間がないのに寄り道。
建物は、素敵と言えば素敵なのだが、全体のバランスがなんとなく継ぎ足しな感じ。望楼(ぼうろう)と中3階はいらないんじゃないか?

磨き上げられた階段や、格子、建具(たてぐ)とかはすばらしい。もう閉館間近だったので、そそくさと一巡りして気が付いたら庭に出ていた。端の方から雨戸が立てかけられていくのが見える。

モノトーンの景色はいよいよ寂し気で、外から見る家の灯りがいっそう暖かい。


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元の道に戻ればすでに4時半をすぎ、暗くなる前にお社(やしろ)まで到着するかやや不安。

まっすぐの道を進むと、雨も小やみになってきた。しっとりと濡れた石畳に、終わりかけの紅葉がはらはらと落ちる。ぼんやりと点(つ)く光りに『風情があるなあ・・・』と、京の色気に酔う私。


「十月に賀茂にまうでたりしに、ほかのもみぢはみな散りたるに、中の御社のが、まだ散らでありしに、」赤染衛門集

他の場所のもみじは散っているのに、下鴨神社はまだ10月でも残っている、と歌にある。


昔は10月でもすでに遅い紅葉だった。12月までいろどりをたもっている今は、やはり秋から冬が暖かくなっているのだろう。



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「糺の森」には、樹齢200年から600年の樹が600本もあるというが、左右の木立がほとんどシルエットとなり、森は闇に溶けつつある。中に入ることはためらわれ、下鴨神社にむかってまっすぐの参道をつっ切るだけになる。ひたすら、もくもくと砂利道を踏み進み、手水で手を清める。まばらな人影。

心が静まるとか、浄化されるとかそういうことではなくて、、、今日はあえてそんな風に思わない。
じっとしていると考えが堂々巡りになってしまうから、せいぜい歩いて、体の血を巡らせるほうがよいのだ。


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朱色に塗られた雅(みやび)な門。解説によると、これが楼門(ろうもん)で、ここから下鴨神社が始まるということを知った。

門を通るとき、鳥居をくぐるときに、立ち止まりごく自然に頭を下げる人々がいる。その一連のなめらかなしぐさは、仰々しい信仰とも異なり、身についた一部として感じられ、その方の暮らしぶりを美しいと思える。



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楼門、舞殿(まいでん)、中門と進むにつれ、「ああ、これが葵祭(あおいまつり)の」とようやく思い至る。舞人が蝶のように白い装束を翻(ひるがえ)す光景を浮かべながら奥へすすみ、言社(ことしゃ)につく頃はすっかり暮れて、まもなく閉門の声もかかる。急いで自分の干支(えと)にお参りをして後にしたのである。

暗い中、いまと同じ道のりを歩くかと思うとちょっとぐったり。しかし、知らぬ道は遠く感じるもの。帰りは思いのほか早く、もとの出町柳駅に到着する。そこから地下鉄で四条河原町へ出てまた歩き回る。雨が再び強くなる。


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あてもなく足を運べば、古い印刷屋さんや箒(ほうき)店などに行きあたる。かと思えば、モダンなインテリア雑貨のお店とかに出会う。ただ歩くだけで楽しいのは、パリと同じ。



つらつらと思い出し「糺の森はまた来たい、ゆっくりと」そう思って後でどんなところか調べてみると、ものすごく魅力的なところだ。やっぱりおすすめは間違いなかった。




そして、後先になってしまうが、この日の続きが
「月はおぼろに東山 KYOTO①http://parfum-satori.com/blog/2017/12/kyoto-3.html
に戻るわけである。

翌日はまた、とりあえず行ってみたい場所があって、たくさん歩く予定。









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月はおぼろに東山 KYOTO①

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京都に来ている。夕方に降った雨がやんで、今は月が出ている。ほろ酔いで帰る道、東山に浮かぶ満月。今年最大の大きさだという。


「月はおぼろに東山~」
子供の頃、日本舞踊をしていたので発表会でも踊ったことがある、祇園小唄の一節である。
そういえばここは東山。便利とは言えないが、前回の縁があって気に入ってこのあたりに宿をとっている。



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ホテルのお部屋に帰り、ネットできまぐれにユーミンをかけてみる。

やはり、旅先で懐かしい音楽を聴くものではない。「卒業写真」は、早く逝(い)った親友の一人の好きな曲だった。



私ももちろん大学の頃よく聴いた。松任谷由実でなく、荒井由実の時代である。京都には部活の卒業旅行で亡くなった彼女もいっしょだったし、いつも車にはユーミンや山下達郎や、石川セリなんかがかかっていた。青春の思い出というのは、音楽や香りに直結している。


そして、非日常の場面ではより感情の柔らかいところが無防備になるようだ。
本当に悲しくて泣いているのか、泣きたくて泣いているのかわからない。けど、ずっと無邪気に泣くことなんかなかったから、ひとりで思い切り泣いてみるのもいいかもね(´;ω;`)ウッ...



ユーミンはいまでも先頭を走っている。愛の歌を紡ぐのは、年齢制限があるのだろうか。命の営みを超えて恋愛ができるのが、人間じゃないのかしら?「ダンスはうまく踊れない」し、「八月の濡れた砂」のような血潮がなくても。最後は「朝日の中でほほ笑んで」を口ずさむ。などなど。


悲しげに泣く顔が美しいのは10代まで。
年を取るほど、笑った顔でなくちゃ素敵じゃない。








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※この商品は無料のため、クレジットカードのお支払いの時は一緒のカートにいれられません。備考欄にラッピング希望とお書き下さい。

サザンカ 山茶花 Camellia sasanqua

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夜道につづく常緑の生け垣は、暗い葉の海。

山茶花(さざんか)の花が、白い波頭のように次々と、ぼんやりと浮かんでいる。思い思いの、いくつもの表情で。かたくななつぼみ、横顔、または蕊(しべ)もあらわに。

足を止め、その頤(おとがい)に手をかけて、一輪の香りを吸う。闇の中でいっそう密やかに匂う、その香りはオリエンタルグリーン、ほろ苦さのあるお茶の香り。

ツバキの美しさに険(けん)があるとすれば、サザンカは野趣の残る花。
しどけなく散る姿は、若く潔癖な時にはわからない情味がある。

冬が来て、またひとつ、わたしは年を経る。






パルファン サトリの「フレグランススクール」生徒さんの声


■入学2017年「フレグランスデザイン講座」【通信】田中さん(50代)


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香水に興味を持ったきっかけ

 瀬戸内海の島で生まれ、幼いときから自然に囲まれた環境で過ごしました。たくさんの花の香りとの思い出があり、香りは身近な存在で、大人になってからも娘の影響もあり香水が好きでした。モノを作ることも好きで、通っていた石鹸作りの教室でお花のアブソリュートを抽出するクラスを受けたことをきっかけに、いつかこのアブソリュートを使って自分の香りを作りたいなと思いました。


なぜパルファン サトリを選んだのですか?

 パルファン サトリの香水が好きだからです。今までたくさんの香水を試してきましたが、さとり先生の和の四季折々の香りが美しく、魅了されました。
初めてパルファン サトリを知ったのは、フレグランティカを見ている時です。すぐにアトリエへ伺い、バラの調香体験を一度受けてみてから通信講座を始めました。オリジナルブランドを持っている日本人調香師で、教室もやっているというところも良かったです。



実際に通ってみての感想教材ブログ.jpg

 香りを作るイメージがあっても、思い通りの香りを作ることの難しさを痛感しています。でも自分の納得のいく香りを作れたときはとても嬉しく、やはり作ることが楽しいです。教材では様々な事を学びますが、先生の言葉通りに覚えられるよう努力しています。



香水の勉強をはじめて変わったこと、香りに意識が向いてよかったこと

 香水のお勉強と併せて、石鹸作りの教室も続けています。石鹸に香りをつけるので、パルファン サトリのフレグランススクールで学んだ事を、他の趣味にも活かすことが出来ています。香りについてのことは毎日行うようになりました。




☆2018年1月スタートのフレグランスデザイン講座 申込締切り2017年12月16日(土)☆

   パルファン サトリ「フレグランススクール」➤ http://parfum-satori.com/jp/school/

   「フレグランススクール」に関連するブログ➤ http://parfum-satori.com/blog/cat235/

パフューマー・大沢さとり

「パルファン サトリ」は、フランス調香師協会会員・SATORI(大沢さとり)の香水ブランドです。コレクションはすべてSATORI自身の処方により調合された特別感のある香り。初めて香水を試される方や、外国の強い香水に疲れた方にもお勧めです。日本の気候と情緒に合う、優しくおだやかな香りをお楽しみください。

SATORI'S ピックアップ

パルファンサトリのオススメ商品や関連ブログ記事などをご紹介いたします。

本店を移転いたしました!<br/>@六本木ショップ/アトリエ

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オードパルファン<br />SATORI(さとり)

オードパルファン
SATORI(さとり)

同じ重さの黄金より価値のある、最高の沈香木・伽羅の香りを表現したパルファン サトリの代表作品です。

上質なくらしの色と香り<br/>紺白

上質なくらしの色と香り
紺白

光をふくんだリネンのように柔らかく癒されるこの香りは、男女を問わず、お着けいただくことができます。

ギフトに!お試しサイズ<BR/>10本レフィル

ギフトに!お試しサイズ
10本レフィル

ちょっとしたギフトに、10本レフィルA。パルファンサトリの香りを少しづつお試しいただけます。フルボトルをプレゼントする前に、二人で一緒に香りを選びましょう。3240円。

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フレグランスデザイン講座 
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